第24話 ゴミ扱い

 

 突然謎の石がスキルのスマホに吸い込まれたことに困惑していた。


「一体何が……?」


 ミミックのドロップアイテムの謎の石が全てスマホの中に入ってしまった理由が分からないけどスマホの方はどうなったんだろうか?

 そう思って[放置農業]の画面になっているスマホを見てみると、おかしな変化があった。


「なんだこれ?」


 いつもであれば畑が表示されているはずなのだが、その畑の上に浮かぶ小さくて丸い黒い石。

 その石の上には数字が記載してあり3/5000と表記されている。


「ここに表示されている石がさっきの謎の石なんだろうけど、何でそれがスマホに取り込まれたんだ?」


 いや、逆か?

 石がスマホに入っていったのか? って、そんなのはどっちでもいいか。


「一番の問題はこれが僕のスキルにどう影響があるかだよ」


 何か説明文は出ないかと適当にタップしていたら、メッセージが表示された。


『我を集めよ』

「態度が尊大だな」


 何様のつもりなんだろうか。


 他にも何かメッセージは出ないものかとタップし続けたけど、変わらないメッセージが表示されるだけだった。


「何なんだこの石は?」


 とりあえず[放置農業]にこの石が表示されるようになっただけで、他の派生スキルに影響はなさそうなのでホッとした。


「ただ明日、みんなに何て言えばいいんだろうか……」


 戦利品を勝手に使ってしまったようなものなので、最悪怒られる事を想定して気が重くなりながら、広げていた物を片付けてベットに横になった。


 ◆


「と言う訳で、この通りあの石はスキルのスマホに取り込まれてしまいました。ごめんなさい」


 留学前に通っていた学校にいた時のように校舎前で挨拶運動をした後、指定されている教室にいる3人と合流した僕は、昨日起きた出来事を話して謝った。


 キッチリと頭を下げて謝るけど、特に何の返事がない。

 僕はゆっくりと頭を上げると、3人は何とも言えない表情で僕を見ていた。


「いえ先輩。そんな謝る必要ないですよ」

「そうね。だってあれ、聞いた話じゃ、ただのゴミって言われているのよ」


 なんだって?


「どこかの研究所で調べても、ただの石って結論付けられたみたい、だよ?」

「石自体はそれなりに綺麗ですが、小さすぎて装飾品として利用する価値もないって扱いみたいです」

「そんな訳で、みんな他のドロップアイテムの時はともかく、そのドロップアイテムだけはダンジョンに捨ててるみたい。だから蒼汰は全然気にしなくてもいい、と言うかむしろ利用価値が出てきそうな事に驚きだわ」


 マジか。

 ドロップアイテムにハズレがあるとか、クジ引きみたいだな。


「3人はどこでそんな話を?」

「寮にいた生徒会の2人、このみさんと鈴さんからね。寮に戻った時に玄関にいたから、その時色々話して知ったのよ」

「〔ミミックのダンジョン〕で効率のいい稼ぎ方とか、ずっとこのダンジョンを利用している人に聞いた方がいいと思いまして。そうして話している時に、ミミックのドロップアイテムについても教えて頂いたんです」


 なるほど。

 そして拾ってきたアイテムが実はゴミだったと知った訳なのか。


「しかしそうなると、この石って何の効果があるんだろう?」


 今のところ、集めろとしか命令してこないんだよね。


「気にしてもしょうがないんじゃない? 3/5000って表示されてるなら、あと4997個集めないと意味ないでしょうし」

「そんな事よりも、今日もダンジョンに行くんですし、朝のうちにお互いのステータスやスキルを確認し合いませんか?」


 確かにその通りだ。

 普通に話していたけど、ステータスの話になるから〔絆の指輪〕での会話に切り替える。


『僕に関しては特段変化はなかったかな。ステータスは増えたけどスキルに変化はなかったよ』

『そうなんですか? 先輩のスキルって[カジノ]が出て以降、派生スキルが増えてませんよね?』

『そうなんだよね。レベル30の時に[カジノ]が出てきたから、いい加減増えてもおかしくないのに』

『決まったレベルで上がる訳じゃないから、何とも言えないわよね』


 もう40レベルも変化がないので、いい加減に何か来て欲しいよ。


『わたしは派生スキルが増えたばかりですから、先輩と同じようにスキルは増えてませんね』

『咲夜もそうだった』


 ───────────────

 高宮 乃亜

 レベル:78

 HP(体力) :211/211

 SV(技能値):167


 スキルスロット(1)

 ・[ゲームシステム・エロゲ]

 →派生スキルⅠ:[損傷衣転]

 →派生スキルⅡ:[重量装備]

 →派生スキルⅢ:[強性増幅ver.2]

 →派生スキルⅣ:[足跡地図化]

 →派生スキルⅤ:[シーン回想]

 →派生スキルⅥ:[第三者視点]

 ───────────────

 ───────────────

 四月一日 咲夜

 レベル:75

 HP(体力) :381/381

 SV(技能値):175


 スキルスロット(2)

 ・[鬼神]

 ・[治癒術]

 →派生スキルⅠ:[手当]

 →派生スキルⅡ:[風邪特効]

 →派生スキルⅢ:[状態異常五種回復]

 →派生スキルⅣ:[自然治癒向上]

 ───────────────


 ステータスを見せてもらったけど、自己申告通り乃亜と咲夜も同様でスキルに変化はなし、っと。

 まあ2人とも派生スキルが増えた時のレベルからそんなに上がった訳でもないし、そんなポンポンスキルが増えたりはしないか。

 そうなると冬乃も[天気雨]が増えてからレベルも大して上がってないし、新しいスキルは増えてないかな?


 そう思って冬乃の方を見たら、凄い嬉しそうな表情をしていた。


『私は新しいスキルが増えていたわ! スキルの名前は[変化]よ』

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