第4話 1日目は魔物を倒すだけの簡単なお仕事
≪蒼汰SIDE≫
矢沢さんに身体能力を強化をされた後、僕らは自分達に割り振られた持ち場で戦闘を開始する事にした。
僕らは地上でダンジョン化している場所で安全地帯を設置するのが任されている役割だけど、その場所は2つのSランクダンジョンの中間点と、ダンジョン化しているギリギリの所の2箇所だ。
この広大な戦場で外から攻撃するだけでなく、中心付近でも戦闘ができるようにし、いざという時すぐに撤退できるようにするためだ。
なにせ魔物を寄せ付けないだけでなく、“怠惰”の魔女ローリーにいつの間にか与えられていた安全地帯同士を繋ぐ転移能力があるのだから。
しかしそれには魔物がいないスペースを作らないといけない。
安全地帯は魔物がいる場所には作れないのだから。
だから1日目は魔物をある程度間引き、2日目に強行突破で中央付近まで行き無理をしてでも魔物がいない空間を作る作戦になっている。
わざわざ危険を冒してまでする必要があるのかと思わなくもないけれど、中央付近に空白地帯を作る事でレイスとゴーレムが安全地帯の付近では混ざりづらくなり、その周辺ではどちらか片方としか戦わないで済むから戦闘が楽になるのだとか。
「まあ僕らにはあんまり関係なさそうだけど」
「どっちの魔物であっても冬乃先輩が遠くから一方的に攻撃するだけですからね」
「時々こっちに近づいてくるレイスやゴーレムは咲夜達が倒す」
「ええ。私は〔
冬乃はそう言いながら、左手首に触れて2つの【典正装備】を取り出した。
〔
「最初から全力でいくんだね」
「インターバルがあるし当然じゃない」
「ですが冬乃先輩。〔
「乃亜ちゃんの言う通り。無機物と霊を相手に火傷が効くとは思えない、かな」
そう言えば〔
そう考えると生身の肉体を持ち、火傷を負うことができるものにしか効かない気がするな。
いやでも、前使用した相手でスケルトンが肉体の無い骨だったけど火傷の効果はあったし、意外といけるのか?
「まあやるだけやってみましょ」
冬乃はそう言うと〔
準備はあっという間に完了した。
「それじゃあいくわよ。〈
〔
――ドゴーン!!
「「きゃっ!?」」
「っ!?」
オルガ達があまりの轟音に驚いているけど、僕らにとっては慣れたもの。
むしろダンジョン内でないから音が拡散して小さいくらいだ。
もっとも威力はダンジョン内で放った時と遜色はないけれど。
直撃を喰らったゴーレムは粉々に吹き飛び、周囲のゴーレム達も腕や足しか残っていない状態になり、レイスはまともに攻撃を受けた者は跡形もなくなり、その周囲は火傷でも負ったかのように身に纏ってる服みたいなのが燃え続けていた。
……レイスでも火傷するんだね。
「う~ん相変わらず凄い威力。はい、2発目お願い」
「分かってるわ。〈
「「ウソっ?!」」
「……っ?!」
今の威力を短い間隔で再び行える事に驚いているのか、3人共目を見開いてこっちを見ていた。
今のをやると初見の人は大概驚くんだよね。
周囲の人達もこっち見てるし。
さすがに遠く離れた人達は周囲で同等以上の攻撃が複数放たれているからか、同じ人間が短い間隔で何度も攻撃を放っていることには気づかないみたいだけど。
「冬乃先輩の攻撃は凄いですが、レイスはともかく相手がゴーレムだけあって、スケルトン達の時ほど数が減ってませんね」
「今地上を出てるのはロックゴーレムやアイアンゴーレム、ブロンズゴーレムだっけ? あれでも低層の魔物なんだよ、ね?」
さすがに骨と鉱物を比較するのは間違っていると思うけど、防御力が段違いで中々倒しづらいのは確かだね。
僕らが参戦する前から
日本じゃ
矢沢さん起きてられないんじゃないかな?
いや、今はそんな事気にしている場合じゃないか。
せっかくの大量レベルアップの機会なんだし、冬乃には出来る限り多く敵を倒してもらわないと。
僕はスキルのスマホをタップし続け、冬乃がすぐさまインターバルを無視して〔
「〔
「何体かこっちに向かって来てるけど、もうこれだけ近づかれたら冬乃の攻撃で味方に被害が出るかな」
乃亜の[損傷衣転]があるから僕らの被害は服だけで済みそうだけど、ソフィア達はそうもいかないだろうし。
「それでは近づいてきた敵はわたし達の方で片づけましょう」
「ようやく出番」
乃亜と咲夜が張り切って向かってくる敵と対峙しに行こうと向かって行ったけど、それに付いて行くようにソフィアさん達も追いかけていった。
「ワタシも戦うよ。でなければ何のために付いてきたのか分からなくなるからね」
「ああそうだな。それにレベルアップのいい機会だ」
「……倒す」
そう言えばこの3人が魔物と戦うところを見るのはこれが初めてだな。
どんな戦い方をするんだろうか?
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