92話 センエースに挑むという事の意味。


 92話 センエースに挑むという事の意味。


「無駄だと言っている! この空間内で私に勝てる者は存在しなぁああい!」


 立ち向かってくるセンをアッサリと叩き潰すルースー。


 アウターゴッドを何体も着込んでいるセンを大幅に超えているチビキャラ。

 このふざけた状況に対し、

 センは、


「まったく、ナメた話だよなぁあ! もはや、『狂気の具現』と言ってもいい俺が、こんな、カスみたいなチビキャラにボコられるとはなぁ! 世界観が壊れるからやめてほしいぜ!」


 などと叫びながら、

 センは、ルースーとの闘いに没頭する。


 没頭して、没頭して、没頭する。


 意識の全部が、ルースーとの闘いだけに注がれる。

 それ以外の何も考えられない戦闘ロボットとなって、

 センは、ただひたすらに、機械的に、

 自分の武を磨き続ける。


 何度ボコられようが関係なく、

 センは、ひたすらに、ルースーに挑み続けた。


 挑んで、負けて、

 挑んで、負けて、

 挑んで、負けて、


 繰り返した。

 何度も、何度も、何度も。



「な、何度! なんど負けたら理解できる?! 無駄だということが、どうしてわからない! いったい、何度おなじことをくりかえす?! 貴様、バカなのか?! 私には勝てないと言っているだろう! 無駄なんだよ! 貴様ごときが、どれだけ頑張ったところで! 私には絶対に勝てないんだ!」



「確かに、究極超神化7っていうのは非常に厄介だな。あんたは強い。あんたが強いというか、システムが強いな。俺も使ってみたいよ、その変身技」


 センは、言葉を返しつつも、

 しかし、意識の全部が、武の研鑽にのみ費やされている。


 言葉は意識を通っていない。

 ただの反射。

 思っていることを、ただ垂れ流しているだけ。


「究極超神化7と比べたら、俺の究極超神化プラチナムってゴミだなぁ……真だろうが素だろうが関係ない。俺も究極超神化7が使いたいなぁ。叫んだら使えるようになったりしないかなぁ。ためすのも悪くないなぁ。……よし、やってみよう。究極超神化7!!」


 口に出してみたものの、

 当然、言えば叶うというものでもないので、


「ダメかぁ。ワンチャンあるかと思ったんだけどなぁ……ていうか、俺にも、究極超神化7を使えていた時期があるような気がするんだけど、気のせいかなぁ。デジャブかなぁ。俺、あんまり、デジャブとか感じないんだけどねぇ。いや、まあ、嘘だけどねぇ。まれによく感じるけどねぇ。『あれ? この道、前に通ったことあるような気がする』みたいな感じに、まれによくなるんだよねぇ」


 『100%意味のない言葉』を垂れ流している間にも、

 当然、センとルースーの闘いは続いている。


 続き続けている。

 永遠に終わりが見えない死闘が、

 ずっと、ずぅぅっと、続いている。


「勝てないと言っているだろう! もうやめろ! 異常だぞ、貴様! もう貴様と戦うのは飽き飽きしているんだ! 私たちは、もう『二か月』も闘い続けているんだぞ! 流石に、もういいだろう!」


「ははっ。たかが二か月で、何を弱音はいてんだ。こっちは、初日の段階から、『あ、これ、年単位コースだな』と覚悟していたぞ」

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