68話 世界の終わり。

 68話 世界の終わり。


 ――瞬間移動で自分の部屋に戻ったセンは、

 しばらくの間、エイボンの書を読み込んでいたが、


(特に、なにかヒントにつながる情報はないか……)


 前回は、S級を呼ぶことにばかり注視しており、

 ほかの項目に目を配ることができなかった。


 ゆえに、今回は、時間がある時に、

 エイボンの書を、

 ある程度、じっくりと読んでおこうと思ったのだが、


(無駄な時間だったな)


 特に得られるものはなかった。


(とりあえず、今日は寝て……明日の夜にそなえよう)


 センは、翌日の夜から開始される予定のアイテム探索に想いを馳せつつ、

 眠りについた。




 ★




 ――翌朝、


 ドォオオンッ!


 という爆発音で、センは目を覚ました。


「……うぇええ?!」


 二回目なので、ある程度、予測がついてしまった。

 寝起きでありながら、しかし、センは、即座に、ベッドから起き上がり、

 いそいで、窓の外を見てみると、


「……ちぃっ……」


 向かいの通りに、首から上がなくなっている死体が、何体か転がっていて、

 あちこちで、モクモクと煙が上がっていた。


「……なんで……今日……」


 ギリリっと奥歯をかみしめるセン。


「まさか……剣翼が舞うタイミングは……ランダムなのか……?」


 地獄のような予想をしてしまったことで、

 センの頭が真っ白になりかけた。

 フラっとして、倒れかけた。

 というか、実際に倒れてしまった。


 意識を失ったわけではないが、

 脱力してしまい、大の字で、天上をにらみつける。


「……くそがぁ……」


 吐き捨てながら、

 どうにか立ち上がって、窓の外をにらみつける。


 世界は、間違いなく終わっていた。


 絶望に打ちひしがれていると、

 そこで、センは、一台のバイクが、

 こちらに向かっていることに気づいた。


 ヘルメットはしていなかったが、

 仮に、ヘルメットをしていたとしても、

 彼女がカズナであることには気づけただろう。


 なぜなら、二回目だから。




 ★




「これは、いったい……どういうことでしょう? まさか……発動は、ランダムなのでしょうか?」


「その可能性もあるだろう……ただ、一つ、予想すると……もしかしたら、『ウムルを殺す』というルートを通らないと、即バッドエンドになってしまう……のかも……」


「……なるほど。ウムル=ラトを撃破することが、トゥルーエンドに届くための『絶対条件』の一つ……ということなのでしょうか?」


「かもな……この予測が当たっていた場合……ウムルだけじゃなく、他のGOOにも……いや、GOOだけじゃなく、ありとあらゆるすべてに、『絶対条件』となる分岐点が設定されていて、ミスったら即アウトになるのかもしれない……」


「……いかが……いたしますか……これから……」


「さいわい、銀のカギは、もう一本ある……次は、ウムルを確実に殺す……その上で……『辿るべきルート』を模索していこうと思う……」


 センは、折れそうになる心を必死に押さえつけて、


「どこにドボンポイントがあるか、さっぱりわからない以上……無数の試行回数が必要になる……となると……」


「銀のカギを……大量に入手しておく必要性がありますね」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る