8章
プロローグ
≪蒼汰SIDE≫
「おい聞いたか蒼汰、彰人! 今日転校生がやって来るんだってよ」
「「へ~」」
「しかも女子だ!」
「「へ~」」
「いや反応鈍すぎだろうが! 女子が来るのになんでそんな淡白な反応なんだよ!」
「「興味ない」」
「これだからガチャとギャルゲー野郎は……!」
大樹が妙なテンションと共に教室に入って来たと思ったら、女子の転校生が来ると知って興奮しているようだ。
でもそんな事言われてもどうでもいいんだけど。
「というか大樹。転校生が来るからといって何の関係があるんだい?」
「あるだろ彰人。恋仲になれるかもしれないんだぞ?」
「大樹の場合難しくない? その子がハーレムに寛容じゃないといけないんだよ?」
「大丈夫だ蒼汰!」
「何がどう大丈夫なの?」
「何故なら転校生はアメリカ人らしいからな」
わざわざ外国から日本に転校してくるだなんてよっぽどな理由があるのかな?
親の仕事の都合で一緒に来たとか。
まあそれはともかく、アメリカ人だから何が大丈夫なんだろうか?
「アメリカはあれだろ。フリーセックスの国だからハーレムくらいいけるだろ」
「アメリカの人に喧嘩でも売ってるのかい?」
「それって日本人の女性は献身的だから家事全部任せられるって言うくらい失礼だから」
そもそも国と個人は関係ないでしょ。
国によってそれぞれ性格の気質は似通ることはあるだろうけど、日本人だって貞操観念の低い人もいれば、アメリカ人だって大和撫子みたいな人だっているんだから、実際に転校生に会ってからその判断をしなよ。
「まあそりゃそうか。それはともかくとして可愛い子だといいな」
「「そこはどうでもいい」」
「これだからお前らは!」
人の容姿以前に乃亜達を裏切るような事はしたくないし、何より今は復刻ガチャが来てるからミッションクリアしてガチャ石の回収するのに忙しい。
課金が出来ればこんな苦労しなくていいのになぁ……。
思う存分回せる日が果たしてくるんだろうか?
――キーンコーンカーンコーン
「お前ら、席に着け~」
いつものようにチャイムと同時に担任の大林先生がやって来て全員に席に着くよう促してきた。
僕は最初から席に着いていたので、机の下でコッソリとスマホを弄り続ける。
「あ~君らの中でもう知ってるのもいると思うけど、今日転校生が来てるから仲良くしてあげて頂戴な」
ストーリー進めても1話でガチャ石が1つしか手に入らないの辛いよ。
「それじゃあ君、入ってきて」
「はい」
石3つで1回ガチャれるけど、30個あれば11連回せるから30個集めないといけないし。
「「「うおおっ」」」
「男子諸君。興奮する君らの気持ちはよく分かるが、まずは彼女の自己紹介だよ」
「ワタシの名前はソフィア・グティレスと言います。ソフィアと呼んでください。よろしくお願いします」
うわっ、また外した。
せっかく貯めた石が一瞬で溶けるのが虚しい……。
「はい! ソフィアちゃんはアメリカ人ですよね?」
「森、転校生相手にグイグイ来過ぎじゃないかね? あ~ソフィアが良ければ今から質問時間にしたいが構わないかな?」
「はい、構いません。先ほどの質問ですがあなたの言った通りワタシはアメリカ人です」
「ソフィアちゃん、敬語じゃなくていいんだよ?」
「そう? ならそうするよ」
き、金回転。これは……あ、違う。星5が欲しいのに星4だった……。
でも持ってないキャラだから良し!
「なんで日本に来たの?」
「仕事の都合だね」
「あ、なるほど。親に連れてこられたのか」
「好きなものは?」
「ドーナッツかな」
「オレもドーナッツは好きだ!」
「露骨なアピール(笑)」
あ゛……最低保証。星4装備が1つしか来なかった……。
最低保証は心折れるからマジで止めて欲しい。
「日本語上手いね。いつぐらいから勉強してたの?」
「いや全然勉強はしてないさ。言語を覚えられる魔道具で覚えたね。高いものらしいけど言葉が通じないのは不便だからって、使わさせてもらったんだ」
「あれ使い捨てなのに500万ぐらいするやつじゃなかったか?」
500万ぶち込みたい。
30億もあるんだからガチャにそれだけぶち込んでやりたい……。
出てくれ。ピックアップが終わる前に、僕の心が折れる前に早く出て~。
「使ってるシャンプーは?」
「花〇」
「凄い親近感。でもどの種類か分からねえからグルシャン出来ねえ」
「止めろ死ぬぞ!?」
死にてぇ……。
もう何回やったか分からないけど、未消化のストーリーほぼ消化したからこれ以上ガチャれない……。
デイリークエストとかもやりきったから、もう石が手に入らないし。
……終わった、何もかも。
「さて、そろそろいい時間だから続きは休み時間にするといいよ。ソフィアの席はあそこを使ってくれ。それと校内を案内するやつだが――」
「「「はい!!」」」
「良かったなソフィア。選びたい放題だぞ」
「誰でもいいんですか?」
「ああ、好きなやつ選ぶといいよ」
「分かりました」
気が付いたらサラサラな金髪ロングで薄茶色の目の美少女が僕の横に立っていた。
「
「え? あ、はい」
いや、誰?
僕は訳も分からず気が付いたら転校生の学校案内をすることになっていた。
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