第12話 いつからこのダンジョンはR18になったんだ?
「できれば奇襲で1体、混乱しているところに2体目といきたいところだけど上手くいくかな?」
僕は[フレンドガチャ]で引いた
〔気配四散薬〕は簡単に言えば、周囲に自身を認識させづらくするポーションだ。
既に気づいている相手には効かない上に飲んで1分ほどしか効果がないという残念仕様なため、モンスターハウスでは使えなかった。
さすがに1体ゴブリンを殺せばこちらの存在に気づかれてポーションの効果は無くなるだろうけど、逆に言えば1体は確実に殺すことができるのでこの状況では十分有用だろう。
「だけど視線がこっちに向いたら気づかれるって、本当にこれレアアイテムなんだろうか?」
似たようなアイテムがアドベンチャー用品店で千円で売ってたから、〔毒蛇の短剣〕と比べるとかなり微妙だ。
「消耗品だから逆に使うのに躊躇わなくていいけどさ」
しかしあのゴブリン達どこまで移動する気なのだろうか?
周囲を警戒しながら宝物でも運んでいるかのように慎重に動いているせいで、下手に近づけば気づかれるしな……。
そう思い始めた時、ようやくゴブリン達は通路の行き止まりで運んでいた人を降ろすと、3体ともその人を逃がさないようするためかこちらに背を向けて取り囲んだ。
よし、今だな。
僕はすぐさまポーションを飲み、極力足音を立てないように近づいていく。
1分ほどで効果が切れてしまうので焦るけど、僕とゴブリン達の距離はだいたい50メートルほどなので、歩いて行っても十分間に合うはず。
そう自分に言い聞かせ、バレないかどうかドキドキしながら近づいていく。
しかしこちらの心配をよそに、ゴブリン達はこちらに視線など向けることなく下卑た笑いをしながらいやらしい手つきで女性を触ろうとしていた。
……いつからこのダンジョンはR18指定ダンジョンに変わったのだろうか?
ちなみにどこにもそんなダンジョンは存在していない。
魔物は例外なく人を殺しに来るはずなのに何故なのか疑問が頭に浮かぶけど、今はそれを頭の隅に追いやり女性の救出を優先する。
あと数歩踏み込めばゴブリン達に攻撃できる位置まで来た時、僕は気づかれてもいいから一気にそのゴブリン達の背後へと近づくと、3体全てに〔毒蛇の短剣〕をかすらせた。
「「「ギギッ!?」」」
この瞬間、ゴブリン達に気づかれてしまいポーションの効果は消えたけど、そんなことは気にせず中央のゴブリンに対して〔毒蛇の短剣〕を投げつけ、さらに端の方にいるゴブリンが迎撃態勢に入る前にシャベルをその頭に叩き込んだ。
「ギャッ!?」
「ギギャ……」
〔毒蛇の短剣〕が腹に突き刺さったゴブリンはより毒が身体に回っているのか、立つことも出来なくなり膝をついて苦し気に唸り始めた。
〔毒蛇の短剣〕がすぐに効果が出るのは実証済みなので、3体全てにかすらせることでこちらに気づいても毒で身体がふらつきすぐに反応できなくなるため、1体だけ殺すよりも優位に事を運べた。
シャベルを振りぬいた後、3体目が腰に携えていた剣を構えてきたので油断はできない。
ただ、1体は始末しもう1体は動けない状態なので、1対1なら木の棒を構えていたゴブリンに毛が生えたようなものだ。
こちらもシャベルで剣を薙ぎ払って弾き飛ばし、無防備になったところを1体目と同じくシャベルを叩きこんで倒した。
残ったゴブリンも同様に始末し魔石になっていくのを見届けた後、武器を回収して運ばれていた女性の元へと駆け寄る。
「んっ……」
「良かった、まだ生きてるね」
そりゃゴブリンが襲おうとしていたくらいだから生きてるだろうけど。
そうじゃなきゃ特殊性癖なゴブリン達だったことになるし。
「それにしてもどこかで見たことあるような……いや、それよりも凄い格好だな」
女性、と言うより少女は身体の至るところの衣服が破れてもはやその機能をほとんど果たしておらず、下着もボロボロで今にも脱げてしまいそうだった。
そしてそんな気絶している少女の前に立つ僕。
ひょっとして事案では?
少女の見た目が明らかに僕よりも幼いのがさらにヤバさを醸し出しており、第三者に見られたら言い訳できない状況である。
「うん、仮に背負ってダンジョンを出ようとしたら途中で誰かに捕まる」
まあゴブリン達が道中にいるから背負って脱出しようなんて論外なんだけどさ。
とりあえず起きるのを待つしかないかな。
すぐさま[フレンドガチャ]を起動させて
毛布でも良かったかもしれないけど、
[フレンドガチャ]をすでに1200回回していて、それで
捨てていくのもなんか勿体ないし。
半裸の少女をただ見ているわけにもいかないので背を向けて少女が起きるのを待ちながら、通路からゴブリンが現れないか警戒し続けた。
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