第3話 ちょっと説明回
大樹達からスキルについて聞いた僕は早速ダンジョンへと行きたかったけれど、さすがに現在週5で働いているバイト先をいきなり辞めると人手不足となって迷惑をかけることになるし、そもそも冒険者になるための資金を最低限得ておきたかったので、1か月働いてから辞めた。
そのため高校2年の4月になってから冒険者登録をして講習を受けることになったけれど、役に立ちそうな知識もあったけど正直その知識いるのかな? ってことも教えられるし、学校で習っていることも話を聞かなければいけないのはちょっと面倒だった。
学校でも習ったけど、ダンジョンは今から100年ほど前、突如各地に発生したらしい。
自衛隊を派遣してダンジョンを調査したところそこには魔物がいて、倒すと魔石などの資源が入手できることからそれは国が管理し、資源を調達するためのダンジョン以外は入り口が封鎖された。
魔物がダンジョンの外に出て来ることはなかったがための判断だった。
どこの国も理由はそれぞれだけど、国が独占するためとかテロリストなどの危険人物が入手できないようにするとかなどの理由で、大抵の国はダンジョンを管理しきれない場所は封鎖した。
そしてその判断は間違いだったと思い知らされる。
数年が経ったころ、ある悲劇が起きたんだ。
“
封鎖したダンジョンから突如大量の魔物が溢れ出し、生きている人間を手当たり次第に殺し始めた。
日本だけでも確認できている迷宮の数は243あり、国が資源にしていたダンジョン25か所以外の218のダンジョンでその悲劇が起きてしまった。
国は当てにならず自分達で身を守らなければいけなくなり、女子供老人といった戦えない者は下がらせて、男達は武器を手に取り強制的に戦わなければいけなかった。
その結果世界の人口は激減し、78億いた人類は47億程度にまで減少。
日本は1億2千万人いたのが7千万ほどに減少し、特に成人男性や成人間近の男性が多く死に絶えた。
ダンジョン騒動はなんとか終息できたものの、2つの大きな問題が残ってしまう。
1つ目はダンジョンについて。
ダンジョン内にいる魔物を定期的に間引かなければ、今回のような問題が再び起きること。
2つ目は減少した人口と今後の出生率について。
男性の多くが死んでしまい、生殖可能な男性3千万近くのうち1割ほどの300万人しか生き残らず、このままでは人口が加速度的に減少してしまうこと。
この2つを同時に解決するための策はいくつか出ていたけど、未だに残っているのが重婚許可法、通称ハーレム法と呼ばれる法案だった。
一夫一妻が当たり前ならば、なんだこのふざけた法案は、と憤っていたことだろうけど、当時の人間達は大まじめだった。
民法に記載してある第七百三十二条、重婚の禁止が廃止されるわけではなく、ある条件を満たした者はこの法律が適用されないというもの。
その条件が総資産が配偶者1人につき2億以上あること、もしくは冒険者業で配偶者1人につき年間1000万の収入を得ていること。
そして結婚してから配偶者1人につき5年以内に最低1人は子供をもうけることだった。
これによりお金に余裕のある富裕層が妻を増やすことで子供の数を増やさせ、さらには冒険者になる意欲を上げることを目論んだ。
これが当時の状況を改善する要因になったかは定かではないけれど、少なくとも出生率などは改善したので、その一助になったとは思う。
もっとも、出生率が改善されダンジョンや魔物への忌避感が薄れた今は、総資産が1人につき4億以上あることに条件が変更されたけど。
それを考えると、少なくとも総資産が8億以上ないとハーレムを作れないんだけど、大樹はこんな厳しい条件をクリアする気でいるんだから普通に凄いと思うね。
あ、ちなみにこの条件は女性にも当てはまるので逆ハーを作ることもできるけれど、それを目指す女性は男性よりも断然少ない。
そのためハーレム法だけでは女性がダンジョンに行って魔物を間引こうとしないので、魔物を間引けば減税、などの様々な特典がかつてはあった。
だけど男女比が戻り、冒険者の数が十分となりどのダンジョンでも魔物が一定数間引かれるようになってからはそれらの政策はなくなり、ハーレム法くらいしか当時の名残が残っていないけどね。
こういった知識は学校でも習うので、講習でも聞かされたときは話半分で聞き流していたけど、ダンジョンについての詳細は学校では教わらないのでそこは真面目に聞いた。
退屈な座学を受け終わると次は実戦だった。
支給された武器を持ち、講習を受けに来た人でパーティーを組んでダンジョンへと潜った。
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