第44話:罠に掛かった犬?!

 スライムがいる地域に到着すると、早速それぞれの魔法を「試してみる」事にした。


「全属性が使えるんだよな?

 それに思いつけば作れてしまうって事は…」


 ニヤリ・・・亀で始まるアレ…作れるよね?


【作れますが、台詞セリフは自重して下さい】


 む…カメハメ波しか思い浮かばないんだが…火の玉を大きくした形に近いって事で火の玉大フォーリンス


 例の構えで前に押し出し放つと…それはそれは巨大な火の玉…と言うより燃え尽きつつある隕石っぽい。


 勿論、放った先に誰もいない事は確認済み。


「デカすぎだろ…」


【お忘れかと思われますが魔力が最大限です。

 それを考えて放って頂かないと世界が崩壊してしまいます】


 …ラスボス的に強いって事?


【はい】


「マジか…じゃあ最小に絞っても威力はある?」


【勿論ございますよ。

 最小限で人並みかと…】


 …もしかしなくても人を超えちゃってる?!


【魔力的に超えてますね】


 もう目が点、口ポカーンどころじゃない。


 フリーズして周囲を警戒し損ねていた。


 ガサっと音がしてゴブリンが現れた事に気付いていなかった。


【リョータ様、

 ゴブリンで御座います、お気をつけて】


 気付くのが遅れてしまったのだが、購入した武器をベルトに固定した鞘から剣をスラリと抜き、振り向きざまに横なぎに切って


 胴体は真っ二つ、血しぶきは出なかったが手に感触は当然のこる。


 何とも言い難い感触ではあったが1匹だからこそ対応できた、と思っておこう。


 せめてマスターって呼ばない?滅茶苦茶違和感ありまくりなんだけど…。


【了解しました。

 以後マスターと呼びかけさせて頂きます】


 他の魔法も試すしかないか。


 水鉄砲ウォーターガン


 指鉄砲の形で魔法を放つと、水が弾丸の形で放たれスライムの心臓…核を打ち抜いた。


 核ってやわだっけ?


【いいえ。

 かなり固い鉱物だったかと…

 マスターの魔力調節が不安定だからかと思われます】


 なるほど…安定的な魔力調整をすれば、普通に弾丸としても使えるようになって来るって事?


【スライム相手でしたら、

 弾丸では無い方が良いかも知れませんが、

 ゴブリン以上の魔物が出た場合は弾丸や砲弾、

 大砲で倒す事可能になって来ると思われます】


 …無限大…恐るべし。


「・・・ぅ~ん・・・」


「ん?何か聞こえた?!」【そうですね何か獣の幼き鳴き声のようです】


「く…ぅ~ん、くぅ~ん…」


「誰かを呼んでるのか?それとも…」


 サーチを使って鳴き声の主を探すと、そこには魔物を捕獲する為に設置したであろう「罠」が仕掛けられており、罠には小さな体で必死に逃げようとして、逃げきれないと「死」を覚悟したであろう生き物が横たわっていた。


「これって罠?」


 【…冒険者の中には、魔物を生け捕りにし、

  オークションで売りさばき、

  生計を立てる輩がいる…と聞いた事が御座います】


 フツフツと怒りが込み上げて来る。何て事をしやがるんだ!


 足を捉えている罠の鍵を創造し解除を試みる。


   カチッ…


 外れた音がしたので、ゆっくりと罠から足を引き離し傷口に弱く回復を掛けてやると、安心したのかスヤスヤと寝息が聞こえて来た。


「これで少しは安心だな。

 でも、このままだと再び罠に掛かって、売りさばかれる可能性も出てくる…

 となれば連れて帰りたいけど、これって怪我をしていたのを見つけ、

 保護した…で通るかな?」


【でしたら未だ戻るには時間がありますから

 気がついたら従魔として付いて来るか聞くのもありかと】


 だよね…取り敢えずは火魔法と水魔法は作れたから、応用させる名前を考えておくか。


 こうして俺はスライムで魔法練習を再開させ威力調整に奮闘し街へと戻る事になった

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