68話 ヒーローのフィアンセ。
68話 ヒーローのフィアンセ。
「ヘタにごまかそうとせず、正直に言ってほしいのですが? あなたは何者ですか?」
「――ただの剣だよ。お前らを守る、鋭利な剣。余計なことは考えず、便利に使っておけばいい」
そう言うと、センは、
ガタノトーアとクティーラに視線を送り、
「こいつらの誰かが……というか、そこのサイコボマーが、もし、自殺しそうになったら止めろ。これは絶対の命令だ」
その命令を残すと、センは、ガタノトーアとクティーラを残して、
その場から、瞬間移動で離脱した。
残された黒木は、
センの残影を黙って見つめていた。
――数秒ほど、その場に沈黙が流れた。
センの正体に対して、各々、色々と考えていると、
そこで、ガタノトーアが、
「……マスターの命令には逆らえない。これから、私とクティーラが、貴様らを護衛する。おそらく、今後、私たちのような、高位のGOOが、貴様らを狩りにくるだろう。マスターが言っていた通り、私たちは、対GOO用の盾。とはいえ、無敵で万能の盾ではない。よって、貴様らに命じる。常に、『ペア以上』で行動するように。私はマスターと違い、貴様らの命など、どうとも思っていない。よって、貴様らが勝手に単独行動をして勝手に死んだ場合、それは、自己責任と解釈させてもらいたい……のだが、しかし、『自殺も止めるように』という、無茶な命令を受けているので、そうすることもできない。というわけで、絶対に勝手な行動はするな。余計な手間をかけさせるな。以上だ」
続いて、クティーラが、
「あたしも、あんたらの命なんかどうでもいい! というか、むしろ、脆弱なあんたらの警護とかウザすぎだから、死んでほしいまである! けど、マスターの命令には逆らえない! というわけで、一応、あたしに出来る範囲内では守る! けど、それ以上のことはしない!」
非常に素晴らしい、護衛の方々の決意表明を受けて、
茶柱が、
「うむ! よきにはからえ!」
と、盛大にふんぞり返りながら、
そんなことを言ったものだから、
クティーラが、イラっとした顔で、
「……ぁ?」
と、殺気を飛ばし始めた。
その気配を察した茶柱は、
ニタニタ笑いながら、
「ん? その顔はどういうことなのかにゃ? もしかして、センセーのフィアンセでもあり、護衛対象でもあるツミカさんに逆らおうだなんて、そんな恐ろしいことを考えているわけじゃないよにゃぁ? んー?」
などと、煽っていく茶柱の後頭部に、
トコが、
「誰が誰のフィアンセやねん!」
と叫びながら、パチンと平手をかましていく。
「いったいにゃぁ! このツミカさんに向かって手をあげるだにゃんて! ウチのダーリンが聞いたら、怒り狂って、世界を終わらせてしまうかもしれないから、むしろ、チクれないにゃ! はっ、まさか、そこまで計算しての行動……こ、小癪にゃぁああ!」
「うっさぁぁぁい! もう、しゃべんな! 耳が腐る! というか、あんた、センが逃げたら自殺するいうてなかったか? センは逃げたぞ! はよ、死なんかい!」
「残念でしたーっ、あそこの高位GOO二体が睨みをきかせているので、自殺できませーん、はい、論破ぁ! にゃはは!」
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