第4話 招待
「初めまして。私は私立
校長室で挨拶してきたのは、身長が2メートル近くはあるんじゃないだろうかという筋肉隆々の40代くらいの男の人だった。
ビジネススーツを着ているがそれが全く似合っておらず、今にも弾けんばかりの有様である。
「えっと、活躍したかはさておき、
「高宮乃亜です」
「白波冬乃です」
「四月一日咲夜」
「森大樹です」
「うむ、知っているとも」
満足そうに頷く馬渕さん。
校長っていうから、太ってたり、禿げてたりといった年配のおじさんをイメージしていたのだけど、まさかこんなアメコミのヒーローみたいな肉体の人が来るとは思わなかったよ。
「突然呼び出してしまって悪かったね」
「いえ。それよりも、冒険者学校の校長先生が僕らにどういった要件があるのでしょうか?」
冒険者学校は確か全国で複数ある、ってくらいしか知らないんだよな~。
自分にスキルが身に着くなんて思わなかったから、中学で進路を考える時に冒険者になろうって思わなかったし、冒険者学校の事なんてこれっぽちも調べなかったからね。
しかも私立でお金がかかる事を考えると、特に理由もなく選ぶ進路じゃないし。
「そうだな。では単刀直入に言おう。君達を我が学校に招待したい」
「えっ、それは転校して欲しいってことですか?」
う~ん、学費がかかりそうだし、あんまり興味はないんだけどな。
「いや、それは違う。転校ではなく短期留学の方だな。夏休みに入るまで残り2週間ほどだが、その間だけ我が校で冒険者としての知識を学んでみないか、というお誘いだよ」
ふむ。短期間だけなら興味あるね。
だけど一番の疑問としては――
「何故僕らを招待するのでしょうか?」
「うむ、もっともな疑問だ。招待する要因としてはまず1つに、君らが
その2、【
その3、君らがまだ高校生であること。
これらの実績や年齢を踏まえ、君らを招待することで我が校らの生徒への良い刺激になると思ったのが理由の1つ」
刺激になるんだろうか?
【
「そして最大の理由が、周囲にいる将来有望な若者も呼んで我が校の評判を上げたいのが理由だ」
「評判ですか?」
何故僕らを呼ぶことが、評判が上がる事に繋がるのだろうか?
「我が校へと招待した生徒が冒険者学校の有用性を広めてくれれば評判は上がるだろ? 実体験を得た者からの話なら周囲も聞くだろうし、それが実力者であるならなおの事だ」
実績のある人が、この高校で学んだ経験が今の自分に繋がっていますって言えば、中学生で冒険者になろうか悩んでいる子にとって後押しに繋がるのは間違いないね。
「それにこの短期留学で我が校を気に入り、転入を望む者だって毎年少なからずいる。そうして転入した者が卒業後、名を上げていき冒険者学校の卒業生だと知られればさらに評判は上がる。
君らの様な実力者を招待するのは、我が校において利益しかないのだよ」
「なるほど」
校長自ら招待に来るぐらいだし、この短期留学に力を入れているのがよく分かる。
しかし、今のままでも十分レベル上げは順調だし、わざわざ留学する意味はあるんだろうか?
「いい話じゃねえか。蒼汰はどうする?」
「どうするって言われても、冒険者学校についてほとんど知らないんだけど」
「え、そうなのか!? って、驚くことでもねえか。中学の時からガチャ以外ろくに興味がなかったんだろうし」
決めつけないでくれない? その通りだけど。
「知らないのであれば1度来てみてはどうだ? 我が校はその名の通り、ダンジョンに潜る上で必要な知識が学べるのに加え、所持している占有ダンジョンだってあるのだからな」
「占有ダンジョン?」
「国または個人が独占しているダンジョンであり、許可がないと入ることが出来ない場所のことだ。そう言った場所は他のダンジョンよりも、効率よくレベル上げが出来る、金銭が稼ぎやすいなど様々なメリットがある。
我が校が所持している占有ダンジョンは〔ミミックのダンジョン〕であり、Cランクのダンジョンでありながら、Dランクよりも危険度の低いダンジョンで、Bランクよりもドロップするアイテムの質が良いことで有名だ」
「マジか!? 占有ダンジョンにも入れるのかよ!」
「マジだとも。短期とは言え我が校の生徒になるのだから当然だ。我が校では毎年夏休み前にダンジョン遠征を行うのだが、是非ともそれにも参加して欲しい」
普通は絶対に入れないダンジョンか。
レベル上げがさらにはかどりそうな上に、ダンジョン遠征なんて
「レベル上げに良さそうだし悪くない話だと思うけど、みんなはどうする?」
「わたしは先輩についていきます」
「咲夜も」
「かなり稼げそうだしいいんじゃないかしら?」
「オレは当然行くぜ!」
決まりだね。
「その短期留学の話、是非とも受けさせてください」
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