第6話 みんな違ってみんな良い

 

 各々好きなゲームで遊んだり、合流したりして自由に行動した後、最後にエアホッケーでみんなで遊ぶことにした。


 ハッキリ言ってこの3人と一緒にやるのは無謀だったと言わざるを得ない。

 なんせ冒険者の活動をしてレベルが上がっているので、身体能力も向上している訳だけど、それには当然個人差がある。


 1番身体能力が高いのは当然咲夜で、ついで獣人の冬乃、乃亜と続いて、最後に僕だ。

 と言うか、普段サポートばかりのせいか身体能力は同レベルの冒険者達より低いようで、この中どころか下手すりゃ自分より低いレベルの人より身体能力が低い。


 レベルを上げても他の人と同じだけ成長するのではなく、その行動次第で上昇値は変わるのでレベルなどおまけとも言える。

 だからこそ前に参加した迷宮氾濫デスパレードではほとんどの人が試験を受けて、実力を示す必要があったんだ。


 つまり何が言いたいかと言うと――


「この3人に囲まれてのエアホッケーって無謀なのでは?」


 今も高速で薄い円盤パックが互いの陣地を行き来してるけど、ぶっちゃけ速過ぎてほとんど自陣のゴールから動けなかったです。


 まあ勝負ではなく遊ぶのが目的なので、1対1でやったりパートナーを組んで面白おかしく遊んだわけだけど、渾身のショットを咲夜に上から普通に押さえつけて止められたのはショックだった。

 本気で打ったから相当速いはずの円盤を「よっ」の一言で止められた時は思わずポカンとしちゃったよ。


 十分に楽しんだ僕らはゲームセンターを出るころにはそれなりに時間が経っていて、気が付けば正午になっていた。

 なので適当なチェーン店のお店でご飯を食べ、続いてはボウリング場へと突入した。


 再びナンパがあったけれど、先ほどのゲーセンのノリで撃退。

 乃亜と咲夜はともかく、冬乃も流れるように僕に触れてきていたけど慣れたのかな?


 ……しかしこの3人凄いな。

 冬乃がその容姿から注目を浴びやすいのもあるんだろうけど、乃亜と咲夜が加わるとナンパされる率が上がるのか、今日だけで3回目だよ。

 ちなみに2回目は先ほどお昼を食べた場所です。


 場所を移すたびにナンパにエンカウントすると、またかと思い、段々ウンザリしてくる。


「3人って普段からナンパされることって多いの?」


 ダンジョンに行く時には、パーティーが4人までなのもあってナンパ紛いの誘いは今までなかったけど、もしかして普段1人でいる時とかでもナンパされてたりするんだろうか?


「そんな事はないですね。お姉ちゃん達と一緒に遊びに出かけた時に数回ありましたけど、お姉ちゃん目当てでしたし」


 乃亜は首を振って否定していた。


「咲夜も今までこんな事なかった。……あんまり外に出かけないのもあるけど」

「私もスキルが身に着く前は1、2回程度はあったけど、こんなに頻繁にはなかったわ」


 ナンパされた事があるだけでも凄いと思うけどね。


「ところでスキルが身に着いた今は?」

「ダンジョンに潜る直前にはよく声をかけられていたわ。一目でユニークスキル持ちだって分かるから、ソロで潜ってた時は戦力的にも当てにされて声をかけてきたんでしょうけど」

「ああ、なるほど」


 戦力になる美少女だったら、そりゃ頻繁に声をかけられるよ。


「でも、街を歩いていてこれだけ声をかけられた事はないわね。なんで今日に限ってこんなに多いのかしら?」


 冬乃が疑問に首を傾げていて、乃亜と咲夜も疑問に思っているけど、そんな3人を見て僕は気づいた。


 3人の容姿がものの見事にバラバラで、小柄でロリおっぱいのある子巨乳が好きなら乃亜に、ただの巨乳好きおっぱいマニアなら咲夜に、スレンダーな貧乳体型が好み萌えなら冬乃と胸だけでもここまで差があると、誰かしら好みのストライクゾーンに刺さるんじゃないかと思った。


 ……そう思ったけど口に出しては言えないな~。

 まあ胸だけでなく、顔だったり獣耳だったりと様々な要素があるんだろうけど。


「あ、分かったわ」

「何に?」


 冬乃が何かに気づいたようで咲夜がそれに対して疑問を投げかけているけど、待つんだ冬乃!

 じ、自分を傷つけるような発言はよすんだ!

 貧乳はステータスって色んな人が言ってるんだぞ。


「なんか今、侮辱しなかった?」

「気のせいでは?」


 勘の鋭さが凄い。

 前にもあったけど、こういう女の勘みたいなのって実は隠しスキルなんじゃないかと思うほどだよ。


「蒼汰と一緒にいるから、こんなにナンパの頻度が上がるんじゃない?」

「え?」


 予想外の発言に唖然としてしまう。

 まさかの僕が原因?


「男と一緒に歩いているから、逆に誰かあぶれている方となら付き合えると思うんじゃないかしら?」

「1組のカップルと女友達ってことですか? でもカップルと一緒に遊びに行くことってあるんですかね?」


 普通はカップルリア充と一緒に遊びに行こうとか思わないよね。


「もしくは男と遊ぶのに忌避感がないと思われるんじゃないかしら」

「ああ、なるほど」


 そう言う理由なら納得。


「じゃあどうしよ。僕は少し離れて歩いてみようか?」

「駄目です先輩。それでは一緒に遊びに来ている意味がないです」

「そうね。なんとなく理由がそうなんじゃないかって思っただけだし、他人を気にして遊べないんじゃつまらないわ」

「蒼汰君は気にすることないよ」


 みんなからそう言われたので、ナンパに関しては気にすることを止めて僕らはボウリングを楽しんだ。

 ナンパの率は異様に高かったけど、今日1日は久しぶりに遊べて楽しかった。

 たまにだったらまたみんなで遊びたいね。

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