第26話 〝軍神顕現〟
上杉謙信はかつて
そんなかつての強敵がこちらの動きを先読みしていたのか本能寺の前に陣取っており、配下のスケルトン達もその背後で何百体、下手すれば何千体と控えていて準備を万全にしていたようだ。
「目当ての場所に来たはいいが、いきなりこんな所に連れて来られたせいで他の武将を探さないといけないな。
上杉謙信がいるだけでも良しとするべきか、残り2体の武将を探さないといけない事に辟易するべきか……」
亮さんはため息をつきながらジロリと僕に背負われている
拳を握っている当たり拳骨の一発でもかましたいのかもしれないけど、こちらに来ようとしないのは
『ふぁ~。何言ってるの? ちゃんと
本能寺が目の前にあるのは分かる。
だけどまだ倒していない武将は3人いて、その内1人しかこの場にはいないはず。
まさかあの大量にいるスケルトンの中に2人の武将が混ざってるのかな?
『ええ、信長の言う通りですよ。あなた達の欲する物はここにちゃんとありますよ』
「え、なんで?!」
謙信はそう言って2つの印籠を掲げてきた。
今まで倒してきた武将の印籠は全て
『単純な話、我々の中で一二を争う信玄ともう1人があなた方と戦い倒されてしまった以上、たとえ3人がかりで挑んだところで分断されて1人1人倒される結果となるでしょう』
頼綱、味方にすら名前で呼んでもらえないのは若干哀れに思うけど、今はそんな事気にしている場合じゃないな。
『というより、そもそも私達は連携して戦うことなどしたことがありませんから、逆に足の引っ張り合いになる可能性の方が高そうですしね』
確かに最後は頼綱が暴走して信玄を巻き込みかけたから、謙信の言う通りになるかもしれないけど、それよりもその手にある印籠から察するに――
「邪魔だから他の武将を倒しちゃったの?!」
『おや、よく見たらあなたはこの前に会った少年ではありませんか。
いえ少年、それは少し違いますね。合意ありでの決闘の末ですよ』
わざわざ自分達の戦力を減らす事をしてまで何故決闘を?
そんなこちらの心境を察したのか、すぐにそれを教えてくれた。
『決闘した理由は一番強い者に全てを託すという単純なもの。全員が一緒になって戦うよりも勝率の高い方を選んだだけです』
謙信はそう言いながら2つの印籠を自身の胸に押し当てると、その印籠は
そうして光の粒子が完全に吸収された時、謙信の纏う雰囲気が変わった。
「全員警戒!!」
亮さんがそう指示をするより前に、全員が先ほどよりも強くなった謙信の威圧感に対し、構えていた武器をより強く握りしめていた。
今にでも攻撃を仕掛けてきそうな雰囲気に思わず身体が強張るけれど、謙信はこちらに攻撃を仕掛けてこないで、ただ僕らを見回すだけだった。
『信長がそちらにいる以上、私達はもう復活することができません。
ですからこちらも手段を選びませんし、一切の手加減などいたしません。
全力をもってあなた方を殺してみせましょう。〝軍神顕現〟』
謙信が早速力を行使すると、背後にいるスケルトン達が金色に発光しだした。
「これは前に見た〝金剛冥助〟って力に似た能力なのか?」
確かあれは防御力を上げる力だったはず。
『よく覚えていますね。しかしこれはあの時とは違いますよ。
以前は地上故に力が制限されていたため能力が弱体化して別物になっていました。
それゆえに〝金剛冥助〟という防御力のみを向上させる程度の力と、〝鬼兵操縦〟という鬼を自在に操る程度の力に分割されていましたが、本来の能力〝軍神顕現〟は防御力のみならず、攻撃力、敏捷力をも向上させることができ、兵を手足の様に自在に操れるのです』
「なっ、以前よりもパワーアップしているのなら咲夜が!?」
慌てて咲夜の方に視線を向けるけれど、咲夜には〝軍神顕現〟が効いていないのか、金色に発光したりしていなかった。
『安心していいですよ。以前はその少女が鬼神にならなければ操れましたが、残念ながら今はその少女の鬼の力は以前よりも増しているせいで干渉できなさそうですね。
そもそも〝鬼兵操縦〟は本来配下を操るためでしかないのですから、それほど強力な力ではありませんし』
それを聞いてホッとした。
また以前みたいに咲夜を操られでもしたら堪ったものじゃないからね。
そんな僕らの会話を聞いていた
「鬼っていうが、てめえの配下は骨じゃねえか」
骸骨ですもんね。
『魑魅魍魎妖怪怪異などの存在をまとめて鬼と呼称しているだけですよ』
ずるくない?
『さて、いい加減殺し合いを始めましょうか。あ、あなたは以前言った通り、苦しまない様一思いに殺してあげますから』
その物騒な一方的約束、まだ有効なの?!
―――――――――――――――――
・あとがき
お待たせしました。更新再開です。
まだ今週分書ききってないけどね!
頑張ります。
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