第366話:説明開始(1)

 構造的に作られた状態で、設置されてしまった「炉」に関しては、どうすれば鉱石類が溶けるかくらいは知っているので、それから説明する事とした。


「まず鉱石あつかうっていったら、

 ヘンリーさんだけど、

 加工も請け負ってるのか?」


「流石の儂も加工はしておらん」


「すると鍛冶職人にお願いするしかないか?」


「鉱石を加工するのなら、

 その方が安全だろうな」


「レイさん」


 リョータとヘンリーが話し合いをしてる…と思って、気を抜いていた訳では無かったが、自分に話が向けられると思ってなかったレイは


「なっ…何か問題が起きたのか?!」


 と大慌てな返答をしてしまった。


「起きてないし慌てるような事柄じゃない。

 鉱石を加工する職人と言ったら鍛冶職人…

 合ってるか?」


「あ、ああ。問題じゃなく、職人の追加か…

 鉱石を剣やナイフに加工するのは鍛冶職人の仕事だな」


「ヘンリーさんかレイさん、

 鍛冶職人で信用のおける人がいたら、

 勧誘して欲しいんだけど…」


「そう…だなぁ…」「儂が懇意にしてる職人は…おらんぞ?」


 悩むレイと速攻で「いない」と答えたヘンリー。


 炉から説明するつもりが、職人がいない事で止まってしまい、次に説明できるのは…と見渡し「ハンドルの型枠」「サスペンションらしき物体」「座席の枠」は全て炉で鉱物を溶かして作る品だと発覚した。


 うわぁ…こりゃぁ先に鍛冶職人を探さないとだなー。


 レイさんが知っていれば御の字だけど、知ってなさそうだし…となると、鏡を作る職人はいそうだよね。


「レイさん、鍛冶職人は俺も探すから、

 今は次の事を話し合っていいか?」


「勿論」


「鏡を作る人っているよな?」


「懇意にしてる鏡職人ならいるが…

 アイツは口が軽いんだ」


「ヘンリーさんの知り合いには口が堅い人物、

 いない?」


「・・・いる・・・が偏屈すぎるぞ?」


「へ…偏屈…(ってどんな意味だっけ?)」


 意味が理解できてなかったリョータは、話し合いが終わったら自宅に戻りググってみよう…と後回しにした。


「(ハンドルを指し)コレを作る型枠が(型枠を指し)コレなんだけど、

 型枠に溶かした鉱物を注がないと作れないんだ。

 鉱物加工と言ったら鍛冶職人なんだろう?

 此処にある品の大半が、

 鉱物を溶かして型取らないと駄目なんだ」


「…鍛冶職人の選別が必須…だな」


「一応ヘンリーさんの知り合いの名前、

 教えてくれるか?」


「ウォーターって鍛冶屋街の最奥にきょを構える、

 偏屈で職人気質な爺さんだ」


 ぉぅふ…頑固一徹な職人さんだったのか。


 なら「偏屈」って言われるのも理解でき…るか?


 会って見なければ判らないな…と言う事で第一候補はウォーターと言う職人に決め、請け負って貰えなかった場合を考慮し、職人の工房を覗き見しつつ、候補となりえる人物を探そうと心に決めた。


「そう…話を持って行ってみるけど、

 返答次第では受け入れる方向に持って行きたい。

 だが断られた場合、

 俺の判断で職人を決めて大丈夫か?」


 誓約した職人は満場一致でリョータに職人選定を任せる事となった

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る