第2話 2度目の……
「結構悩んだし、みんなで何度も相談し合ったけど……来ちゃったね」
僕らは今、京都に来ていた。
そう、Sランクの〔スケルトンのダンジョン〕がある場所であり、4カ月ほど前にも
「報酬が大きかったですしね。仮に討伐に失敗したとしても参加するだけで1人1億。未成年を駆り出しているので、その口止め料的な意味もあるのでしょうが、ちょっと無視できない金額ですよね」
失敗しても1億だけど、成功報酬がなんと1人5億。
さらに他の【
この報酬は今回はもっとも活躍した人物に贈られることになっているので、さすがにこっちは僕らには関係なさそうだけど。
しかし僕らが前に戦った上杉謙信のように、【
「前に会った上杉謙信みたいなのを倒せばさらに報酬が10億加算されるけど、さすがにそれは無理だよね」
「そうよね。前に倒せたのってダンジョンの外だった上に、宗司さんがいたんですもの」
「お父さん、意外とあの時頑張っていたんですね……」
乃亜がしみじみと言いながら、あの時の事を思い出すように呟いた。
上杉謙信が宗司さんを倒してこちらに向かって来た時、実は宗司さんが上杉謙信と戦っている間デバフをかけまくっていたため弱体化していた。
その上、【
そのため、ダンジョンの外、宗司さんのデバフ、咲夜の[鬼神]の3つの要素が絡み合った結果倒せただけであって、今回はいくらあの時よりも大幅にレベルアップしているとはいえ、とてもじゃないが僕らでは上杉謙信のような武将とはまともに戦えないだろう。
さすがSランクダンジョンの【
「でも、咲夜達の使命は安全地帯をダンジョンに創ることだから、無理して【
「ま、そうよね。5億どころか1億でも十分大金なのだし、私達は自分達のできる範囲で行動しましょ」
咲夜や冬乃の言う通り、僕らは無理せずやれることをやるのが一番だ。
下手に動いて周りの足を引っ張るのは申し訳ないし、それになにより僕らは安全地帯を創るためだけに呼ばれたようなものなので、戦う必要はないはずだし。
「いざという時のための道具は買ってありますからね」
ここに来ることを決めた日、すぐにアドベンチャー用品店に何か必要な物や使える物はないかと訪れたんだよね。
◆
「先輩の力である程度ポーションなどを出せるとはいえ、自分達でもすぐに使用できるようにしていた方がいいでしょうから、全員〔マジックポーチ〕を持っていた方がいいでしょうね」
「うっ、安くても100万もするのね……」
「冬乃、無理に買わなくてもいいんじゃない?」
「い、いえ、買うわ! 命には代えられないもの」
「うん。命には代えられないよ、ね」
レジャー迷宮で【典正装備】を手に入れたのを報告した際、【
一応討伐したことにはなるのだけど、問題がレジャー迷宮にはランクが存在しなかったために明確な報酬が決められていなかったんだ。
危険度の無い場所であったため当然なのだけど、情報料ということでFランクダンジョンと同じ報酬1000万貰えることになったのでラッキーだった。
つまり1人250万手に入っているし、それを抜きにしても夏休みでもかなり稼いでる上に、今までダンジョンで稼いだ金額を考えると100万ぐらいなら払えるはずなのだけど、弟妹の学費などを考えると痛い出費なんだろう。
まあ単純に高額な買い物に慣れてなくて二の足を踏んでいるのもあるのだろうけど。
僕は全然気にならなかったが。
ガチャに使えないから、ま、いっかって思って300万の〔マジックポーチ〕を特に気にせず買ったくらいだし。
さて、冬乃が苦渋の決断で〔マジックポーチ〕を買う決心をしたので、3人がそれを買いに行ってる間、僕はそれを既に持っているので何か使えそうな物はないか物色している時だった。
≪確定魔道具ガチャ≫
前にも似たようなのがあった。しかし今回のお値段驚異の1回20万円の高額ガチャ。
ふぅ~。
大丈夫、僕は冷静だ。
前回1回1万円のガチャを3回だけのところ、もう1回やろうかなと思ったせいで乃亜達に担がれたことはキチンと覚えている。
あれのせいでしばらくの間、このアドベンチャー用品店に来ることが躊躇われてしまったんだ。
ここでもしもこのガチャに手を出して、もう一度もう一度なんて連呼したら、今度は簀巻きにして退店することになりかねない。
だから僕よ。
〔マジックポーチ〕から財布を出そうとするのを止めるんだ。
くっ、右手も左手も言うことを聞かないだと!?
――ポンッ
「「何してる(んですか)(のよ)?」」
両肩にかかる重圧。
ガチャに万札を投入しかけたところで見つかってしまい、簀巻きにはされなかったけど首を傾げている咲夜にも協力を要請されて、3人に担がれて店を出ることになってしまった。
ふっ、またしばらくあの店に行けないな……。
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