エピローグ2

 

≪乃亜SIDE≫


 旅行から帰ってきてすぐに反省会をするために、冬乃先輩と咲夜先輩にわたしの自宅に来てもらいました。

 まあ冬乃先輩は弟妹の2人を連れ帰る目的もあるので、そのついでみたいなものですが。


「今回の旅行は成功半分、失敗半分でしたね」


 何だかんだで悪くない結果だったので失敗半分は言い過ぎかもしれないですが、最初の目的を考えるとやはり半分は失敗ですね。


「失敗? 蒼汰君がどう思ってるか、試練を通して正確に知れたから大成功だったと思う、よ?」

「た、確かに、好きとかずっと一緒にいたいって言ってくれたものね」


 咲夜先輩はわたしの発言にキョトンとしてますが、冬乃先輩が顔を少し赤らめて尻尾を振ってるとか、無意識に喜びを全身で表現しています。

 わたし達の中で何だかんだで一番乙女チックなのが冬乃先輩ですが、先輩に告白してから、いえそれ以前からも結構その一面が出てましたか。


「確かに先輩に好きだとか一緒にいたいだとか言われましたけど――」

「「けど?」」

「先輩と一緒に泊りがけで旅行に行ったのに、既成事実を作ることができませんでした!!」


 あの試練の後、さすがに疲れすぎてすぐに寝てしまい、翌朝には冒険者組合に報告に行ったりでそれをする暇がまるでありませんでした!


「の、乃亜さん!? いくらあなたの部屋だからって、声が大きすぎるわよ。他の家族の方に聞かれたらどうするの?!」

「問題ないです。お母さん達には後から報告するつもりだったので手間が省けます」

「オープン過ぎない!?」


 この旅行に行く前にお母さん達には先輩を堕としてくると伝えていたのですが、どこの家庭もこんな感じなのでは?


「乃亜ちゃんの言う通り、蒼汰君と肉体関係になれなかったのは残念だけど、焦る必要はないんじゃないかな? 蒼汰君がそういう関係になりたがらないのって、咲夜達のこと大事にしてくれてるからだし」

「に、肉体関係って……ん゛、っん。そ、そうよ乃亜さん。それに蒼汰の貞操観念が高い方が浮気される心配がなくていいじゃない」

「それはそうなんですよね~」


 ハーレムを勘違いして、色々な女の人に手を出すような人とハーレムを築くのは嫌なので、先輩が身持ちが固くて大変ありがたいのですがそれはそれ。


「でもやっぱりもっと親密な関係になりたかったですよね」

「それはそう」

「ま、まあ、それは、ね……」


 あの試練で強制的に発情させられている状態なら、手を出してもおかしくなかったのにまさか耐えられてしまうとは。

 一度手を出したのであれば、次のハードルが下がるというのに残念です。


「他の試練を受けていた方みたいに子供ができれば後戻りもできなくなるのですが、それは先輩が嫌がると分かった以上、その手は使えないですし」


 帰り際、一番最初に脱落した方達とすれ違った時に聞こえてきた会話。


「もうまー君。これ絶対孕んだよ」

「すまん。避妊してたはずだし、そこまで激しくした記憶が全くないんだが……」

「責任はとってね~」


 エバノラが言っていた通り試練中の記憶は失っていたようですが、そこで起きた出来事はなかったことにはならないようで、あの後子供ができると思うほど激しく致してしまったのでしょう。

 あれが訪れたカップルのほとんどが結婚する都市伝説の実態だと思うと、残念で仕方ありませんね。


「乃亜さん、焦る必要はないんじゃないの?

 どうせ結婚できるのは男女共に18歳なんだし、それまでにお金が貯まり切れば蒼汰も観念するわよ」

「法律がいつの間にか変わってなければ、お金の問題だけでしたのに……!」

「それだけは本当に残念、だね……」


 成人年齢引き下げとかするくらいなら、女性の結婚できる年齢をそのままに男性が結婚できる年齢を引き下げて欲しかった!


「全員が結婚できるようになるまでは、早くともわたしが18歳になるまでですか……」

「でも、あと1年半くらいだよ、ね?」

「そうだけど、私達全員と結婚するとなると結婚する条件で総資産12億必要になるから、1年半でそれだけの大金を稼ぐのは厳しいんじゃないかしら?」

「……ですよね~。でも――」


 どのみち結婚するのに時間がかかるのであれば、焦っても仕方がないのかもしれないですね。

 でもそれはそれとして――


「結婚するまでおあずけは嫌です! もっと先輩とイチャイチャしてみたい!」

「分かる」

「まっ、まあ、ね……」


 先輩が手を出してくれないのは仕方がありませんが、わたし達が手を出す分にはいいですよね。

 覚悟してくださいね、先輩……。



≪蒼汰SIDE≫


 ――ゾクッ


「な、なに? 今妙な寒気がしたような……」


 気のせいかな? 気のせいなはず。

 うん、きっと気のせいだ。


「みんなと旅行に行って、少し疲れたからかな? いや、少しどころじゃないか」


 遊びに行ったはずなのに、あんな大変な目に遭うなんて思いもよらなかったし。

 結果として【典正装備】や特殊なスキルが手に入ったのだからプラス、だと思わなければやってられないか。


「あ、そういえば試練中にクロとシロが脱落してたけど、もう復活したかな?」


 数日後にはまたみんなとダンジョンに潜ることになるだろうから、それまでには復活していて欲しいけど。


 そう思いながら[放置農業]を起動させると――


『『………』』

「………」

『あなたがワタシのご主人さまなのです?』


 …………増えてる?!?!?!



―――――――――――――――――

・あとがき

なんか最後、試練の後の説明が長くなってしまったなーと感じる6章はいかがでしたでしょうか。

蒼汰達がなにやらダンジョン操作権限なんてスキルを手に入れてしまったので、まさかここからチートな展開?なんて思われている方もいたかもしれませんが、主人公に[無課金]なんてスキルをつける作者が、主人公をそんな甘やかしたりはしません。

頑張って苦労してもらいましょう。


蒼汰)「酷くないですか?」

作者)『酷いのは貴様の股間の貞操帯だ』

蒼汰)「そんな物をつけた覚えはないんですけど?!」

作者)『言い直そう。酷いのはお前の股間と心の貞操帯だ』

蒼汰)「あんまり変わらないですよ」

作者)『貞操観念ガッチガチで逆に引くわ』

蒼汰)「何で作者にそんな事言われなくちゃいけないんですか」

作者)『ホントにな。今章でいい感じに乃亜達との関係を進められるかと思ってフタを開けてみたら、貴様のキャラ設定が邪魔して少ししか進まんかったわ』

蒼汰)「僕が悪いみたいに言わないでくれません? そもそも今章水着回って言ってたのに、4分の3試練でただ水着の恰好してただけでしたよ」

作者)『不思議だよな。読者にプロット見せたらなんでこれがこうなるの?って100%言われるレベルだわ』

蒼汰)「相変わらずこの作者のプロット息してないな」

作者)『ないよりマシレベルなのは認める。今回プロットを書いてた時は気づかなかったが、今章書き終わって、ある事に気付き恐怖を感じている』

蒼汰)「な、なんです? 設定崩壊して打ち切りとかじゃないですよね?」

作者)『そこまで酷くはない。前作の反省はいかしている』

蒼汰)「それじゃあ何なんですか?」

作者)『今章では実は――』

蒼汰)「ゴクリッ」

作者)『プロローグ後半からエピローグ直前まで日付が全く変わってないんだ』

蒼汰)「クッソどうでもいい」

作者)『いや結構重要な事だぞ。1章で1日しか進まないとか、お前が卒業するまでに【典正装備】何百個手に入れる事になるんだよ』

蒼汰)「今まで1章につき1個手に入れてきたわけじゃないですよね!? あと、そんなバカげた数のクレイジーテラーと相対したくないんですけど!」

作者)『作者も嫌だぞ。クレイジーテラーの内容と【典正装備】の名前と能力考えるの地味に大変なんだから』

蒼汰)「じゃあもっと普通の冒険させてくれません?」

作者)『無理』

蒼汰)「即答!?」

作者)『だってほら、もう今回の件で上に目をつけられたから』

蒼汰)「え、人があずかり知らぬところで大変な事になってる?」

作者)『喜べ少年、次回は大幅なレベルアップが期待できそうだぞ?』

蒼汰)「死にそうな目に遭うのはコリゴリなんですけど!!」


そんな訳でエピローグ1でもありました通り、次章はそんな感じになりそうです。たぶん?

ただまあ試練だった後にすぐ次の戦いというのもなんなので、ダンジョンとは関係ない幕間を書こうかなと思っています。

1話は書くことを決めていますが多くても3話かな?(1話しか書かないかもしれんけど)


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