104話 ツァールとイグが合体してツァーグってとこかな。


 104話 ツァールとイグが合体してツァーグってとこかな。


「……あの、ニャル様……一つ聞いていいですか?」


「もちろんさ。いつだって、好きなだけ質問するといい。答えるかどうかは気分しだいだけどね」


「……特殊カスタムがほどこされている現状のロイガー共でも、回数を重ねるごとに強くなるから、すげぇギリギリで……いつも、紙一重の戦闘を繰り広げているのですが……オメガバスティオン化とやらをした場合、現状よりも、はるかに強くなってしまうのでしょうか?」


「簡単にいうと、ヨグの分体より強いよ」


「……」


「カギを三つ集めるのは、本当に大変だと思うけど、まあ、頑張って」


「……マジでか……」


 あまりにひどすぎる難易度を前にして、

 心から辟易とした顔で天を仰ぐセン。




 ★




 翌日の夜、

 センは、


「……ま、一応……ためすか……」


 ビビりながらも、

 『真・難易度爆上げスイッチ』を押した状態で、

 ツァール&イグとの死闘に向かった。


 通常状態のイグを飛ばしたところで、

 覚醒状態のツァール&イグに変身。



(この強さは……普通の難易度爆上げスイッチで強化された状態……あれ、これ、まさか……)



 最悪の想像をしてしまい、

 冷や汗があふれ出るセン。


(この状態のこいつらも殺さないと、オメガバスティオン化してくれないってこと? おいおいおい、おいおいおい……)


 まず、普通の状態を殺す、

 覚醒状態を殺す。

 この手順を踏まないと、

 オメガバスティオン化された彼らには出会えない。


(覚醒状態を殺すだけでも、相当に体力を消耗するのに、その上で、ヨグの分体以上に強化されたこいつらを倒すって……いや、できるか? できるのかなぁ……いやぁ……)


 心の中で、そんなことをつぶやきつつ、

 必死に戦って、どうにか、

 覚醒ツァール&イグをぶっ飛ばしたセン。


 すると、

 覚醒ツァール&イグの死体が、

 また、グニャグニャと蠢いて、

 その魂魄が重なり合い、

 一つになり、

 蘇る。



「……ぷはぁ……」



 酸素を吸って、世界を見つめる。

 破格のスペックを誇る化け物。

 ツァーグ・オメガバスティオン。


「ツァールとイグが融合し、完全なる神になった姿……そう、私が、ツァーグ・オメガバスティオンだ」


「……こんにちは」


 しんどそうな顔で、不愉快そうに挨拶をぶちこんでいくセンに、

 ツァーグ・オメガバスティオンは、


「さあ、センエース。私を殺せるか?」


「……どうでしょうねぇ……」


 そう言いながら、

 センは全身の魔力とオーラを充満させて、


「……勝てないんじゃ……ないかなぁ……」


 ボソっとつぶやいた、その言葉の通り、

 センは、




(――あ、むりでーす)




 数回、武を交わしあっただけで理解した。

 相手になっていない。

 さすがに、強すぎる。


(戦闘力では、そこまで差があるとは思えないが……数値に差がありすぎて、相手にならねぇ……)


 すぐさま、センは、真・難易度爆上げスイッチをオフる。


 すると、

 ツァーグは、スゥっと世界に溶けていった。


 その様子を尻目に、


「……また、長い旅が始まりそうだ……はぁああああ……」


 深く、長い、タメ息を吐いた。


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