第4話 グッドラック、バッドラック
今回〔ミミックのダンジョン〕では土日の2日間を使って、主にオリヴィアさん、ソフィアさん、僕の3人が精力的にレベル上げを行い、乃亜達はある目的、新しく手に入れた【典正装備】を試すついでにレベルを上げることになっている。
咲夜の〔
「先輩。そろそろわたし達も戦ってもいいですか?」
「そうだね。オリヴィアさん達もずっと戦いっぱなしだったし、そろそろ交代にしようか」
スクリーン越しに僕がそう言うと、真っ先に反応したのはやはりというかオリヴィアさんだった。
「むっ、鹿島先輩。も、もう少しだけ……」
やっぱりそういう反応するよね。
少しでもレベルを上げたい気持ちは分からなくもない。
「……いい加減にする」
「ぬおっ?!」
もう少しだけと懇願し始めたオリヴィアさんに対し、いつの間にかオルガがその背後へと回って足払いを仕掛けていた。
「……軽く蹴ったのに、この程度でコケるのは疲れている証拠。少し休む」
「くっ……、分かった」
オルガにそう言われてようやく納得したのか、オリヴィアさんは渋々とだけど下がってきた。
「はぁ、しょうがない。ワタシも少し休憩することにしようかな」
その様子を見たからか、ソフィアさんもオリヴィアさん同様に少し残念そうにしながら戻ってくる。
大量のミミックを倒していたんだから十分だと思うんだけどな。
「それではまずはわたしから行きますか。冬乃先輩の[狐火]や咲夜先輩の攻撃は防げましたけど、魔物相手だとどうなるかも一応見ておきたいですから」
「乃亜の【典正装備】だといまいち効果が発揮したのか分かりづらいから効果が発揮したのかよくわからないけどね。
まあ確率が100%なのはヤバいけど」
乃亜が手に入れた【典正装備】、〔
乃亜の手にあるそれはどう見てもカプセルトイから出て来るような黒いカプセルだ。
「あ、ちょうどそこに一体だけいますし、これぶつけてきますね」
乃亜はそう言うと、近くにいたぬいぐるみ型のミミックにわざと無防備に近づいていく。
「キシャー!」
そんな風に無防備に近づけば当然ミミックが反応し攻撃を仕掛けてくるのだけど、乃亜は防御など一切せずにカプセルをミミック目掛けて投げつけた。
「えい」
ミミックにぶつかったカプセルはパカンと開き、中に入っていたナニかが黒い光となってミミックへと纏わりつく。
「キシャ?!」
そしてミミックは訳も分からず自滅した。
攻撃を仕掛けたはずのミミックは、何故か何もないところですっころんでしまったのだ。
それと同時に黒い光は消えたので、これはおそらく〔
ちょっと判断に悩むところであり、乃亜も同じ気持ちなのか少ししかめっ面でミミックを見ていた。
「これ、〔
「いまいち判別がつきづらいわよね。私のもそうだけど」
そう言いながら、冬乃はいつの間にか手に持っていた乃亜のと似た白いカプセルをパカリと開ける。
冬乃が乃亜のとは真逆の効果を持つ〔
「今度は私の番ね。じゃあ適当に[狐火]でも撃ってみようかしらね」
冬乃がその宣言のすぐ後に放たれた[狐火]はミミックのいる場所とは見当違いの場所へと飛んでいくが、その[狐火]にはいつものとは違って白い光が纏わりついていた。
「あ、曲がった、ね」
「……ものすごく不自然」
咲夜とオルガがそう呟きながら異様な軌道を描く[狐火]を見ていた。
いつも敵に向けて高速で放つ場合は軌道を曲げてもほんの少しであるのに対し、今放たれてる[狐火]はもはやほとんど直角に曲がる軌道でミミックに吸い込まれるように動いている。
「キシャー!?」
[狐火]が着弾したミミックはぬいぐるみであったせいもあり、その一撃であっさりと倒されていた。
「次の攻撃が命中する確率が100%になる〔
「ほとんど曲芸みたいな感じでしたしね。でもわたしの〔
「そうかしら? 相手の攻撃を確実に防げるのは便利だと思うわよ」
冬乃も乃亜もお互い自身の【典正装備】にいまいちな評価をしているけど、僕のよりマシなんじゃない?
〔
実際〔
……これだと〔
まあ多分2つが合わさった結果だろうけど。
一応何度か試したけど、どんな攻撃でも乃亜がわざと当たりに行っても失敗に終わったので間違いなく〔
逆に〔
……冬乃のデコピンを避けようとしたら、今度は突風で目にゴミが入り見えない状態で無理やり動いたせいで傍にいたオルガを巻き込んで転んでしまい、何をどうやったか分からないけど最終的に2人に上半身に馬乗りされてデコピンされた。
こっちの時まで[ゲームシステム・エロゲ]が影響しなくてもいいじゃん。
どっちも強力な運命操作の能力だけど、その分インターバルが1時間なので1回の戦闘につき1回しか使えないだろうね。
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