第8話 三者三様の想い
≪ソフィアSIDE≫
「ソウタ達の能力は想像以上に有力だったね」
ユニットハウスの個室で今日1日を振り返りながら、改めてソウタ達の有用性を認識した。
中でもソウタは別格だった。
ノア、サクヤの戦闘力や、フユノの【典正装備】による殲滅力は確かに目を見張るモノはあるけれど、そんな事よりもソウタの支援能力が一番ヤバい。
低レベルであっても格上の相手にすら通用するほどの戦闘力を底上げをする能力。
ソウタ達が短期間で急激なレベルアップが出来た一因だね。
もちろん【
「そうなるとソウタのレベルがいくつなのか気になるね。ワタシと近いレベルだったら一緒にダンジョンに潜ってもらいたいな」
レベルは高いに越したことはないからね。
……兄だった男といずれ戦うことを考えれば、今のレベル、466は低すぎる。
あの男は8年前にはユニークスキル持ちを殺すために動いていることを考えると、今のレベルがどれほどなのか想像もつかない。
もっとも、あの男はワタシと違ってユニークスキル持ちを殺すために動いてる分、レベル上げだけに注力したりしていないはず。
だけど国が確保している占有ダンジョンで1年以上レベルを上げ続けたとはいえ、8年の期間はあの男がレベルを上げるのに十分な時間だ。
さすがに1000も上げておけば余裕を持って捕まえることすら出来るだろうけど、レベルが高くなればなるほどレベルの上がるスピードも遅くなるし、かといって一気にレベルを上げるために高ランクのダンジョンに行けば死ぬ危険も高まってしまう。
その危険をソウタならかなり低くできる。
やっぱりソウタは是が非でも欲しいね……。
≪オリヴィアSIDE≫
なんだあの力は!?
まるで自分の力が何倍にもなったかと錯覚するほど他人を強化するスキルなんて聞いたこともないぞ!
「デメリットスキル持ちだということは聞いていたんだがな」
矢沢恵がデメリットスキル持ちであり、その力が有用であったことから本国ではそのスキル所持者の育成をする計画も出ていると噂で聞いたが、鹿島先輩もデメリットスキル持ちでありながら――いや、デメリットスキル持ち
「そうなってくると高宮もデメリットスキル持ちなら何かしら尖った能力を持っていてもおかしくないんだが、今日の戦闘では目立ったところはなかったな」
矢沢恵や鹿島先輩に比べると、高宮は大した能力は持ち合わせていないように感じたが、そう決めつけるのは早計か。
「だがもしかしたらデメリットスキルにも当たりハズレがあるのかもしれないし、よく観察して上に報告する方がいいだろう」
デメリットスキル持ちは数が少ないし、レベルを上げている者はもっと少ないから、サンプルなんてあの3人くらいなもので、どのスキルが当たりでどのスキルがハズレかなんて見分けるのは難しい話だ。
どうせやるなら様々なデメリットスキル持ちのレベルを上げていき、1人1人調べていくのが適切なのかもしれない。
とはいえ――
「
≪オルガSIDE≫
羨ましい。
鹿島蒼汰がそのハーレムと仲が良いのは文化祭で十分分かっていたことだけど、戦闘でも互いに信頼し合っているのが伝わってきた。
ボクにはそんな人は今まで生きてきた中で1人もいなくて、家族からすらも疎まれていたというのに。
近くに行けば行くほどよく分かる。
彼らが互いに信頼し、愛し合っているということに。
彼らが出会ったのはまだ1年も経っていないのに、短い年月でどうやってあそこまでの関係を築けれたのだろうか。
特に
彼女はボクと同じでコミュニケーション能力が低く、国からの指示もあったのもあるけど雰囲気が似ていたから転校してすぐに関わりにいけたほどだ。
クラスでも孤立していたのはすぐに分かったし、彼女自身も人と関わりにいくことを苦手にしてるはずなのに。
強いから?
いや、それはない。
強すぎるがゆえに周囲に疎まれているのに、それを理由にあの輪に入れているはずがない。
……あっ、いけない。
任務とは関係のないことが頭を埋め尽くしていることに気付き、頭を振ってその考えを追い出そうとする。
いや、全く関係ないわけじゃない。
鹿島蒼汰達と仲を深め、出来る限り関わっていくのが任務なのだから、
でも考えれば考えるほど、羨ましいと感じてしまう。
彼女のいる場所はとても暖かそうで、ボクにはひどく眩しく見えてしまう。
ボクが鹿島蒼汰の膝に座った時に感じたような温かさを、いつも感じていられる彼女達が羨ましい。
……そう言えば。
人の温もりを感じたのはあれが初めてだったなぁ。
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