第13話 テントで一晩。何も起きないはずがなく……
スケルトン達が安全地帯の中に入ってこないと確信できたからか、ベテラン冒険者達は多少気を抜いた様子で食事をしていた。
【
ちなみに僕らは広場のど真ん中で、もっとも安全な場所に居させてもらっていた。
「わたし達の役目が安全地帯の設置なのは聞かされていた通りですが、ここまで何もしないのは何だか申し訳ないですね」
「だからといって、私達が下手に手を出す方が迷惑でしょうから、大人しくしているしかないけどね」
「上杉謙信を倒した事があるっていっても、あくまでそれは外での事だし、あの時は色々な要因が嚙み合っての偶然の勝利だったから、ね」
咲夜の言う通り、ぶっちゃけ偶々勝てたとしか言えないもんね。
「それにしても今年の
やっぱりダンジョンが広すぎて見つからなかったのかな?」
残り2体プラス織田信長だけ倒せばいいはずなのに失敗したってことは、逆に少なすぎて見つけるのに手間取ったからなんだろうか?
「それもあるでしょうけど、一番の原因はスケルトン達の多さね」
「あ、沙彩さん」
沙彩さんが自分のパーティーメンバーを連れて僕らの所にやって来た。
「3日という制限時間がある上に、この広いダンジョンでひっきりなしにスケルトン達が現れてろくに休憩もとれなかったわ。
それに加えて今回みたいに死んでも生き返れる保険なんてなかったから、参加する冒険者の数も少なくて【
なるほど。
30分に1回は戦闘だとすると、まともにパフォーマンスを保って戦えるのって[貯蔵庫]のユニークスキルを持つ亮さんくらいなものか。
「だからあなた達の参加は本当にありがたかったわ。
生き返れるから今回は以前よりも20人は参加する人数が増えたとはいえ、ローテーションで休憩するにしても頻繁に戦闘があるのは覚悟していたもの。
なのに夜はスケルトン達を気にせずに休めるんだから、【
「そうよね。あの時は身体もまともに拭けなかったから大変だったわ」
「そうそう。本当に辛かったから正直今回またこれに参加するのは嫌だなーって思ってたもの」
沙彩さんの傍にいた女性達もうんうんと深く頷いており、前回はよっぽど大変だったことが分かるね。
「そんな訳でむしろあなた達は十分今回の【
どうやら僕たちの会話が聞こえていたようで、そのフォローをしに来てくれたようだ。
「ありがとうございます沙彩さん」
「ふふっ、お礼を言うのはこっちなんだけどね。ま、そんな訳で他の冒険者の人達も君達には感謝してるわよ。
ところでこの安全地帯って、あと1度は使えるのよね?」
「そうですね。まだ設置出来ませんが、今日のペースでスケルトン達を倒せれば、明日も今日と同じくらいに設置出来るようになると思います」
「それなら明日も安心して休めそうね。【
「まあ一応ダンジョン内なんで気を抜きすぎなくて済むと思えば……」
申し訳ないんだけどその辺はサッパリ分からないんだよね。
「ふふっ、冗談よ。私達もこの近くを拠点にしているから、困った事があったら頼るといいわ」
「はい、ありがとうございます」
その後、沙彩さん達とは一緒に食事をしながら乃亜達とハーレム談義をしだし、僕はそれを横で延々と聞かされることになった。
乃亜の家族以外のハーレム、しかも女性側の話は乃亜達の興味を大いに引いたんだろうけど、せめてダンジョンの外、僕が聞いてない場所でして欲しかったな。
まあ翌日に疲れを残さない様に眠れる内に寝ておかないといけないから、食事をしている間だけでそんなに長い時間ではなかったのがありがたかったけれど。
食後しばらく休憩したらすぐに寝る事になったので、冒険者学校の時と同じように順番に見張りをすることにした。
見張りは3番目なので一気にまとめて寝れないのは辛いけれど、矢沢さんなんかずっと起きていないといけないんだから、それに比べたらマシだよね。
見張りをしていた間スケルトン達は近づいてこないし、本当にただ起きてるだけで暇だったけど。
◆
「先輩!」
「……ふぇ! な、なに……?」
乃亜と見張りを交代して少しの間だけでもと寝ていたら、乃亜の大声に思わず僕は身を――起こせなかった。
何かが僕の上に乗っかっており、身動きがとれなかったのだ。
また冬乃や咲夜が絡みついているのかと自由に動く首だけを下に向けると、確かにそこには何かが乗っていた。
ただ僕の想定していた冬乃でも咲夜でもない人物だった。
「……誰?」
全く知らない人だった。
ボサボサのくすんだ茶髪の女性がTシャツ1枚だけ着て、僕の上に乗っかっていた。
胸はわりとあるのかかなりの弾力が感じられるのだけど、不思議となんとも思わなかった。
おかしいな? 服越しでもこんな風に胸を押し付けられたらエッチな気分になるはずなのに。
「先輩、他の女の人を連れ込むなんてどうしてですか!?」
「誤解だって分かるよね!?」
乃亜が暴走する前に、いやすでに暴走しかかっているけれど、少しでも早く誤解を解くためにこの人を起こすことにした。
「ちょ、起きて! あなたは誰なの?」
僕がそう問いかけながら彼女を揺すると、半目開きでぼんやりとした表情でとんでもない事を口にした。
『……ボクは……織田信長』
…………はあっ!??
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