・エピローグ3 『チョロイン』
・エピローグ3 『チョロイン』
「今の私は、彼の狂気を受けて、純粋な恐怖に包まれています」
「そんな事を言っていられるのも今のうちだにゃ。どうせ、次は、マナてぃんがピンチになって、すかさず、センセーがヒーロー見参して、またライバルが増える展開になるんだにゃ。もう、流れが見えているのにゃ」
「私を、あなたのようなチョロインと一緒にしないでください」
「ちょ、チョロイン?! 言うに事を欠いて、このツミカさんを、ちょ、ちょ、チョロインですとぉ! せっ、正式に『撤回』を要求するにゃ! 仮に、この世界がギャルゲーなら、ツミカさんは、最も攻略難易度が高い鬼畜ヒロインにゃ! あまりにも落ちなさ過ぎて、プレイヤーが『これ、バグだな』と確信し、制作会社に謝罪要求特攻をかましてしまうレベルのクソ難易度であると断言させてもらうにゃ!!」
その話を受けて、黒木は、ポリポリと頭をかいてから、
「まあ、実際のところ、私も、そうだと思いますよ。よくも、まあ、あなたのような奇人を落とせたものだと、普通に驚いています」
「落とされてなんかいないにゃ! ツミカさんは、センセーが『どうしても付き合ってほしい』と十時間耐久の土下寝をしてきたから、仕方なく付き合ってあげているだけだにゃ!」
「閃さんも大概ですが、あなたも大概ですね。ある意味で、お似合いだと思いますよ。というか、あなたたちのカオスに私を巻き込むのはやめてください。迷惑極まりないです」
そこからも、
キーキー、ワーワーと、
女性陣のマシンガントークは続いた。
その姦(かしま)しさに、
センは圧倒されるばかりで、
気づいた時には、
最強の戦闘力を持つ主人公でありながら、
しかし、ただの置物と化していた。
世界最高峰の狂気性を有する主人公すら空気にしていく、
暴虎馮河(ぼうこひょうが)で天下無双なガールズトーク。
しばらく続いた怒涛の舌戦に、
軽い区切りがつきそうな、
一瞬のタイミングで、
センが、
「つぅかさぁ……まだ、俺、『呼び出された理由』を知らないんだけど? いつまでも身内だけでじゃれ合っていないで、いい加減、本題に入ってくれない?」
その発言を受けて、
紅院が、
「前提1、私たち一等の人間には、優れた子孫を残すという義務がある」
「城西も、なんか、そんなことを言っていたな。お前らは、本当に、いろいろと『厄介な義務』を背負わされていて、『ほんと大変だなぁ、ご愁傷様ぁ』と素直に思うぜ。俺には、どうしてやることも出来ないが、まあ、生まれが悪かったと思って諦めてくれ。俺も、父親の顔面遺伝子レベルが微妙だったせいで、この有様だが……まあ、その辺に関しては素直に諦めている。そういうもんだ、命なんてものは。諦観(ていかん)だけが人生さ」
「前提2、あなたの遺伝子は非常に優れている。これは、もはや、疑いようがない」
「人の話を聞いていなかったのか? 俺の顔面をよく見ろ。うそみたいだろ? これでも、お前らと同じ人間なんだぜ?」
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