第17話 アニメキャラかよ
「ははっ! なんだてめえら。あいつとキスしたら強くなるとかアニメキャラかよ」
「わ、笑ってんじゃないわよ!」
「そういう作品が多く、現実にはほぼないのは認めるところですけどね」
「咲夜達だけ特別」
カティンカがめちゃくちゃ爆笑しながらさらに上機嫌になって、乃亜達とソフィアさんの4人の攻撃をさばき続ける。
乃亜達3人強化してるのに、まだまだ対応できるとか戦闘力高すぎでしょ。
さっきからどんだけ手を抜いて戦ってるというんだよ。
「くそっ、まともに傷も負わせられないなんて……!」
「焦ってるせいで攻撃が直線的になってんだよ。はぁ。いい加減てめえにゃ飽きてきたな」
ソフィアさんは肩で息をしながら悔し気にカティンカを睨みつけるけど、カティンカは今にもあくびをしそうな雰囲気だった。
「だったらこれで仕留める。派生スキル[フォースギア]!」
「ほうっ。まだ出力が上がるか」
ソフィアさんの剣撃を受け止めるカティンカが感心したような声を出しながら後退していた。
ソフィアさんの身に纏っている機械の部分が青白く光っており、カティンカを後退させるほどの威力に加え、速さも先ほどよりも速くなっていた。
「壊れろ、[圧壊]!!」
ソフィアさんは手に持っていたレーザーブレードを手放すと、両手で白羽取りのようにカティンカの戦斧を掴み、そのまま砕いてしまった。
「ははっ、[ハードコーティング]使ってる俺の武器を壊すとはやるじゃねえか!
[圧壊]のスキルだけじゃねえ。その手に着いてる機械が高速振動して破壊力がエグイ事になってやがる」
文化祭の時に僕の頭を両手で押さえてきたけど、[デウス・エクス・マキナ]と[圧壊]のスキルの事を言っていたのか。
……あの硬そうな斧を砕けるスキルを持ってると知ってたら、確かに頭を差し出すのは躊躇してただろう。
「今です!」
「隙あり!」
「ここ!」
武器を失って無手となっているカティンカにチャンスとばかりに乃亜達3人が一斉に攻撃を仕掛けに行く。
「なめんなクソガキ共!」
カティンカは3方向からの攻撃に対して、身を捻ってかわしたり拳や足で軽い一撃を入れて怯ませることで、全ての攻撃をさばききってしまう。
武器を持っていないにもかかわらず、いや、武器を持っていないからこそ身軽となった為、複数からの同時攻撃にも対処できたとも言えるか。
「ラスト、[ファイナルギア]!!」
しかしカティンカは無傷で乃亜達の攻撃をさばいたとはいえ、体勢は崩れていた。
そんなカティンカに対して、チャンスだと感じたのかさらにバフらしきスキルを使った後、真っ直ぐにソフィアさんは突っ込んでいく。
先ほどまでは青白かったのが今度は機械部分が紅く光っており、離れていても目で追うのがやっとなほどの速さだった。
「はあっ!」
「ちっ、ぐあっ!?」
先ほど手放したレーザーブレードを再び手にしたソフィアさんが、それを用いてカティンカに一閃。
カティンカは何とかしようと身体を捻るも体勢が悪すぎてかわしきれず、結果として右腕が斬りとばされてしまった。
「ぐっ、ちくしょう……!」
斬られた腕はカティンカにとっては幸いにも焼き切られたため出血はしていなかったけど、何とも痛々しそうだった。
だけどカティンカは痛みを感じていないのか、憎々し気にソフィアを睨みつけるだけで痛みを表には出していない。
「さぁ、これ以上切り刻まれたくなかったら、あの男の情報を吐いてもらおうか」
「ふん。この程度のダメージで俺が降参するとでも思ってんのか?」
腕一本失ってるのに軽傷みたいな発言するとか、やせ我慢も大概にしなよ。
カティンカの様子があまりにも堂々としていて、まるで腕がないのがいつも通りだと言わんばかりの態度に、やせ我慢か疑わしく思い始めた時だった。
突如として魔物達のいる中央付近で眩い光の柱が舞い上がった。
あれ? あそこは確か、さっきまで僕らが中央突破して安全地帯を創った辺りな気が……。
「ちっ、ここまでか。ああくそ、遊び過ぎちまったな。
まあいいや。必ず殺せなんて言われてねえしな」
「どういう意味?」
「どうもこうも
カティンカが何を言いたいのか分からない。
「さて、俺は逃げるがその前に意趣返しはしとかねえと、なっ!」
〔マジックポーチ〕から片手で4つの戦斧の柄の先端を掴んで取り出すと、それらをまるでナイフでも投げるかのように投擲してきた。
戦斧をそんな方法で4つも投げるなんて、どんな握力と腕力してるんだよ!?
投擲された4つの戦斧の内、3つは咲夜、乃亜、ソフィアへと向かって行くけど問題は残りの1つだった。
「こっちに向かってくる!?」
「戦いもしねえクズは死んどけ」
戦斧の狙いはこっち、正確に言えば僕ではなく先ほど地面へと降ろしていたオルガへと向かっていた。
「……ひっ!」
「オルガ!」
僕は高速で向かってくる戦斧に対し、咄嗟にとれた行動はオルガに覆いかぶさることだけだった。
――パンッ!
「ぐほあっ!」
「「「先輩(蒼汰)(蒼汰君)!?」」」
乃亜の[損傷衣転]でダメージは負わないことを想定して動いたけれど、戦斧の勢いが凄まじく衝突した段階で上半身の服は吹き飛び、オルガ共々地面に何度も打ち付けられるように転がりながら吹き飛ばされてしまった。
「……ど、どうして?」
「ぐっ、痛っ……」
オルガの疑問に答える余裕はなく、地面を打ち付けられるように転がった際の負傷のせいで、僕は顔をしかめるしかできなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます