第39話 [恋い慕うあなたを囲う]
乃亜の最終派生スキル[
ここで服を着ているなら、なんで発動前に服が消えるのか疑問でしかないよ……。
『ガアアア!!』
おっと。脱力している暇なんてなかった。
【青龍】がこっちを認識し敵意を向けて咆哮を上げているのに、ぼんやりしていたら攻撃されてしまう。
[
……なんで乃亜のスキルなのに僕が中心になってるんだろ?
「みんな、[
「「「「「了解!」」」」」
僕はみんなに指示しつつスキルのスマホを操作して、接近戦をする乃亜、ソフィ、オルガの3人に、メイド服、チャイナ服、執事服を[チーム編成]で装備させる。
そして先ほどスマホの中に入ったアヤメを呼び出す。
「アヤメは今〔
『任せるのです!』
正直な話、〔
まあ僕自身戦えないのなんて今更だし、いつも通り全力で援護していくだけだ。
『ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!』
先ほどまで空を駆けていた【青龍】が苛立たし気に吼えているけれど、それはそうだろう。
何せ今の【青龍】は空に浮かぶことが出来ず、地面を這っているのだから。
乃亜の[
その能力の真骨頂は味方への強力なバフと敵への強力なデバフだ。
「裸で抱き着いたから[強性増幅ver.2]で強化されたのも合わさって体が軽いです!」
「それ言わないでくれないかしら!?」
「冬乃ちゃんはもうちょっと慣れた方がいいと思う、よ?」
「この感覚は慣れたらいけないものよ!」
「ソウタと付き合ってたらいずれ慣れるよ。もういっそのこと抱いてもらえばいいんじゃないかな?」
「ソフィはもう少し慎みを持ちなさい!」
乃亜がこの空間に入る前とは比べものにならないスピードで【青龍】へと肉薄していき、冬乃は乃亜の後ろを駆けていく咲夜達にツッコミを入れながら建物の屋上へと駆けあがっていく。
この空間内でなければ建物の屋上へと向かうのに、その建物の壁を蹴って上がるなんてことは……出来そうだな。
レベル高いし、今上ってる5階程度の建物ならやれる気がする。
まあでも今みたいにあっさりと上れはしないはずだ。
それを可能にしているのが[強性増幅ver.2]だけでなく、[
このスキルは自身と関係のある異性に一定の恋慕の情を抱いてる人物の戦闘力を、その想いの大きさに応じて強化するというもの。
要するに、この場合僕の事をどれくらい好きかで戦闘力が変わるというピーキーな能力だ。
具体的な数値は不明だけど、少なくとも本人達の感覚的に3倍は強化されているらしい。
「僕は一切強化されないけど、基本的に直接戦う事はないからいいのかな?」
僕をどれくらい好きかで戦闘力が変わるのだから、当人が対象外なのは仕方ないよね。
でもみんなにばかり戦わせるんじゃなくて、少しは戦う力が欲しいと思ってしまうよ。
『ア゛ア゛ア゛ッ!』
僕が戦えないのはしょうがないとして、そんな僕にも有利になるのが敵へのデバフだ。
【青龍】が唸りながら何度も空へと浮かぼうともがくけど、アスファルトの地面をこすったりヒビをいれるだけで浮かべていない。
「その巨体がより重くなってるんですから、浮かぶどころか移動するのも一苦労ですよ!」
乃亜の言う通り【青龍】が空を飛べなくなっているのは体が重くなっているせいだ。
そう。敵へのデバフは乃亜達の僕への想いに比例して敵の重さを増大させているというもの。
これを【魔王】が現れる前の時、乃亜、冬乃、咲夜、オルガの4人の段階で、鎧タイプのミミックに使ったら地面にうつ伏せになって全く動けなくなったくらいなので、ソフィまで増えた今は相当な重さがのしかかってることだろう。
「いきます!」
『ギャアアアッ!』
乃亜が【青龍】の胴体へと大楯を振るって打ち込み、【青龍】はその衝撃で地面をスライドしていた。
この空間を創る前だったらあんな風に【青龍】の身体が横にずれるほどの威力は出なかっただろう。
いや、ホント強い能力だよ。
さすが矢沢さんと同じデメリットスキルだけあって、最終派生スキルは強力だ。
…………あの発動方法じゃなければなぁ~。
外で全裸になるとかそんな性癖ないから罰ゲーム、いや、それ以上に苦痛なんだよ。
あんな解放感、知りたくなかった……!
裸の乃亜達に抱き着かれるから周囲の目も滅茶苦茶痛いし……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます