第44話 遠距離コンボ
冬乃が指示通りの場所へとすぐに移動してくれたので、早速僕は[画面の向こう側]を解除して外に出る。
「冬乃、咲夜、準備を」
「分かってるわ」
「いつでもいい、よ」
と言っても、冬乃と咲夜はすぐにでも動けるので後は僕だけなんだけど。
「[助っ人召喚]冬乃」
今まで[助っ人召喚]は咲夜ばかりだったけど、今回は分厚い〝水〟に対抗するためなので目的を考えれば冬乃がいい。
「冬乃。[複尾]に[空狐]を使用して。その後【典正装備】が使えるようになったら4つとも使って。
僕は呼び出した助っ人の冬乃にこの後のためにあらかじめ指示を出しておく。
ここからは時間との勝負だ。
「[アップデート]」
咲夜を[助っ人召喚]に選んでいた時は使わなかったけど、冬乃を呼んでいる場合は逆に[アップデート]を使うことが多そうだ。
[アップデート]は[助っ人召喚]で呼んだ人物の召喚時間が10秒になる代わりにそのフレンドの所持している【典正装備】まで召喚するというもの。
「〔
「ふっ!」
本物の冬乃が最大火力を発揮できる【典正装備】を取り出して使用。
咲夜も[鬼神]を全力で使用し、いつもの鬼の姿へと変わる。
助っ人の冬乃も先に指示していた通り【典正装備】を取り出して使用し、〔
『乃亜、お願い!! あと使ったらソフィ達と一緒に退避を』
『はい!』
準備は整った。
[画面の向こう側]を解除してしまっているので、〔絆の指輪〕で乃亜に合図を送ると乃亜が自分の目を覆っている〔
それが効いてるかなんて確認をしている暇はない。
「冬乃。撃って!」
僕が助っ人の冬乃にそう頼むと、すぐさま〔
「あれね。〈
本物の冬乃がろくに照準を合わせないまま〔
〔
助っ人の冬乃の射出した炎をターゲットにしているため、本物の冬乃の炎も寸分違わず同じ場所に当てられる。
それによりたとえ体をあれだけ分厚い〝水〟で覆っていたとしても――
『グッ!』
ダメージは与えられなくてもその〝水〟を退けさせることは出来る。
最悪ある程度薄くなればと思っていた。
「〔
なぜならまだ咲夜がいるから。
〝神撃〟だ。
できるだけ強力なダメージを与えるのなら、本来であればありえないほどの至近距離での〝神撃〟を撃つのが一番いい。
もっとも〝神撃〟は撃つまでに若干タメがあるため、そんな至近距離では【青龍】のような相手には避けられてしまいそうだけど、咲夜と冬乃の【典正装備】がそれを可能にする。
〔
しかし冬乃の〔
「〝神撃〟」
『ギャアアアアアアアアアアアアアアッ!!???』
冬乃達の開けた〝水〟の防壁の穴に。
〝神撃〟が当たったのは【青龍】の悲鳴からいって間違いない。
問題は【青龍】にどれだけダメージを与えたかだ。
――ズドーンッ!
〝神撃〟を受けた【青龍】は自身の身体を覆っていた〝水〟も維持できなくなったようで、その身をさらしたまま地面に力なく横たわっていた。
「倒したのかな?」
10秒経ってしまったので助っ人の冬乃はすでにいないしもう呼べないけど、【青龍】のあの様子なら大丈夫か?
「でも【青龍】が消えずにあそこにいるのなら、まだ倒しきれていないはずよ」
「はぁはぁ、[瞬間回帰]。見る限りもう満身創痍だし、あとは止めを刺せば終わるんじゃない、かな?」
〝神撃〟を使ったせいでスタミナを使い切った咲夜が[瞬間回帰]で回復していた。
ふむ。[瞬間回帰]は1日に1度だけだし、ほぼ全ての手を使って【青龍】をようやくここまで追い詰めたのを踏まえると、外の【白虎】にもしも挑むのであれば乃亜の[ゲームシステム・エロゲ]の再使用を待つ意味でも1日は待たないと無理だね。
まあすでに倒しているかもしれないし、今はそれよりも【青龍】を何とかするのが先か。
『ママ~!』
「あっ、アヤメ! 咲夜達追いかけて」
「ん、分かった」
アヤメが引き留める間もなく【青龍】に向かって飛んでいってしまったので、咲夜は僕を担ぎ、冬乃と共にアヤメを追いかけることにした。
って、咲夜が僕を担がなくても[画面の向こう側]を使えば済む話なんだけど、まあいいか。
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