28話 センエースは聖人ではない。
28話 センエースは聖人ではない。
慰謝料を請求してくるテンプレヤンキースの一同。
その行動に対し、ケバケバしいギャル1号が、
「きゃはは、やめなよー。その子、震えてんじゃん」
などと、笑いつつも、かるく仲裁に入ってきた。
そのオカン的行動を、ヤンキー連中は、軽くウザがっているものの、しかし、彼女の見た目が、間違いない『A級』であるため、『ギャル1号に嫌われるのは、普通にイヤだな』という単純な感情が働き、
「ちっ……」
テンプレヤンキー2号は、聞こえない程度の小さな舌打ちをしてから、
「じゃあ、5000円でいいや。これ以上は下げねぇぞ」
「ぶつかったのは事実なんだか、そのぐらいのケジメはつけてもらわないとなぁ」
などと詰め寄ってくるヤンキー連中に対し、
センは、
(……んー……こいつらが死ぬのは、俺的に、別にかまわないんだよなぁ……)
などと、心の中で、命の重さについて検討する。
(ほんのりまともそうなギャル1号以外は全員死んでいいなぁ。ヤンキー1・2・3号はもちろん死んでいいし、俺に対して、ゴミを見る目を向けている、あのギャル2号も死んでいいな。こいつらが死んでも、何もしんどくはない。世の中が、こういう連中であふれていたら、俺もしんどい思いをしなくてすむんだけどねぇ)
この世には『生きている価値のないカス』も大勢いる。
そういう連中まで助けたいとは毛ほども思っていない。
センエースは聖人ではない。
『一般人に迷惑をかけるカス』の事は普通に嫌いで、
彼らのようなカスを『命がけで守る気』などは微塵もない。
『社会にとって公害にしかならないカス』は『普通に死ねばいい』と思っている。
『率先して殺してやろう』とは思っていないが、
『こんなやつらは消えてなくなったほうが社会のため』だとは普通に思うのである。
何度でも言うが、センエースは、決して、聖人ではない。
大事なものは死んでも守りたいと思っているが、
ただのカスのことはどうでもいいのである。
(どうしようっかなぁ。俺は、今、とてつもなく不機嫌だということを、この熱いナックルパンチで教えてやろうかな……)
『人類全ての命を一身に背負っていて、すごく大変である』という鬱憤(うっぷん)を『こいつらの顔面で晴らしてやろうか』などと、危ないことを考えつつ、
しかし、もちろん、
(まあ、どんだけムカついていようと、さすがに、ちょっと絡まれたくらいで手を出したりはしねぇけどなぁ。そういうことをやりだしたら、このバカどもと同じになる。それは、プライドが許さない……なんてことを言いながら、怒りに任せて、佐田倉の爪をはいだのは、どこのどいつだ~い? あたしだよ!)
などと、心の中で、どうでもいいギャグをかましていると、
そこで、しびれを切らしたテンプレヤンキー2号が、
センの胸倉をつかみ上げて、
「なに、シカトしてんだ、おい。5000円だ。はやく、出せよ。非常にリーズナブルだろうが! 小学校高学年レベルの小遣いで充分賄える額だろうが!」
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