第11話 飲まず食わず眠らず
亮さんは〔マジックポーチ〕から刀を取り出して〝まむし〟と呼んだ人物に向けて構えたと思ったら、いつの間にか狐のお面を被っていた。
「ここは俺に任せてお前達は先に行け」
『くはっ。盛大な死亡ふらぐってやつじゃないかい?』
確かにそのセリフは完全にフラグなんだけど、その言葉を何故あんたが知っているのかと問いたい。
「問題ない。信玄でも謙信でもなく、
『はっ、言ってくれるじゃないかい坊や!』
初老の女性、斎藤道三が亮さん同様に刀を持って攻撃をけしかけてきたのを、亮さんが余裕で受け止めていた。
正直いつの間にか攻撃していて、気が付いたら亮さんがそれを受け止めていた事しか認識できなかった。
これがSランクダンジョンの【
ほとんど動きが見えないが。
とてもじゃないが手を出せないけれど、他の冒険者の人達は
「あれが斎藤道三なのか」
「聞いていた通り、やはり女性なんですね」
「見た目ほぼ普通の女性だけど、戦闘力がヤバいわよ」
「こんなのが少なくともあと6体はいるんだよ、ね?」
聞いた話では誰も見たことがないけど、いると言われている織田信長。
そして僕らが
他にもいるかは不明だけど、今までの
ここの【
この印籠が3日で消失してしまい、その印籠をドロップした武将が復活するので、3日以内に全ての武将を倒すことがここの【
そのため今回の作戦では一番最初に出会った武将に対しては、できる限り戦闘を長引かせて時間を稼ぎつつ倒すことになっている。
そのための適任が亮さんだ。
ユニークスキル[貯蔵庫]を持つ亮さんなら、飲まず食わず眠らずで何日でも戦っていられる。
それに加えソロで武将を何度か討伐経験があるようなので、むしろ亮さんしかこの作戦を任せられなかったとも言えるね。
「亮、そいつは任せたわよ」
「ああ、できる限り時間は稼いでやる」
沙彩さんがそう言うと、亮さんは軽い調子で返してきた。
この程度の相手は余裕だというのか、さすがは日本で一番と言われている冒険者だ。
『かかっ、ワシを相手によく言うわい。ならやれるものならやってみい! 〝先見の明〟』
「早速使うか」
斎藤道三は
〝先見の明〟は未来予知の能力であり、こちらの次の行動が手に取るように分かるらしい。
『そやつらを守れるもんなら守ってみせい!』
「メンドクセエBBAだ」
『誰がBBAだゴラー!!』
道三と亮さんから離れるように先に進もうとしたところ、道三がこちらに攻撃をしかけようとしたけど、あっさりと亮さんの挑発に乗って亮さんに攻撃をしていた。
いくつであっても【
「亮が気を引いてる内に早く行くわよ!」
沙彩さんに言われ僕らは駆け足でこの場を後にした。
日本で一番の冒険者と【
◆
≪亮SIDE≫
『ちっ、ワシとしたことが。せめて1人だけでも』
「させるか」
道三が俺の後ろにいる他の奴らに意識を向けたので、すぐさま【典正装備】の1つを発動させる。
「止めろ〔
手にした小さな柳を地面に突き立てると、そこから無数の半透明の手が道三に向かって伸びていく。
『坊やのこれは面倒だね!』
道山は悪態をつきながらも器用に避けていく。
〔
触れられるまでその手は実体を持たないため手に攻撃しても意味はなく、掴まれた後でしかその手に攻撃はできない。
普段ならそんな事を知らない敵に使うから簡単に捕まるし、捕まって動揺した隙に致命傷を与えられるんだが、
その時捕まったこいつの首を断ち切ったのだが、その時の記憶を保持しているのは厄介だな。
今回はどの道すぐに殺す訳にはいかないとはいえ、足を切っておいて動けなくするくらいはできただろうに。
『危ない危ない。〝先見の明〟を使っていなかったら捕まっておったよ』
「あっさり逃げ切りやがって。しかも以前会った時よりも動きがいいじゃねえか」
『当たり前じゃろ。地上よりも地下の方がワシらは本領発揮できるからの』
ますます面倒な話だ。
『以前は不覚を取ったが今回はそうはいかんぞ。本気のワシの実力に慄くがいいわ』
はっ。馬鹿を言うなよ。
「本気じゃなかったのがてめえだけだと思うなよ」
伊達に日本で一番の冒険者だと言われてねえことを見せてやるよ。
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