第43話 思わず言いたくなるセリフ
【Sくん】が自分の望む【典正装備】をガチャから出しているわけではないと分かったので、いち早く【Sくん】を倒すために動くことにした。
そうでなければ僕らは【Sくん】に勝てなくなる。
もしも〔
「ガチャから出る【典正装備】を僕らも使えたら良かったのに……」
もしかしたらガチャから出る時点では誰の所有物でないのなら、あの【典正装備】は僕らも使えるんじゃないかと取ろうとしたけど触る事すらできなかった。
【Sくん】は遠隔でガチャを回せるようだけど、もしかしたら回した本人しか触れないのかもしれないと、咲夜と乃亜が【Sくん】を引き付けてる間にオルガにガチャを回してもらったものの、ツマミが動かなかったし。
さすがにそんな都合のいい事はなかったよ。
ガチャ自体をどうにかしようにも異常なまでの硬さだったからどうにもならないし、あれをどうにかしたり利用するのは無理な以上、正面から撃破する以外手はないね。
「咲夜、【Sくん】がガチャから〔
他のみんなは咲夜が〝神撃〟を当てやすいようにフォローを。
〔
「「「了解」」」
『ワタシの【典正装備】が攻撃系だったら役に立てたのです……』
さすがにアヤメは仕方ないよ。
でもいざとなれば【ドッペルゲンガー】の時のように、[チーム編成]でアヤメに知能の上がる学生服で疑似的な未来予知をしてもらうか、最悪赤ずきんを着てもらって敵からのヘイトを引き付けてもらうから問題ないよ。
『い、今少し悪寒がしたのです。ご主人さま変な事考えてないのです?』
「気のせいだよ。アヤメにも出番があるかもしれないと思っただけで」
囮と言う名の出番がね。
『今何を考えたのです?』
「〔
『やっぱり酷い事考えていたのです!? 確かにそれで攻撃は受けないのですが、そういう問題じゃないのですよ!!』
おっと、つい口が滑ったよ。
囮扱いに憤慨したアヤメにポコポコ殴らている間も【Sくん】との戦闘は続いている。
「はっ!」
『ガチャ~!?』
咲夜が[鬼神]を全開ではないもののある程度の力を発揮しているのか、僕のスキルによる支援を受けているだけでは到底発揮できない速さで移動し【Sくん】を殴っていた。
【Sくん】はなんとかその攻撃を防ごうと〔
「……させない」
「いきます!」
『ガチャ?!』
それに加え、効果を使用してインターバルが必要な【典正装備】を捨てて、ガチャから出た別の【典正装備】を拾おうとするも、オルガに投げられたナイフが手に当たり一瞬怯んでしまう。
その一瞬の隙に乃亜が大楯を振り回して【Sくん】を殴ったり、大楯で押し込むよう突撃して【Sくん】を押し飛ばし【典正装備】を拾えなくしていた。
一見【典正装備】を拾えなくするだけで十分なように思えるけれど、ガチャからは次々と【典正装備】が出てくる。
それは【Sくん】が一度拾って捨てない限りはこの場から消えずに残り続けるので、押し飛ばした先にある【典正装備】はどうしても拾われてしまう。
しかも【Sくん】の異様なガチャへの執念なのか、ガチャから一定範囲離れない。
そう。ガチャから引き離そうとしたけれど、離れないんだ。
もしかしたら【Sくん】の固有の能力で出現させたガチャから一定範囲の場所に居られる能力でも持ち合わせているのかもしれない。
……ただの【Sくん】の執念によるものの可能性も否定できないけど。
『ガチャー!!』
ボコボコにされて焦れてきたのか、【Sくん】は〔
「咲夜たちなら問題ないと思うけど、お願いアヤメ」
『出番が欲しいと思ったバチが当たったのです?!』
僕は先ほど[チーム編成]でメインキャラを冬乃からオルガに変えたように、今度はオルガからアヤメに変更。
さらにアヤメに赤ずきんを装備させる。
『絶対[放置農業]の課金額を増やしてやるのですー!!』
「いや課金はガチャのためだから」
嘆いて捨て台詞のようなものを吐きながら、【Sくん】の近くへとアヤメは飛んでいった。
『ガチャ!』
『きゃあっ!? 〔
〔
まあ当たるわけないんだけど。
〔
僕も似たようなことが出来る[画面の向こう側]というスキルがあるけど、今は赤ちゃんになった冬乃を抱えているから異空間に入っているわけにはいかない。
『ガチャー!』
「くっ、〈
『ガチャ!?』
攻撃の当たらないアヤメから近くに陣取っている乃亜に【Sくん】の標的が変わり攻撃が向かったけど、超強化されている攻撃を逆に〔
そのタイミングでちょうど1分経ったせいで〔
「今。〝神撃〟」
『ガチャーーーー!!?』
やったか?!
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