6章

プロローグ

 

≪蒼汰SIDE≫


 病院を退院してすぐに冒険者学校から今まで通っていた学校へと戻った僕らは、その数日後に夏休みに入った。


 冒険者学校に2週間行っていたためか、他の生徒が夏休みに入っているのに2日間だけ学校に通わなければいけなかったけど、たった2日で済んだのだから良かったとも言える。


「夏です!」


 夏休みに入った僕らはせっかく利用できるのだからと〔ミミックのダンジョン〕に潜りまくっていた訳だけど、ある日乃亜が突然ダンジョンから戻ってきたら分かり切ったことを言い始めた。


「そりゃそうだね。ダンジョンから出たらそれをより強く実感するよ」


 ダンジョンによって変わってくるけど、〔ミミックのダンジョン〕は過ごしやすい気温なので外の現在の気温と比べると10℃近く温度が低く、より外の気温を暑く感じてしまう。


「違いますよ先輩。夏と言えばなんですか?」

「ガチャの天王山」


 夏は運営側がユーザーの金をむしり取るために、素晴らしく力を入れて新キャラやイベントを出してくる時期でもある。


「それ、数日前に号泣してませんでした?」

「……うん」


 全てのアプリの水着ガチャで全爆死して、乃亜達がダンジョンに行こうと呼びに来るまで部屋で泣いた。

 ガチャを回すための石を貯めることができない僕は少ない石で勝負するしかなく、結果としてどのガチャも水着キャラが出なかったんだよ……。


「僕の水着キャラ……」


 嘆いても手に入らないのだから世知辛い。

 この夏のイベントのためだけに1年間無償石を集められる人がいるってガチィ?

 僕は冒険者学校で忙しかった間しか貯められなかったよ……。


「そんな先輩に朗報です」

「ん?」

「そんなに水着キャラがいいのなら、リアルで見ればいいじゃない」

「え?」

「泳ぎに行きましょう!」

「え?」


 気が付けばあれよあれよと話が進み、いつの間にか乃亜達と一緒にとある場所に泳ぎに行くことになった。

 この時はあんなことが起こるだなんて、誰も予想ができないまま。


 ◆


 ガタンゴトンと電車に揺られながら僕らは線路に対して直角に配置された座席、クロスシートに座って移動していた。

 乃亜の発案で4人で旅行に行くことになったためだ。


「先日はありがとね。みんなに引っ越しを手伝ってもらっちゃって」


 夏休みに入った直後、冬乃が乃亜の家にお礼に行った時にポロリと引っ越しする事を漏らしていたので全員で手伝うことにしたのだ。

 冬乃は遠慮したけれど、全員でやる方が楽だし、僕が持っている〔マジックポーチ〕を使えば早く終わらせられると説得したためだ。

 その際、乃亜の親御さん達、宗司さんらもその話を聞いていたので手伝ってくれた。


「全然構いませんよ冬乃先輩。そもそも先輩の持ってる〔マジックポーチ〕に重いものを詰め込むくらいでしたし」

「困ったことがあったらお互い様。それにあまり重くなかったから大したことなかった、よ?」

「タンスに服とか入ったままだったのに、そのまま持ち上げて重くないって凄すぎない?」


 持ち上げたところで〔マジックポーチ〕の口が狭くて入る訳ないので、それはそのまま持って行ったんだけど。

 いや普通に凄すぎないか!?


 いくらレベルが100を超えたとはいえ、僕では持ち上げられそうにない物を軽々と持つなんて……。


 咲夜のステータスと僕のを比較した時、レベル差はそれほどでもないのにここまでの差があるのは、[鬼神]のスキルがやはり大きく影響しているんだと思う。

 まあ[鬼神]にかかわらず、他のみんなとステータスを比べてもさほどレベル差はないのに身体能力に差があるのだけど。


 ───────────────

 鹿島 蒼汰

 レベル:124

 HP(体力) :289/289

 SV(技能値):305


 スキルスロット(1)

 ・[ソシャゲ・無課金]

 →派生スキルⅠ:[ガチャ]

 →派生スキルⅡ:[チーム編成]

 →派生スキルⅢ:[放置農業]

 →派生スキルⅣ:[カジノ]

 →派生スキルⅤ:[ログインボーナス]

 →派生スキルⅥ:[フレンドリスト]

 →派生スキルⅦ:[マンスリーミッション]

 ───────────────

 ───────────────

 高宮 乃亜

 レベル:127

 HP(体力) :338/338

 SV(技能値):284


 スキルスロット(1)

 ・[ゲームシステム・エロゲ]

 →派生スキルⅠ:[損傷衣転]

 →派生スキルⅡ:[重量装備]

 →派生スキルⅢ:[強性増幅ver.2]

 →派生スキルⅣ:[足跡地図化]

 →派生スキルⅤ:[シーン回想]

 →派生スキルⅥ:[第三者視点]

 →派生スキルⅦ:[クイックセーブ&クイックロード]

 →派生スキルⅧ:[思い出の場所]

 ───────────────

 ───────────────

 白波 冬乃

 レベル:130

 HP(体力) :331/331

 SV(技能値):302


 スキルスロット(2)

 ・[獣人化(狐)]

 →派生スキルⅠ:[狐火]

 →派生スキルⅡ:[幻惑]

 →派生スキルⅢ:[獣化]

 →派生スキルⅣ:[複尾]

 →派生スキルⅤ:[天気雨]

 →派生スキルⅥ:[変化]

 →派生スキルⅦ:[野狐]

 ・[]

 ───────────────

 ───────────────

 四月一日 咲夜

 レベル:127

 HP(体力) :479/479

 SV(技能値):275


 スキルスロット(3)

 ・[鬼神]

 ・[治癒術]

 →派生スキルⅠ:[手当]

 →派生スキルⅡ:[風邪特効]

 →派生スキルⅢ:[状態異常五種回復]

 →派生スキルⅣ:[自然治癒向上]

 →派生スキルⅤ:[瞬間回帰]

 →派生スキルⅥ:[全体治癒]

 ・[]

 ───────────────


 レベル差が冬乃と比べても6しか違わないのに、腕相撲したら何故瞬殺されるのかを知りたい。

 やはり前線で戦ってる方が身体能力が上がりやすいんだろうな~。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る