第18話 攻略方法
『んん~、なに?』
何度目かの接触の後、ようやく身じろぎして眠そうな目をこすりながら、
「単刀直入に聞きますけど、【
『あふぅ、話すのめんどい』
あ、ダメだわ。
こっちをチラリと見た後再び顔を伏せて寝始めてしまったし、全くと言っていいくらい何もしようとする気がないね、これ。
「起きろー」
『いや~』
こんなの相手にどう交渉しろと?
あ、でもそう言えばさっきエバノラが興味を引きそうな何かをちらつかせる必要があるとかなんとか言ってたっけ。
……いや、興味のあるものって何!?
せめてエバノラそれがどういう類の物なら興味を持つのか教えてから、通話を切って欲しかったよ。
仕方ない、こうなったら直接聞くしかないか。
「答えてくれたら
『特にない』
こちらに対し歯牙にもかけない対応を一貫し続けるな。
これでは会話にもならないよ。
こうなったら[ガチャ]で手に入れた物を適当に取り出して様子でも見てみるか。
「アンパン、おにぎり、ハンバーガー、ポテチ」
『ふぁ~……ん』
「お茶、コーヒー、紅茶、牛乳、コーラ」
『むにゃむにゃ。あっ』
「ハンカチ、フィギュア、髪留め、漫画」
『すぴー、……むっ』
食い物、飲み物、雑貨。
食い物系に反応はしないと思ったけど、一応様子見で色々出したらポテチに少し反応し、飲み物はコーラ、雑貨では漫画に反応した。
堕落しそうなアイテムに反応するの?
いや、ポテチ、コーラー、漫画は堕落のアイテムじゃなくて、人の心を癒したり満たしてくれるアイテムだから。
ちょっと摂取が過剰だと堕落っぽい感じはするけれど。
しかし反応からいってやっぱりコレが一番効果的な気がする。
「人をダメにするシリーズ」
『ちょうだい』
即答だった。
コタツ、レストクッション、ビーズソファなどなど。
人類は己をダメにすると分かっていても作ってしまった商品の数々。
これにはさすがに反応したので、これを交渉に用いていこう。
「じゃあここの【
『うぇ~めんどくさ……』
そう言い出したので、腕を突っ込んでごろ寝ができるクッションを先に渡したらポツポツとだけど語りだしてくれた。
『君らが言うところの【
「それは分かってますけど、他の【
というか、それが出来ないから聞いている訳だけど。
いくら僕でもガチャしてー、と思いながらどう見ても人、それも無抵抗な人間にナイフを突き立てて殺せるほど狂ってないから。
『そうだね~。そもそもボクの力で生み出された【
そう言われて思い当たるのが、僕らが最初に出くわした【金の斧・銀の斧】をモチーフにした【
あの時は泉の女神と戦ったけど、そいつ自身ではなくその力で増やされ強化されたゴブリンと戦い、攻略方法が地面に広がる水を一定以上汚すものだった事を考えると、あれが“怠惰”の力から生まれた存在だったのは間違いないね。
『だからボク自身もそう。攻撃はできない代わりに織田信長という存在に関わった武将達が戦う』
「そいつらを3日以内に倒せばクリアなんですか?」
印籠が3日で消えて倒した武将が再出現するとなると、結局は当初の目的通り武将達を探して倒すしかないのかな。
『違う』
え、まさかの否定!?
『3日で倒しきる必要はない。印籠はボクの所に持ってくれば倒した武将は2度と復活することはない』
「「「おおっ!」」」
時間制限を気にせず目の前の人物の元に届けるだけでいいのなら、時間をかければ十分攻略する目途が立つ。
その場にいる全員がそう思ったのか興奮したように声を出したけど、その後の
『そして印籠を全て集めきった後、ボクをある場所に連れて行く必要がある』
「印籠を渡して終わりじゃないんですか!?」
倒せば終わりじゃないとか、中々に酷いな!
「ちなみにある場所とはどこなんでしょう?」
『本能寺。あらゆる物語で織田信長が終焉を迎える場所』
「それ、どこなんですか?」
まさかダンジョンの外にある本能寺跡地に連れてけって訳じゃないよね?
『このダンジョンの奥深く』
一応ダンジョン内ではあるようだけど、奥深くってここSランクダンジョンだから何百層も下の場所ってことですよね。
これは思った以上に大変な事になりそうだ。
「それじゃあ武将は何人いるんですか?」
『それは……もう、疲れた』
「え?」
『おやすみ』
「いや、ちょっ!? せめて答えてから寝てくださいよ!」
なんとか答えを絞り出させようとバシバシ叩いてみるものの、意に介すことなく寝始めようとする
それでもしつこく叩き続けたのが功を奏したのか、ボソリと
『んんっ……、ボクを本能寺に連れて行ってから本番。すぴー』
もう何も話す気はないと言わんばかりに完全に寝てしまったけれど、今不穏な事言わなかった?
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