第16話 [チーム編成](1)

  

「高宮さん、ごめん。なんかスキルが解放されたってメッセージが出たから確認していい?」

「え、このタイミングでスキルが手に入ったんですか!?」

「いや、ちょっと調べてみないと分からない」


 手に入ったのではなく解放って言ってたから多分[ソシャゲ・無課金]に何かしら変化が起きたんだと思う。レベルアップ以外でも変化するんだね。

 僕はそう思いながらステータスを見てみた。


 ───────────────

 鹿島 蒼汰

 レベル:5

 HP(体力) :28/28

 SV(技能値):7


 スキルスロット(1)

 ・[ソシャゲ・無課金]

 →派生スキルⅠ:[フレンドガチャ]

 →派生スキルⅡ:[チーム編成]

 ───────────────


 どうやら派生スキルがまた増えたみたいだけど、それよりもスキルスロットが増えてほしいと思うのはわがままなんだろうか。

 いや、ワンチャン新しく生えたこの派生スキルが戦闘で使える能力かもしれないんだ。

 とりあえずステータスボードのスキルのところをタップして[チーム編成]の具体的な能力を調べてみよう。


 [チーム編成]:パーティーを組んでいる者を対象とし、その者の強化及び装備の設定が可能となる。


 うーん、これはどう見ても自分が強化されないパターンですねー。


 どうもこのスキルの能力から察するに高宮さんとパーティーを組んだことがきっかけでスキルが解放されたようだけど、パーティーなら講習の時にも組んだことがあるのにその時には解放されなかったのは何故?

 やはりレベル、と言うよりSVが一定値ある状態で解放条件をクリアすればスキルが増えるのかな?

 憶測だけどそう間違ってはいないと思う。


 今後レベルが上がる度に何かしら行動した方がいいのかもしれないけど、手あたり次第に動いてもどうしようもないので運に任せるしかないかな。


 さて、それはさておき今は派生スキルの方だ。

 この[チーム編成]で何が出来るかを試したい。が、会ったばかりの女の子で試すのもどうかと思わなくない。


「あの、先輩?」


 どうしようかと考えていたら高宮さんが声をかけてきた。


「どんなスキルだったんですか? わたしのスキルも教えますので良かったらお互いに情報交換しません?」


 スキルを詮索するのは冒険者としてマナー違反のため先ほどは深く聞かなかったけれども、互いに了承を得れば問題ないし、何より一時的とは言えパーティーを組む以上、仲間がどんな事が出来るのかを把握していないと連携が取りづらいので、教え合うのならいいのかもしれない。

 それにお互いデメリットスキルなので馬鹿にされたりしないだろう、と言う安心感もある。


「分かった、いいよ」

「ありがとうございます! ただ、実はもしも先輩がスキルを教えてくれなくてもわたしは自身のスキルを開示するつもりでした」

「え、どうして?」

「出口まで戻る際におそらく戦闘が一度か二度はあると思いますが、その時に先輩は無傷でゴブリンを倒すことはできますか?」

「どうだろう? 一度だけならともかく何度か戦闘したら無傷では無理だと思うけど」


 プロテクター越しにだけどゴブリンの攻撃を受け止めることはあるし。


「もしも話さなかったら、助けていただいたのに恩を仇で返してしまうことになりますから」


 そこまで言うスキルって何なんだろ?


「わたしの[ゲームシステム・エロゲ]ですが派生スキルが2つ生えていて、[損傷衣転]と[重量装備]と言うスキルです」

「派生スキルの名前のカッコよさ」

「言わないでください……」


 [ゲームシステム・エロゲ]と派生スキルの名前の落差が酷すぎるなと思いながら、高宮さんの話に耳を傾ける。


「[重量装備]は自分よりも大きい武器を自在に扱うことができるスキルです。そのため普段は大楯を使用していたのですが、先輩が倒してくれたゴブリンがその場に放置したのか手元にないので今は使えないスキルですね」


 わざわざ使えないスキルの説明までしてくれるとは。

 別にここを出るまで使えないのであれば黙っていても良かったんだけどね。

 ただ、今は使えないスキルでないなら、もう1つの変わった名前のスキルの方が何かしらの問題があるのかな?


「もう1つの[損傷衣転]ですが……」

「言いたくないならいいよ?」


 高宮さんが喋るのをためらっていたので思わずそう口にしていた。


「い、いえ、大丈夫です。むしろ言わなければなりません! その……[損傷衣転]はわたしやパーティーメンバーがダメージを受けたときに、現在着ている服にそのダメージを肩代わりさせるスキルです」

「……それ、なんてエロゲ?」

「ううぅ」


 彰人がよくやってるエ……ギャルゲーでも、攻撃されて服はボロボロになるのにその下の肌は何故か無傷、なんてシーンを見たことがあるけどまさにそれのようだ。

 よくよく考えると[重量装備]も女の子が大きな武器を使って戦うといったゲームもちらほらあった気がする。


「一見[ゲームシステム・エロゲ]に関係なさそうなスキルでも、なにかしらの要素が関わってくるのか」

「もうわたしのことはいいんです! それより先輩のスキルはどんなスキルなんでしょうか?」

「あ、うん、僕のスキルは――」


 [フレンドガチャ]と[チーム編成]のスキルがどんな能力なのか説明した。


「だから先輩は毎朝校門前で挨拶していたんですね」

「分かってもらえてなにより」

「と言うことは、[チーム編成]が先ほど増えたスキルですか。もしも良かったらわたしで試してみませんか?」

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