40話 いやぁ、いい闘いだった。おたがいの熱い魂的なアレが激しくぶつかりあって……

 40話 いやぁ、いい闘いだった。おたがいの熱い魂的なアレが激しくぶつかりあって……


「この先、お前がいくら頑張っても無駄」


 ペラペラと、テンポだけは小気味よく、


「まあ、しかし、そう悲観することもない。俺は、『頭を打ったサイ〇人』が裸足で逃げ出すほど心がまっすぐだから、お前を、あえて殺そうとはしない。俺ほどの純粋さがあれば、差別意識指数が振り切っている筋斗雲ですら余裕で乗りこなせるだろう」


 意味のない言葉を並べて揃えて、


「すでに、俺の勝利は確定した。よって、この戦いは、この辺でお開きといこうじゃないか。いやぁ、いい闘いだった。お互いの、熱い魂的なアレが激しくぶつかりあって……うん、非常にいい闘いだった」


 どうにか手打ちに持っていこうと、

 必死に、


「元の場所に帰るために必要な資源とかは、火星とか土星とかから集めてくれればいいから。あんまり、『俺の世界の星』を削ってほしくないけど、うん、今回ばかりはしょうがない。こっちから呼んでしまったという引け目があるからな。特別に、許す! この世界の王として、正式に許可する! よきにはからえ! というわけで、今日のところは解散ということで――」


 そこまで言った時点で、

 ウムルは、




「……なるほど、さすがに魔力が尽きたか……」




「……」


 『ギクっという効果音』を背負っているとしか思えない、

 『ガッツリと、こわばった顔』をするセンに、


 ――ウムルは、


「ここまでの無様をさらしたのは、神になってから初めてかもしれない……許せないな……この羞恥心を『処理しないまま帰る』ということは……私にとって、ありえない行為」


 そう言いながら、

 再度、あらためて、全身に魔力とオーラを供給していく。


「さあ……闘いの続きをはじめようか」


「……やめておいたほうがいい。死人が出るぞ」


「心配無用。おそらく、今の貴様に、私を殺す手段はない」


「バカめ。何がどうとは言えんが、とにかく愚かだ。お前は、アレだ。浅慮が浅い。自身の危険が危ないという事に気づけていない。まずは、センエースさんは永久に不滅ということを理解するところから初めてみるべきであると――」


「属性変更。舞い踊れ、猛無の剣翼」


 宣言の直後、

 黒色だった刃は、

 『濁った灰色』に変色し、

 先ほどよりも俊敏に、

 センエースへと襲い掛かってくる。


「どわっ! ちょっ! なんか、速いぞ! おい!」


「特殊系のルーンを全て削り、パワーとスピードに特化させた」


 デバフ系の追加効果を無くした代わりに、

 『飛翔する刃』の物理的な意味での価値を極限まで高めた。


 しっかりとした魔力で防御されると、

 非常に通りが悪くなってしまう脳筋スタイル。

 ただ、魔力が枯渇した相手には、

 非常に有効な一手。


「スマートさのカケラもなく、泥臭く、みっともなく、無様に……削り切る。死ね、闘いの神よ」

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