第13話 たまにはいいだろ? イチャイチャさせろよ
3人にオリヴィアさんから聞いた話をそのまま伝えたら、納得と迷いの表情を見せていた。
外国から3人同時期に転校してくるのはいくらなんでもおかしいと思っていたらしく、Sランクダンジョンの【
……この中で警戒心の欠片もなかった人がいるってマジ?(見ないで……)
そういうわけでオリヴィアさんの話には合点がいったのと同時に、もしもその依頼が来てしまった場合どうしようかという考えが浮かぶわけだけど――
「来てない依頼を考えてもしょうがないんじゃないかしら?
それは頭の片隅に置いておいて、今日と明日はせっかくの文化祭だもの。この2日の後に改めて考えましょ」
冬乃のその言葉に僕らは一斉に頷いた。
ぶっちゃけただの先送りなんだけど、冬乃の言う通りそんな話は聞かされていないので考えるだけ無駄というやつだ。
「それじゃあ詳しい事は文化祭の後に決めるとして、今日明日は目得一杯楽しもっか」
「はい! 空き時間にデートしてくださいね」
「わ、私も……」
「咲夜も蒼汰君と一緒に見て回りたい。全員で? 一人ずつ?」
おや? 何故か3人と文化祭デートをすることになってるぞ?
乃亜は嬉々として、冬乃は少し顔を赤らめ、咲夜は当然といった表情で僕と文化祭を回る事を楽しみにしている様子だった。
いや、うん。正直僕も3人と一緒に行動するのは楽しそうだと思ってるよ。
「全員で行動したいところですが、全員の空き時間が重なるとは限りませんから、タイミングが合えば一緒に行動するのはどうでしょう?」
「そ、そうね。それが良さそうよ」
「うん。蒼汰君は空き時間いつになりそうかな?」
「僕のクラスでは〈動画上映〉をやるから、割と時間は空いてるかな。
僕の割り振られた担当の時間は今日の12時から14時の間だけだから、それ以外の時間なら空いてるね」
……昼時の時間という面倒な時間に割り当てられたのには悪意を若干感じずにはいられないけど。
クジで決めたから文句は言えないんだけど、あれ何か細工されてなかった?
クラスの男子がカ〇ジみたいな顔つきでほくそ笑んでるように見えたの僕の気のせい?
まあその後、ソフィアさんも僕と同じ時間になったことで、地下帝国行きが決定したかのような顔つきに変わってしまったんだけど。
「いいわね蒼汰。結構自由な時間がありそうで。
私のクラスは〈キャンドル作り体験〉だから、指導する人間がある程度必要みたいで今日は14時から16時、明日は9時から11時は教室にいないといけないわね」
冬乃のクラスは〈キャンドル作り体験〉か。
キャンドルを使う機会はないけれど、作り方には興味があるな。
「わたしのクラスは〈クレープ〉で飲食系ですね。時間は今日は14時から16時、明日は10時から12時の間です」
乃亜のクラスはクレープを売るんだ。
クレープなんて小学校以来食べた記憶が無いし、せっかくだから食べに行きたいな。
「咲夜のクラスは〈
「「「は?」」」
文化祭の出し物で有り得ない出し物の名前が聞こえたけど、えっ、どうやんの?
気になるから絶対見に行こう。
「全員が一緒に回れそうなのは明日の午後からになりそうだね」
「今日はものの見事に誰かしら出し物の場所で待機していないといけないから仕方ないわよね」
「そうですね。わたしと冬乃先輩が9時から12時、咲夜先輩は11時から12時と14時から16時まで先輩といられますから、一応今日11時から1時間だけなら全員一緒に回れそうですが」
「ちょっと残念だけど仕方ない。でも少しの時間でもいいからみんなと一緒にいたいから、11時から合流してもいい、かな?」
「もちろんです! でも咲夜先輩は全員と一緒にいられる時間が少し短いですが、代わりに今日の午後、先輩を独り占めできますよ」
「……うん。2人には悪いけど、ちょっと楽しみ」
確かによくよく考えるといつもこの3人と一緒にいるけれど、誰か1人だけと行動したことはほぼなかったね。
その事を思うとちょっと緊張してしまうけど、よくよく考えると世間一般では男1人女1人が普通なのだから自分の感覚がマヒしていて若干怖く感じてしまう。
なぜ女性が複数いるこの状況に安堵していて、一対一の状況を思うと緊張してしまうのだろう……。慣れって怖い。
「さてそろそろ時間でしょうし、自身のクラスに向かうとしま、きゃあっ!?」
「危ない乃亜!」
「乃亜ちゃん! えっ?」
「わっ、ちょっ、きゃあ!?」
乃亜が何故か何もない所で足をつまずかせ、歩こうとしていた方向に転びそうになったので僕らは慌てて乃亜がこけない様にその手を掴もうと腕を伸ばした。
しかしそれが失敗だった。
ああ、久々だったから油断していたよ。
最近全く起きなかったのにまた顔を出しに来たんだね、[エロゲ体質]。
「「「ひゃあっ!?」」」
「なんでこうなるの?!!」
こけそうになった乃亜を助けようとした僕と咲夜だったけど、その腕を掴めたのは咲夜だけだった。
しかし異常なまでの強制力が働いたのか、咲夜が乃亜の腕を掴んだ瞬間足を滑らせて体勢を崩してしまい、思わず手を伸ばした先にいた冬乃を掴んでしまう。
それに驚いた冬乃はなんとか踏ん張ろうとしたけれど、いきなりの事に対応できず転びそうになってしまい、そうなったら当然近くにあるものを掴んでしまうもの。そしてその場に掴めたもの。
それは唯一まだ体勢を崩していない僕だった。
だけど体勢を崩していなかったとはいえ、乃亜を支えようと手を伸ばしていた体勢で不意に掴まれて耐えられるものではなく、咲夜達のように体勢を崩して仰向けに転んでしまう。
乃亜、咲夜、冬乃そして僕の順番に転んでいった結果、乃亜達が僕の下敷きとなった。
いや、もっと分かりやすい言い方で言おう。ベッドになっていた。
乃亜の胸が僕の後頭部を包み、咲夜の胸が僕の右腕を挟み、冬乃のスカートの中に左手を突っ込んでいた。
有り得ないでしょ!?
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