第2話 今までで一番高い買い物
「オルガはともかく、ソフィアさんとオリヴィアさんは何で僕らと一緒に来てるの?」
オルガはロシア出身で自分の国の事なのだから分からなくもないけれど、ソフィアさんとオリヴィアさんは関係ないのでは?
「え、今更?」
「愚問だな。私には鹿島先輩達をこの身に代えても守る義務がある」
まあ人手があるのはありがたいと言えばありがたいけど。
「別にいいんじゃないですか?
「それはそうだよね。それじゃあ早速僕らも戦闘に参加していくけれど、前と同じやり方でいいかな?」
「私はいいわよ。
2つのSランクダンジョン、中国の〔レイスのダンジョン〕とロシアの〔ゴーレムのダンジョン〕からは、その名の通りレイスとゴーレムが地上へと出てきている。
レイスは物理攻撃が無効となっており、ゴーレムも物理攻撃が効きにくい相手なので、今回戦う魔物は接近戦は厳しい相手だった。
しかしレイス相手でも魔法のような効果が付与された魔道具を使えば接近戦でも問題なく戦えるので、乃亜達3人は相応の魔道具を購入している。
乃亜には大楯と巨大なモーニングスター。
冬乃と咲夜には籠手、防刃手袋、脛当、靴。
この魔道具はレイスと戦うために購入したものだ。
もちろん今回は国からの要請だったのでレイスと戦う為の支給品である魔道具もあったのだけど、そこそこ程度の性能だったし、武器の種類も剣や槍、楯と決まった物しかなかったのだ。
特に乃亜の[重量装備]のスキルにシナジーするような武器がなかったし、お金なら【
それに国から支給品分の金額は差し引いてもらったので、割と安く買えたし。
それにしてもモーニングスターって、随分マニアックな武器を乃亜は選んだな……。
そう言えば亜美さんも使ってたし、その影響かな?
僕は一応支給品の剣をもらったけど、おそらくこれを使う機会はまずないだろう。
念のためというやつだ。
ちなみに3人の装備のお値段、合計で驚きの2億6800万である。
安くしてもらってこれなのだから、高価な魔道具は本当に高いと実感したよ。
そんなお高い装備に目を向けていたら、その視線に気づいた冬乃が微妙な顔で自身の装備に目を落とした。
「私には[狐火]があるから、こんなのわざわざ買わなくてもよかったのに」
「何があるか分かりませんし、今後使わないという事は無いからいいんじゃないでしょうか?」
「乃亜ちゃんは大楯はいつも〔
「どうでしょう? まあ最悪いらなければ売ればいいので問題ありません」
でもあの大楯、5000万くらいしたんだけど買ってくれるかな?
みんなの持つ武器には〈死霊特攻〉や〈身体能力強化〉、〈火魔法〉の効果が付与されており、レイスには非常に効果的だ。
まあ〈火魔法〉っていっても武器に火を纏わすだけなんだけど、それでもレイスに近接攻撃できるようになるから十分だ。
「3人は随分高価な武器を用意したんだね。ワタシはレイス相手なら支給された剣だけで十分かな」
「それだけで十分ってソフィアさんは戦闘にすごい自信があるんだね。オリヴィアさんとオルガは?」
「私は自分のスキルで対処できるから問題ない。やはり武器は使い慣れた物がいいからな」
「……これ」
オリヴィアさんが言ってることは間違いないね。
普段と勝手が違うと戦い辛いだろうし。
オルガは……ナイフ?
「このナイフに何か効果があるの?」
「……ある」
何があるかは分からないけど、少なくともレイス相手でも戦えるのであれば問題はなさそうだ。
「じゃあ全員の準備は良さそうだし、後は乃亜達の服装を変更するだけだね」
「……こんな人が大勢いる場所でも、それを着ることにちょっと慣れてきた自分がいて嫌だわ」
これを受け入れてしまったら人としてお終いだと思っているかのような苦悶の表情を浮かべている冬乃は置いておいて、僕は[チーム編成]で乃亜達にコスプレ衣装を着せることにする。
乃亜にはあの大楯で前衛をするためあらゆる能力が10%上昇する新人用メイド服を。
冬乃は基本的に遠距離から攻撃をするので遠距離攻撃の威力が25%上昇する新人用巫女服を。
咲夜には近接戦闘で敵を倒していってもらうことになるので脚力が20%上昇する初級チャイナ服を。
改めて見ると凄まじく場にそぐわない格好なんだけど、バフの効果が馬鹿に出来ない以上は仕方ないよね。
『私の歌を聞けー! というわけでいくよ1曲目。[戦え! 私の戦士たち]』
どこにいるか分からないけど遠くからやけくそ気味な矢沢さんの声がスピーカーを通して聞こえてきた。
僕らが呼ばれたくらいだし当然のごとくいるよねそりゃ。
辺りに響く歌声が聞こえると共に僕らの身体能力が向上していくのが分かる。
しかし確か前にバフは1000人までって言ってたはずなのに、ここにいる全員、明らかに1000人を超える人数にスキルの効果が及んでいるように見えるけどスキルか何かが強化されたのかな?
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