第30話 [カジノ]
[カジノ]を起動させると、3種類のゲームと景品一覧が表示された。
「もうこれ、スキルじゃなくて完全にソシャゲだよ」
「スキルってなんなのか疑問にすら思えてきますね」
「とりあえず景品を見よう」
景品一覧を見ると、ポーション、〔成長の花〕、超級メイド服、超級水着などなど。
様々なラインナップがあり、ポーションなら10枚程度だけど、〔成長の花〕は100枚、衣装系に至っては安くても1000万枚からだ。
1000枚しかない今、交換させる気があるとは思えない。
自分のスキルなのになんでだ……。
だけどそんな物より、僕のお目当ては[衣装ガチャ]のコインだ。
……1000枚で1枚って酷くない?
[衣装ガチャ]も[フレンドガチャ]と同じで10連回せば確実にR以上が最低1つ手に入ることを思うと、少なくとも1万枚は稼がないといけない……!
「スキルにいいように扱われているようでしゃくだけど、やってみるしかないかな」
3種のゲームはそれぞれ、スロット、ブラックジャック、麻雀である。
ラインナップが微妙に謎だ。
「どのゲームもほとんどやった事ないタイプのだな……」
「そうなの? 咲夜は3つとも遊んだことはある」
意外だ。基本1人だけで遊ぶ咲夜は麻雀のような多人数で遊ぶタイプのゲームはやらないと思ってた。
「麻雀を主題にした漫画とかで興味持って、ネットで対戦してた」
僕が何を考えたのか察したのか、咲夜は補足してくれた。
「じゃあ咲夜が詳しそうだから、試しに麻雀でもしてみようか」
しかし問題はメダルが1000枚しかないことだ。
確か麻雀って始めは1人2万5千点だから、仮に1点1枚だったら遊ぶことすら出来ないんじゃ?
『メダル不足です。ルームに入れません』
タップしたらやはり遊べなかった。
だったら何が遊べるのかタップしていったら、スロットとブラックジャックの2つは遊べることが分かった。
スロットはメダル3枚で1回回せて、表示されている図柄が回転し、停止したときの図柄の組み合わせによって、コインが何倍かになって戻る仕様のようだ。
ブラックジャックはトランプを使ったゲームで、配られるカードの合計点数が21点を超えないようにして、プレイヤーがディーラーより高い点数になるようにすればいいみたいだ。
どっちが簡単かで言えばスロットかな?
ブラックジャックは他にも細かいルールがあるけどよく知らないし、スロットなら小学校低学年の時に買ってもらったゲームのミニゲームで一応やった事があるから、まだこっちの方がマシだと思う。
「麻雀が無理だし、スロットにしてみるかな」
「……先輩、これがきっかけでギャンブル依存症になったりしませんよね?」
「ギャンブルにお金かけるんだったら、その分ガチャに課金したいなー」
「その辺ブレなくて残念なような、逆にホッとしたような?」
ははっ。僕がなんのためにダンジョンに入っていると思ってるんだよ。
「じゃあ早速スロットを起動っと」
『欲望の夏』
そうデカデカとタイトルが出てきた。不穏だ。
ロードの始まった画面の読み込みが100%になり、スロット台が表示されたけどその予感は的中した。
「ちょっとこれ、どうなのよ……」
冬乃が言いたいことは分かる。
僕だって同じ気持ちだ。
なんせその絵柄が様々なタイプの女の子が水着を着ているもので、しかもそれがちょっと艶めかしく動いているんだ。
「先輩のスキルって……」
「言わないで」
戻ってブラックジャックの方にしようかと思ったけど、起動しているし今更かと思い、取り敢えず試しに1回回してみる。
陽気な音楽が流れながら回るドラムは、やはりというか何も揃わずに女の子の絵以外にも、スイカやビーチパラソルなど、夏を感じさせる絵柄がバラバラに止まった。
「やっぱり1回だけじゃそろわないよね。どうせだし一気に回してみようか」
『スピン』と書いてあるボタンを長押しすると、何回連続で回すか出てきたので、取り敢えず50回を選択。
「全然そろわないわね」
カシャンカシャンとリズムよく回っていくけど、女の子の絵柄以外でそろっても少ない枚数しか返ってこず、あっという間に50回転消化されていくのを眺めるしかなかった。
「いっそ、1000枚で1枚交換するべきだったか……」
「[衣装ガチャ]のコイン以外、目もくれませんね」
「私はもう着たくないんだけど!!」
「咲夜は、いいよ?」
う~ん、どうせもう交換枚数には足りないし、もう200回くらい回してみるか。
再びカシャンカシャンとリズムよく回り始めると、今度は数回も回さないうちにあっさりと1人の女の子の絵柄がそろって『ビッグボーナス! 300枚獲得!』と表示された。
「おっ、やった!」
『チャレンジタイム』
そしてよく分からないモードに突入した。
え、なにこれ?
訳が分からず見ていると、スロットの台が消えて、揃った大和撫子風の黒髪の女の子の立ち絵がスマホの画面全体に表示された。
『ねぇ、私のこと……どう思うの?』
「は?」
『①「好きだよ」と言う』
『②「ちょっと答えられない……」と言う』
『③無言で水着をはぎ取り押し倒す』
唐突に現れる選択肢と砂時計。
ギャルゲ、いやもう最後の選択肢的にエロゲか!?
「えっ、ちょ、これ、どうすんの?」
「ホントどんなスキルなんですか……。やはり無難に①では?」
「まあそうよね。③なんか論外でしょ」
「……②?」
「咲夜は②なんだ」
「だってこの人よく知らないし」
ごもっとも。
でも僕も無難に①だと思うからそれでいこう。
「①か②だけど、時間ないし①の方が意見多かったから①でいこう」
僕は素早くタップした。
『もう! 男だったらとっとと押し倒すくらいしてよ!!』
「「「まさかの③!?」」」
『チャレンジ失敗……』
「「「納得いかない!!」」」
非常に微妙な気分になったが、一応女の子の絵柄がそろったことで1126枚になりはした。
こっからさらに増やしたいところだけど、しばらくスロットをする気にはなれないな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます