21話 止まらないマストダイ。


 21話 止まらないマストダイ。


「ははははぁっ! 本当の俺デビューッッ! やっとたどり着いたぜ! 俺こそが最強! エンディングだぞ、泣けよぉおお!」


 高揚感に浸るセンに、

 ヨグシャドーが、


(まあ、貴様が携帯ドラゴンを入手したことで、オメガバスティオン化された連中も、携帯ドラゴンを使うようになったから、まだまだエンディングは遠いんだがな)


「……へ……?」


(忘れるな、センエース。貴様の人生難易度は、いつだってナイトメアマストダイなのだ)


「……もぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお……っ」


 頭を抱えて、深いため息をつくセン。

 とまらない地獄に、心底辟易。


 ――だが、


(強くはなれている……そして、ここから、もっと強くなれる……前には進んでいる)


 実際、センは、どんどん、強くなれている。

 だから、すぐに前を向ける。


「……上等だ、ごら……もっと、もっと、果て無く強くなり続けて、全部の絶望を殺してやるよ……俺はようやくのぼりはじめたばかりだからな、この果てしなく遠い無限坂を。……センエースの闘いはこれからだ!」


(むりやり、打ち切りにして、自分の運命から逃げようとするんじゃない)



 ★



 ――翌日、自宅で、少しだけ休憩していたセンのもとに、

 大和撫子の擬人化こと五画寺アルキが訪ねてきた。


 『さて、どうしたものか』と彼女の対処に一瞬だけ悩んだセンだったが、『首トーンからの強制送還』の後に、どういう流れを経て『今』に至るのか、その辺が少々気になったため、とりあえず、部屋に上がってもらうセン。


(まあ、その気になれば、また、いつでも、首トーンでお眠りいただけるからな)


 などと思いつつ、会話を開始する。

 軽く、挨拶などを済ませてから、


「とりあず、前回は、首トーンをしてしまい、もうしわけなかったです、ごめんなさい」


「いえ、前回はわたくしも、少々、気が高ぶって、暴走してしまいましたから」


 などという、大人な対応をかわしあってから、


「――それで、あのあと、どうなった感じ? あのイカれた女どもに、ちゃんと、俺の望み通りの説明はしてくれた? まさか、本当のことを話したりはしていないよね?」


 というセンの質問に対し、

 アルキは、


「彼女たち(K5の面々)には、『センエースという男がいかに非道な男であるか』ということを、とことん吹聴しておきました」


 と、返答した。


「おお、マジすか。ありがたい。俺の意図を正しく理解してもらえたようで何より」


 と、ほくほく顔で礼をするセン。

 そんなセンに、アルキは、


「お礼を言われるようなことは何もしておりません。というか、常識的な視点で見れば、わたくしは、最低最悪なことをしたと思っております」


「まあ、誰かの悪口を言いふらすってのは、基本的には、マイナスに属する行動だからな。けど、今回に限っていうと、あんたには何の落ち度もない。俺が望み、強制した面倒なミッションを、あんたは忠実に守ってくれた。心から感謝している。だから、気にしないでくれ」

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