第17話 [チーム編成](2)
高宮さんが許可してくれたので早速、スキル[チーム編成]を試すことにした。
[フレンドガチャ]と同じようにスマホが現れ、今までガチャの画面しか出なかったのにフリックで切り替えが出来るようになっており、そこにチーム編成の画面が出てきた。
「パーティーを組んでるからか、すでに高宮さんがチームメンバーに登録されてるね」
「あ、わたしがここにデフォルメされて映ってます。ホントのソシャゲみたいで面白いですね」
チーム編成の枠は3枠あり、パーティーを組む際の上限が4人までなので、やはり僕以外のメンバーに適用される能力のようだ。
「〈武具〉〈衣装〉〈スキル〉〈育成〉の4項目か」
僕はまず武具のところをタップする。すると空欄のマスが1つ出てきた。
「これはどうすれば?」
「あ、ここにヘルプがありますよ」
「無駄に親切設計」
ヘルプによるとまず空欄のマスをタップし、次にその人物が現在所持している武具にこのスマホを近づければいいらしい。
「シャベルは武具扱いなんだろうか?」
「とりあえず試してみましょう」
実際にスマホを近づけてみるとシャベルが光の粒子になってスマホに吸い込まれていった。
――ポンッ
「わっ!」
軽い音とともに高宮さんの前にシャベルが再び現れたけど、一体何の意味が?
意味が分からなかったのでヘルプを参照していくと、ビックリすることが判明した。
「どうやら装備に登録した物はオリジナルがスマホに保管されて、それのコピー品が今高宮さんの目の前に現れ使用できるみたい。しかもそれが壊れても同じ物が何度でも出せるんだって」
「本当ですか!? すごい機能ですね……」
「さすがに1度に出せるのは1個までだし、壊れたからってすぐに出てくる訳じゃなくて1回1回スマホを操作しないといけないみたいだけど」
「それでも十分破格の性能ですよ」
「自分には使えないけどね」
自分のスキルなのに自分には一切恩恵が返ってこない謎仕様なのが泣けるね。
「はっ! 先ほど衣装の項目がありましたけど、ま、まさか今着てる服も同じように何度も出せたりするのでしょうか?!」
「えっ………、あ、うん出来るみたい」
「凄いです先輩! ぜひわたしの服も先ほどのシャベルのようにお願いします!」
「分かったよ」
[損傷衣転]で服がボロボロになっても僕のスキルでスマホをタップするだけで元に戻るのだからシナジー効果がすごい。
……そんなことを考えていたせいか、壊れても何度でも取り出せる機能に目がいっていたせいでお互い失念していた。
シャベルがどのようにして消えたのかを。
高宮さんにスマホを近づけると服が光の粒子となって吸い込まれていった。下着ごと。
「えっ? きゃああああああああああああ!!!!」
「うわっ!?」
一瞬で全裸になってしまった高宮さんだけど、光の粒子が大事な部分を隠しており、完全に光が吸い込まれる前に高宮さんは手で大事な部分を隠せていた。
――ポンッ
出現した服はちゃんと高宮さんが着た状態で現れたけど、軽快な音とは裏腹になんとも言えない沈黙が僕らの間に漂った。
「……見ましたか?」
「信じてもらえるか分からないけど見えなかったから」
「…………………………分かりました、先輩を信じます」
長い沈黙の後、なんとか今の事態を吞み込んだのか手をどけて姿勢を正した。
「おそらく今のも[ゲームシステム・エロゲ]のデメリットでしょうからお互い忘れましょう。不注意だったわたしの方にも責任はありますし」
果たして僕は先ほどの光景を忘れられるのだろうか?
「忘れましょう!」
「頑張ります」
「う~~~」
ポカポカと殴られているけれど甘んじて受けよう。
「次にスキルだけど、これはどうなんだろ?」
「わたしのスキルと派生スキルが載っているだけですね。味方のスキルを把握できる機能と言ったところでしょうか?」
「さっきのコピー品が出せる機能に比べるとイマイチ地味だね」
「人のスキルを詮索するのはマナー違反なことを考えると、この機能は黙っておいた方が良さそうです」
「まあ組んでもらえる人がいないから意味ないけど」
言ってて悲しくなってきた。
「最後に育成だけど……」
「どうしましたか?」
「いや、さっきまでは装備とかに影響があったからまだ良かったけど、これは本人に影響が出そうだから大丈夫かなと思って」
「それは気にしなくてもいいんじゃないでしょうか。少なくとも悪い影響はないでしょうし、育成という名前通りなら強くなれるのですから、わたしとしましては拒否する理由がないです」
「そう? そこまで言うなら試してみようか」
僕が育成をタップするとそこには必要なアイテムが表示されていて、どうやらそれを消費することで高宮さんを成長させることが出来るらしい。
「何に使うか分からなかった〔成長の種〕だけど、これで使うのか」
「先輩のスキル専用アイテムですね」
「自分に使えればな~」
でも逆に言えば自分に使えないのだから、いつまでも持っていてもしょうがないとも言える。
せっかくの
[フレンドガチャ]でもっとも
「それじゃあ早速使ってみるね」
「お願いします」
果たしてどんな効果があるのか……。
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