第27話 露出の激しいやつだったらアウトだった
乃亜と咲夜が戻って来てくれたことで落ち着きを取り戻してくれた冬乃に、強制的に正座で座らされた状態で尋問を受けることになった。
これは断じてパーティーメンバー同士の情報を共有するための交換ではなく、ぞうきんに含んだ水を無理やり絞るがごとく情報を吐き出させられる尋問だ。
「それじゃあ弁明を聞こうじゃないの」
「いや、ホント不可抗力だったんですけど……」
「言い訳はそれで終わりかしら?」
「弁明を聞く気がない!?」
一言しか許されないとか厳しすぎるよ!
「簡潔に言えば操作ミスをしたんです。
魔石を拾いながら冬乃の装備を出したり消したりしていたんだけど、そのタイミングでレベルアップの通知が頭に響きまして……」
「通知ならあの時以外でも来てたでしょうが。今まで魔石を拾いながらスマホの操作が出来てたのに、ピンポイントにメイド服を着せられるようなミスってどんなミスよ」
淡々と言ってきて怖い。
それだけ怒っているという事ですね、わかります。
「いや、今まで通りレベルが上がったって通知が1回だけだったらミスらなかったと思うんですが、連続して5回くらいきたから驚いてしまいまして」
「それで私はメイド服を着せられたと」
そんなに嫌だったの、メイド服?
「冬乃先輩。そこまでにしましょう」
「だけど乃亜さん。蒼汰の操作ミスのせいで自衛隊の人とかにあんな恰好をした姿を見られたのよ?」
「ですが魔石を拾いながらスマホを操作するように言ったのは、確か冬乃先輩でしたよね?」
「う゛っ」
「2つのことを同時にこなしていたのですから、失敗してしまうことくらい誰でもあると思いませんか?」
ありがとう乃亜! もっと言って冬乃の怒りを抑えて!
「何度も同じミスをしたのであれば冬乃先輩の怒りはごもっともですが、1度だけのミスですし、ここは許してあげられませんか?」
「うっ、ううぅ~~~~~~」
冬乃は目を強くつぶって、しかめっ面をしばらくしていたけど、やがてゆっくりと目を開きため息を1つついた。
「分かったわ。確かに乃亜さんの言う通り、まだ1度だけだし許すことにするわ。でも次はないわよ蒼汰!」
「わ、分かったよ」
なんとか怒りを呑み込んでくれたようだ。
これ、メイド服だったからこの程度で済んだだろうけど、露出の激しいやつだったら一発アウトだったろうな~。
「ありがとう乃亜。助かったよ」
「いえいえ。それはともかく、先輩のスキルはどのように変化したんですか? 先輩だけでなく咲夜先輩もスキルに変化がありましたし、今一度お互いの能力を確認しておいた方がいいと思うのですが」
「そうね。私はスキルの方は特に変化はなかったけど、乃亜さんもそうよね?」
「ですね。なのであまり変化のないわたし達から確認し、一番変化のありそうな先輩は後ででいいですか?」
「オッケーだよ。咲夜もそれでいい?」
「うん。問題ない」
というわけで、まずは乃亜と冬乃のステータスを確認することにした。
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高宮 乃亜
レベル:30
HP(体力) :86/86
SV(技能値):52
スキルスロット(1)
・[ゲームシステム・エロゲ]
→派生スキルⅠ:[損傷衣転]
→派生スキルⅡ:[重量装備]
→派生スキルⅢ:[強性増幅]
───────────────
───────────────
白波 冬乃
レベル:32
HP(体力) :87/87
SV(技能値):58
スキルスロット(1)
・[獣人化(狐)]
→派生スキルⅠ:[狐火]
→派生スキルⅡ:[幻惑]
→派生スキルⅢ:[獣化]
───────────────
「前までレベル差があったけど、随分追いつかれちゃったわね」
「しょうがないですよ。Fランクの魔物相手ではレベル30以上からはレベルが上がりにくくなるんですから」
あれだけ倒して冬乃のレベルが30になってから2しか上がってないのだから、レベル上げを目的にするなら効率が悪すぎるね。
「まあ私達に関してはいいわ。大して変わってないんだから。それよりも咲夜さんよね」
「そうですね。レベル8だったのが今はどれだけ上がったのやら」
2人はゴクリと生唾を飲みながら咲夜を見ていた。
僕も2人と同じで非常に気になる。
なんせレベル8の段階でかなり高いHPとSVを持っていたんだから、レベルがかなり上がったであろう今ならどれほど強くなったんだろうか?
「そんな大したことない、よ?」
咲夜は謙遜しながら自身のステータスを見せてくれた。
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四月一日 咲夜
レベル:24
HP(体力) :330/330
SV(技能値):124
スキルスロット(2)
・[鬼神]
・[治癒術]
→派生スキルⅠ:[手当]
→派生スキルⅡ:[風邪特効]
→派生スキルⅢ:[状態異常三種回復]
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「あれ? いや、これは……」
「えっと、思ってたより、その……」
「全然数値が伸びてないわね?」
僕と乃亜は言葉を濁していたが、冬乃はズパッと言ってしまった。
なんせレベル8の時のステータスはHPが314でSVが108だったから、それを考えるとレベル1上がるごとに1しかステータスが増えてないことになる。
なんでだ?
「あの、魔素親和症候群だとレベルがある段階まで上がらないと、レベルが上がっても1ずつしか増えないみたい」
「へー、そうだったんだ」
「知りませんでした」
まあ魔素親和症候群の人じゃないと知らないことだよね。
「……がっかりした?」
「なんでよ? 元々のステータスが高いんだからレベルで見たら十分凄いじゃない」
「そ、そう? 良かった」
ホッとした表情で咲夜は胸をなでおろしていた。
冬乃の言う通り、ステータスの上りが悪くても、元々が凄すぎるので気にする必要はないことだよ。
「ステータスに関しては分かったから、次は派生スキルの方だね」
「[風邪特効]と[状態異常三種回復]? [状態異常三種回復]の方はなんとなく分かりますが[風邪特効]ってどんな効果なんですか?」
「えっと、こんなスキルみたい」
乃亜が咲夜に尋ねると、咲夜はスキルをタップして効果の詳細を見せてくれた。
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