10章
プロローグ
≪大樹SIDE≫
日はとっくに暮れて家に帰って来たオレは、スマホをいじりながらテレビのニュースを何と無しにつけていたら、気になるニュースが流れてきたのでそっちに意識を向ける。
『中国、ロシアで同時に
現地に斎藤アナがいますので詳しい話を聞いてみましょう。斎藤アナ』
『はい斎藤です』
テレビに映る光景はヘリコプターから映し出されており、ヘリからの光で照らされているのは明らかに不自然に存在する巨大な黒い筐体。
なんで【
『あそこに見えているカプセルトイですが、あちらが【
……なんだって?
【
いや、【ミノタウロス】が迷宮を創ったことを考えるとああいう物体を創ってもおかしくないのかもしれないが、カプセルトイはおかしくねえか?
一体どんな物語からあんなものが創り出されるっていうんだ?
『さらに――あっ、あちらをご覧ください! 今レバーが回りだしました。
あちらのカプセルトイのレバーが回りだすと巨大なカプセルが出て来るようですが、あ、今出て来ました!
そのカプセルからさらに小さいカプセルが無数に飛び出し、中から現れたのは2頭身ほどの人形のような存在です。
それらがカプセルトイを中心に輪のように各地に広がっていっています』
テレビに映っているのはヘリからだったため、小さい点みたいなのが動いているようにしか見えなかった。
あれは一体何だ?
女性アナウンサーが人形のような存在と言っているから、人型の何かだとは思うが随分大量に出てきてるな。
発生した
『あの人型は
なんだその矛盾した言い回しは。
危害を加えて来るなら危険なんじゃねえのか?
『斎藤アナ。どういう事でしょうか?』
『あの人型はこちらの命
なんだって?
あの人型共は上杉謙信みたいな【
『あの人型が狙ってくるものは、私達が誰もが持っているスマートフォンです!』
「はっ?」
いやおかしくねえか?
なんで【
『あの人型はスマートフォンを奪うと、それにインストールされているゲームを起動させ始めます。
そして特別なアイテムが手に入れられるガチャシステム、通称ガチャを行います。
ガチャを行うには専用のゲームアイテムが必要ですが、あの人型はそれを全て消費した後、一定の料金を支払うことでアイテムを手に入れられる手段、ゲーム課金を行い勝手に入手しようとします。
本来であればキャリア決済などではパスワードが必要になるところ、あの人型はパスワードが分かっているのかパスワードを打ち込み、キャリア決済の上限までゲーム課金を行ってしまいます』
……最悪じゃねえか。
『幸いにもあの人型は私のような女性でもカバンや傘などで殴るだけで簡単に倒せるようなのですが、スマートフォンを奪われた状態で殴ると、倒した際にスマートフォンも一緒に壊れてしまいます』
道連れの機能まであるのかよ。
『ですから奪われる前に殴り倒すか逃げないといけません。
もしくは私のようにこの騒動が収まるまでゲームアプリをアンインストールしておき、あの人型に奪われても問題ないよう――』
『『『ガチャ~!』』』
『えっ、きゃあ!? どうしてここに?!』
奇妙な鳴き声と共に現れた3体の人型。
素早い動きでヘリに乗っていた3人のスマホを奪い取っていた。
『ガチャ~』
『嘘!? どうして私がアンインストールしていたゲームを再インストールしてるの!?
しかも引継ぎまで勝手に!?』
どうやらあの人型、キャリア決済のパスワードだけじゃなくて、そのスマホでやっていたゲームや引継ぎ用のパスワードまで分かるらしい。
『いやーー! 来週にピックアップが来るのにーー!! 止めて、私のウ〇娘がーー!!?』
『俺のF〇O!?』
『放置〇女が!?』
『『『ガチャガチャガチャー!!』』』
テレビに映る3体の人型。いや、これ明らかに――
「蒼汰じゃねえか!?」
デフォルメされているせいで分かりづらいが、『ガチャ』とか叫んでひたすらガチャを回すあの姿は蒼汰を連想せざるを得ない。
おい、あいつに一体何があったんだよ!?
オレはすぐさま連絡しようとしたが、当然というか蒼汰に連絡がつくことはなかった。
「くそっ! 今すぐにでもあそこに行きてえところだが、海外じゃ行くに行けねえぞ」
しかもあんな事態に陥っているとなると、飛行機や船がまともに運行されているとは思えねえ。
ちゃんと生きて戻って来れるんだよな……。
『『『ガチャ~』』』
画面に映っている気の抜けそうな存在を見ながら、オレはただ祈る事しかできなかった。
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・あとがき
正直まだ煮詰まり切ってないのですが、せっかく皆さんがお休みのタイミングで更新できないのも心苦しいので投稿していきます。
あとちょっとなのに、それが思い浮かばない……!
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