第22話 先生、お願いします!
接すると思わず甘やかしたくなるような先輩だけど、戦闘では頼もしいの一言だった。
「ふっ!」
真ん中に陣取り、向かって来ていたスケルトンを突き出した拳でその頭蓋骨をいとも容易く砕いて前に進んでいた。
僕があれやったら、拳が傷つく上に砕けず精々地面に転ばすのが関の山だろうな~。
そんな咲夜先輩だけど、実は武器など要らぬと言わんばかりに日用品以外何も持たずに京都に来ていた。
なのでせめて手袋だけでもと、指ぬきグローブを渡している。
もし今後もパーティー組むなら、ちゃんとした戦闘用のグローブを買わないと。
あれ、[フレンドガチャ]で出た
「友達から初めてプレゼント、貰えた!」
ちょっと涙が出そうになってくる。
そんな事で喜んでくれるならいくらでも上げるよ、と思わず言いそうになるね。
「はっ!」
乃亜の方も【
スケルトン達は数は多いけど、武器も防具も身に着けていない骨だけの個体は、戦闘力はゴブリンとそう変わらないように見える。
Sランクダンジョンと言っても、1階層などの浅い階層とかはFランクとそう変わらないと聞いたことがあるので、まずはそれらの個体がダンジョンから溢れてきているんだろう。
おそらく時間が経つにつれて、深い階層にいる強力なスケルトン達が出てくるのだろう。
それを心の片隅に置いておいて、体力を出来る限り温存しながら動いた方がいいのかもしれない。
もっとも、体力を温存するのにうってつけの作戦は既に考えてあるのだけど。
『だいぶスケルトン達を削れたかな?』
『そうね。と言うより、これ以上バリケードの入口から遠ざかってスケルトンを間引くのは人数的に無理があるわ』
スケルトン達を蹴り砕いている冬乃の言う通り、現在3人でバリケードの入口に集まって来ていたスケルトン達を殲滅して、出来る限り入口の近くにスケルトン達がいない状況を作りたかった。
だけど扇状に敵が集まって来てる以上、入口から離れすぎると3人の戦闘範囲内から漏れるスケルトンが当然出てきて、先ほどから数体のスケルトンを僕がシャベルで砕いている。
まさかシャベルをまた使う事になるとは思わなかったよ。
『それじゃあ、3人とも一旦戻って来て』
『『『了解』』』
3人がバリケード入口に戻って来て、スケルトン達はそれを追うように向かってくる。
しかし骨だけの体の為かその動きは遅く、あの作戦をするには十分だと判断したので、早速派生スキル[チーム編成]でスマホを取り出し、冬乃の登録してある武器を呼び出した。
『ワンパターンな戦法だけど、大勢の敵を殲滅するには効果的よね』
『それじゃあ先生、お願いします』
『だれが先生よ』
呼び出した武器、〔
「吹き飛びなさい。〈
その文言とともに赤い炎の塊が高速で射出され、先頭のスケルトンにぶつかった。
――ドオンッ!!
轟音と共にこちらに来る熱気が僕らを襲うけど、耐えられないほどではなかった。
しかしまともに受けたスケルトン達は、周囲を巻き込んで跡形もなく吹き飛び、その箇所だけスケルトン達がぽっかりと無くなってしまっていた。
「……凄い」
咲夜はともかく僕らにとってはいつもの慣れた光景なので、僕はすぐさま次弾の準備をする。
手元のスマホを操作し、コピーを消して、充填済みの〔
「それじゃあもう一回〈
半円状にスケルトンの群れがえぐれていたけど、そこに再度圧縮された炎が襲った。
――ドオンッ!!
先ほどよりも離れたところでの爆発だったため、僕らの元に届く熱気は弱いものになったけど、沢山いるスケルトン達の被害は変わらず周囲を巻き込んで吹き飛んでいた。
『それじゃあ予定通り、冬乃が撃って僕が補充するから、乃亜と咲夜は横から来るバリケードに近くて無事だったスケルトン達の相手をよろしくね』
『分かりました』
『分かった』
『ほら、何してるの蒼汰。次よ次! ガンガンぶっ放して連中を全部吹き飛ばしてやるわよ!』
冬乃に若干トリガーハッピー的な何かを感じる発言だけど、今は冬乃の言う通りなのですぐさま次の〔
「あはっ〈
「やはりトリガーハッピーなのでは?」
聞こえないよう〔絆の指輪〕にて意思が伝わらないよう意識しつつ、僕は小声でボソリと呟いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます