第5話 [デウス・エクス・マキナ]と[聖騎士]
「咲夜先輩はゴーレムを。わたしはレイスの方を相手します」
「分かった」
乃亜は魔道具のモーニングスターを使って、向かって来たレイスを薙ぎ払って攻撃していた。
いつもであれば大楯で攻撃を防いだり振り回して牽制したりするだけなのだけど、今回はモーニングスターという敵を屠るための武器があるため、それで敵を難なく倒している。
しかしいくら[重量装備]の効果とはいえ、片手で大楯と巨大なモーニングスターを持って振り回すとか凄いな。
あんな事が出来るのって、宗司さんみたいな大柄な男性くらいなもんじゃないだろうか?
「はあっ!」
乃亜が掛け声を上げながら、振るわれたモーニングスターが2体のレイスを纏めて薙ぎ払い、攻撃を受けたレイスはそのまま倒れて消えてしまった。
いつもは大楯を使うから分かりづらかったけど、[重量装備]で攻撃的な武器を振るうのって結構な威力出るんだね。
「えい」
――ドゴンッ!
咲夜が気の抜ける掛け声をしながら拳でゴーレムを砕いているけど、そんな気軽に砕ける相手じゃないよね?
しかも今相手にしているそれ、
[鬼神]の効果で身体能力が上がってる上に、[ダメージ貫通]なんてスキルも持ってるから硬いゴーレム相手にも十分通用するんだろうなぁ。
「フユノだけじゃなくて、ノアもサクヤも凄いじゃないか。しかもフユノとノアは冒険者になって1年経ってないんだから自信を無くすね。
こっちも負けてられないな。[デウス・エクス・マキナ]起動。派生スキル[アームズオーダー][レッグオーダー]」
は?
ソフィアさんがなんだか凄いスキル名を言ったと思ったら、手足がメタリックカラーに変色しだしたんだけど、あれどんなスキルなの!?
「ふっ!」
ソフィアさんは瞬時に近くのアイアンゴーレムに近づくと、強く息を吐きながら剣を持っていない方の手を握りしめて、咲夜と同じように正拳突きを繰り出した。
――ゴォンッ!
「くっ、硬い……! やっぱりこのままじゃ一撃では無理だね」
ソフィアさんが悔し気に顔を歪めているけれど、そのアイアンゴーレムを殴った箇所がかなり凹んでいる上に、ゴーレムの様子を見る限り壊れかけの状態にまで損壊しているので、攻撃力としては十分だと思うよ。
文化祭の時、秘密と言っていたスキルはこれのことか?
確かにアイアンゴーレムをあんな風に出来るスキルを持つと分かっている相手に、頭を差し出すのは勇気がいるかもしれない。
「派生スキル[ファーストギア]!」
十分だと思っていた攻撃力がさらに上がった。
一撃で破壊しきれなかったアイアンゴーレムに対し攻撃を加える瞬間、肘の部分がスライドしてジェットエンジンのようなパーツが飛び出したと思ったら、放たれた拳が先ほどとは比にならない速度で繰り出され、アイアンゴーレムは粉々に粉砕された。
「これなら一撃でいけるね!」
おそらくユニークスキルである[デウス・エクス・マキナ]は、どう見ても人体のサイボーグ化だよね。
今は腕や足だけだけど、全身がそうなってもおかしくないし、なんなら特殊な装備とか付きそう。
やばい。男心的にちょっとあのスキルカッコいいと思ってしまう。
「行くぞレイス共。私の[聖騎士]の力、とくと見るがいい!」
ソフィアさんから少し離れた場所でオリヴィアがレイス相手に戦おうとしているけれど大丈夫なんだろうか?
持っている剣はただのロングソードで魔道具じゃなさそうなんだけど、それではレイス相手に攻撃できないのでは?
「はっ!」
そう思っていたら、オリヴィアさんはあっさりとレイスを斬ってしまった。
その手に持つ剣は光り輝いており、乃亜達が持つ魔道具のように――いや、それ以上の効果を発揮してレイスにダメージを与えているように見える。
[聖騎士]というスキルの名前から察するに、神聖な力を武器に付与して戦えるのかもしれない。
そうなると霊に対する特効があってもおかしくないのか。
ゴーレムよりもレイスを相手どろうと動いてるように見えるし、ゴーレムには効き目が弱い、もしくは無いのだろう。
「ソフィアさんのスキルには驚かされたけど、オリヴィアさんのスキルは意外と普通かな?」
ユニークスキルっぽい[聖騎士]を普通と評していいのか悩ましいけど、少なくともソフィアさんと比べるとそこまで奇天烈な感じではないから妥当な評価だと思う。
「どうかしら? オリヴィアさんの方はどちらかと言えばスキル云々よりも、実力、というかレベルが他の人達に比べて低いように思えるわね。〈
冬乃が〔
「オリヴィアさんは乃亜さんと同じ学年だし、レベル上げの期間が乃亜さんと同程度であることを考えると仕方のないことなのかもしれないけど。〈
そう言われてみればレベル差を意識していなかったな。
そうなってくるとオルガはこの中で誰よりも長くダンジョンでレベル上げをしているはずだけど、レイスやゴーレム相手にどのように戦っているのだろうか?
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