第43話 大樹達のパーティー
いつもの戦法を組むには、まず大樹達が自分達の戦法を知っていない。
けれどいきなり現れた援軍に若干戸惑い――いや喜んでいるけどそれはともかく、現れた僕らの説明を聞きながら、まともに役割分担もしてない中で一緒に戦闘するのは危険だと思ったので、いつもの戦法にいきなり移行しようとはしなかった。
まずは戦闘領域を決めて落ち着いた頃を見計らって大樹達にも協力してもらいながら、いつもの継続戦闘が楽な戦法へと変えようと思う。
そもそも大樹と三銃士がどんな戦い方をするのかを知らないと、どう協力してもらえばいいか分からないのもあるけれど。
とりあえずは乃亜達3人は僕らが受け持つ左側で戦闘してもらい、僕は右側にいる大樹達へと視線を向ける。
「おらっ、行くぜ!」
大樹が大剣を振りかぶって、スケルトン達へと横薙ぎを放つ。
それを受けたスケルトン達は後ろを巻き込みながら吹き飛んでいくけど、正面からまともに受けたスケルトンは鎧を着ていても中の骨が砕けたのか動かなかったが、他のスケルトンは普通に起き上がって再び大樹達へと向かっていこうとする。
「ふっ!」
その起き上がろうとする隙に、スケルトン達の頭蓋骨を片手剣と小盾を持った
「はっ!」
そして
「[土魔法]〝礫〟」
……なんか性癖の方がインパクトがあって、誰がどんな武器を持ってたかより、どんな性癖かの方が頭に残ってるのが嫌だな。
だけど大体どんな戦い方かは分かった。
大樹が大雑把だけど広い範囲でスケルトン達を押し返し、
『大樹達のパーティーの戦い方はおおよそ掴めた。とりあえず、大樹達にも協力してもらっていつもの戦法に持ち込もう』
『それはいいけど、何体かチラホラ戦斧持ちと陰陽師リッチがいるわ。そいつらはどうするの?』
『咲夜は優先的に戦斧持ちを攻撃して欲しい。咲夜なら戦斧持ちが相手でも、そこいらの鎧を着てるだけのスケルトンと同じように対処できるよね?』
『うん、大丈夫』
『陰陽師リッチは僕と冬乃で対処しよう』
『ちょっと待って。陰陽師リッチは離れたところにいるとは言え、その周囲には普通のスケルトン達が密集してるのよ。〔
確かに〔
誘導したりなんて出来ないから、普通のスケルトンの合間を縫って陰陽師リッチにピンポイントで当てるなんて神業できっこないけれど――
『別に〔
『あ、確かに。だけど蒼汰の〔
確かに僕だって普通のスケルトン達が邪魔で、スリングショットで当てるのは厳しいだろう。
でも――
『その辺は考えてあるから大丈夫。それじゃあ大樹達に提案してくるから、みんなも協力してね』
『『『了解』』』
僕は大樹達の近くまで近づくと、出来る限り大きな声で4人へと声をかけた。
「4人とも、ちょっといいかな?」
「どうした、蒼汰?」
「作戦があるんだけど協力してくれない? 上手くいけばかなり楽に戦闘が出来るようになるよ」
「まじか。何をすればいい?」
「即決だね。他のパーティーメンバーに聞かなくていいの?」
「楽になるかもしれないなら誰も拒絶しないだろ?」
そう言って大樹が3人を見ると、3人とも頷いていた。
さすが大樹。即断即決も凄いけど、リーダーシップを発揮してこのパーティーをしっかりと率いている。
そう、このパーティーを!
まあ、性癖以外はいい奴らとか言ってたので、意外とまともなパーティーなのかもしれないけど。
「それじゃあ大樹達は倒す範囲の敵が狭くなってもいいから、出来る限りバリケード入口の近くにスケルトン達がいない状況を作れるよう、敵を殲滅しながら前進して欲しいんだ」
「おいおい。そりゃ範囲が狭けりゃ前進するくらいは出来るだろうが、オレらじゃ三分の一程度の範囲でしか無理だぞ」
「大丈夫、それで十分だよ。ところで戦斧を持ってるのや陰陽師のが出てきても前進できる?」
「戦斧のは何とかなるけど、陰陽師のはキツイぞ。昨日出くわした時も時間稼いで、同じ場所で守っていた先輩冒険者に倒してもらったくらいだしな」
「分かったよ。それじゃあ陰陽師のが出たらこっちで全部受け持つから、よろしくね」
「おう、任せろ!」
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