第34話 ふみゅ~~~~~!! Part2
第二の試練が恐ろしいほど楽になった。
試練の内容自体は変わっていないけど、今まで通ったことのある途中の即死トラップをスキップでき、すぐに先ほど死んだところからスタート出来るので、敵や罠のパターンの記憶が新鮮なまま挑むことができるのは本当にありがたかった。
「あのコミカルな猫の所をクリアするのに5回再挑戦したけど、3時間程度で突破できたからセーブは神アプデだよ」
もしセーブが無かったら、少なくともこれにプラス10時間はかかるところだった。
『そうだな。もっともあの料理が食べられなくなったことだけは残念だが』
『そうだの。あんなにも夢中に食べてしまう料理は初めてじゃったのに……』
何言ってるんだこの2人は。
僕の代わりに食べてくれるから文句を言うのもどうかと思うけど、毎回人が美味しそうに食べてるところを見るのって割と辛いんだよ。
僕としてはあの試練を毎回やらなくなって良かったと思う。
そうして僕らはコミカルな猫の箇所を突破した後、さらにいくつもの難所や即死トラップを踏み越えること1週間経ったころだった。
―――――――――――
GOAL?
―――――――――――
GOALと文字の書かれた看板を発見した。
「よ、ようやく終わり?」
『最初から通しで移動した場合、下手すれば半日はかかる距離だったのではないか?』
「それをノーミスでクリアしろとか、鬼畜にもほどがあるよ……」
『この試練にかなり力を入れておるようじゃの。クリアを絶対にさせないという意思しか見えんの』
クロとシロも僕と同じようにげんなりとした表情を浮かべており、滅茶苦茶疲れているように見える。
死んでからすぐに再挑戦なんてしてるから、クロとシロもそりゃ疲弊するに決まってるか。
セーブが実装してから1週間頑張っただけあって、疲れもひとしおだ。
セーブがある分もっとサクサク進んですぐに終わると思っていたのに、コミカルな猫のところでまだ6分の1程度だったとは思わなかった。
シロが言う様にこの第二の試練に全てを賭けてるのではと思うほどの試練の長さだったよ。
というか、罠のネタがよく尽きないなと逆に感心するレベルだ。
いや、さすがにこんな試練させられたからキレ散らかすけど。
『これで終わりならとっとと終わらせてしまうぞ。もう早く休みたい』
クロがそう言いながら看板に近づいていくところで、ふと何かが頭によぎった。
何か忘れているような?
そんな感覚がするもここ1週間の疲れのせいで気がそこまで回らなかった。
看板に書いてある不穏な〝?〟も含めて。
クロが看板に触れようとした瞬間、看板がまるで触られたくないといいたげに横にスライドして避け、看板があった箇所からは代わりに巨大な鉄球が飛び出してきた。
『なんだとーっ!!?』
「『クロ!?』」
鉄球にぶち当たったクロはそのままどこかに吹き飛ばされてしまい、戻ってこなかった。
どうやらやられてしまったようだ。
『最後の最後まで油断できぬ試練のようだの。全くもって厄介じゃ』
「というか、〝GOAL〟の後に〝?〟とか書いてある時点で何かおかしいと気付くべきだったよ」
『確かに迂闊であったの』
今度はシロが慎重に近づくけど、看板はクロから避けた時の位置のまま動かなかった。
『ふむっ、看板から先には進めないのか。となるとここがこの試練の終着点だと思ってよいのか?』
シロが看板を無視して先に進もうとしたけど、見えない壁に阻まれて進めそうになかった。
ということは死に戻りするような仕掛けはこれ以上ないのかな?
『むっ? ちょっと来てくれないか主様』
「どうしたの?」
周囲を見渡した後、看板をふと覗き込んでいたシロに言われるがままに近づくと、シロは看板をよく見てほしいと言ってきた。
一体何が書いてあるんだ?
―――――――――――
GOAL?
顏+鍵+貼+1分=GOAL
―――――――――――
看板の隅に小さく書いてあった謎の文字。
なんなのこれ?
『分かるか主様?』
「いや、こんな謎の文字分かるわけないよ」
でもこの謎を解けば今度こそ本当のGOALであり最後のギミックだとは思うけど、一体どんな仕掛けなんだろうか?
………
………………
………………………ん?
いやいやまさか、そんなはずあるわけ……。
書かれていた文字を連想ゲームのように考えていくと、思い当たる事が2つあった。
だからこそそんなはずはないと思いたいのだけど、それ以外特に考えつく事何もなかった事に軽い眩暈を覚えてしまう。
『どうしたのじゃ主様よ』
「……いや、うん。ちょっとこの看板に書いてあることで思い当たる事があるというか、出来ればそんなはずないといいなと思ってる事があってね」
『この看板の謎が分かったのか!?』
「違うかもしれないよ?」
『構わんよ。妾には皆目見当もつかぬし、そもそもこういう謎解き系は苦手じゃ。だから主様に考えがあるというのであればそれに従うだけよ』
シロがそう言ってくれたので僕は一旦外に出るべく、シロと共に死に戻りするために先ほど鉄球が飛び出した大穴にわざと飛び込む。
『ん? 死に戻りしなかった上に、ここは第一の試練ではないか?!』
死ぬことなく、大した衝撃も感じずに地面に降り立った僕らの目の前にあったのはあの大量の料理のある場所、第一の試練だった。
「あれ、ホントだ。……なおさら嫌な予感が当たってそうだなぁ」
『あ、主様よ。落ち着いておるが、また最初からやり直しなのだぞ!?』
「いや、うん、多分大丈夫……」
『そうなのか?』
慌てふためくシロをなだめ、僕は目の前にある料理をシロに食べてもらった。
あの〝ショートカットの鍵〟を手に入れるために。
『そう言えばそれは道中使えそうな箇所はなかったの。宝箱に鍵穴があっても、それに突き刺したら四方八方から矢が飛んでくるトラップじゃったし』
今の今まで忘れていたこの〝鍵〟。
看板に書かれていた〝鍵〟がこの〝鍵〟を指すのであれば、あとの文字はおそらく……。
100皿食べ終えたらすぐさま第二の試練へと移動する。
「シロ、あの扉を開けてもらっていい?」
『ぬっ? そこは行き止まりであろう?』
「うん。だけどお願い」
『承知した』
シロに頼んで開けてもらった扉。
それはクロが真っ先に死ぬことになった、この試練で真っ先に目に入る扉だ。
矢が飛んできてドアノブからは毒針は出て来る
―――――――――――
行き止まりだよ! m9(^Д^)プギャー
―――――――――――
この看板がある部屋だ。
『相変わらず腹の立つ看板だの』
「うん、だけどこの看板に用があるんだ」
『なに?』
最後の看板に書かれていた〝顔〟だけど、この試練で唯一顔文字が書かれていたのはこれだけだった。
これが〝顔〟を指すというのであれば――
僕は〝m9(^Д^)プギャー〟に〝ショートカットの鍵〟を〝押し付け〟〝1分〟待った。
――パン、パパンッ!
看板が弾け飛び、クラッカーを鳴らしたかのような軽い音がした次の瞬間、僕らの目の前には次の試練と思わしき扉が出現し、空中に大きく〖CLEAR!〗の文字が浮かび上がった。
………。
ふみゅ~~~~~~~~!!!!!!!
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