第153話:寮に戻ってみたら・・・

 ギルドを出て学校へ向かうと修復が大方、終了している様が目に飛び込んで来る。


 あれま、もっと長く「サボれる」と思ってたのにな~残念。


 私服ではあるが生徒だと見知ってる警備のおっちゃ…げふん。


 お兄さんに通して貰い、先生を見つけて開始日時を確認する事にした。


「あ!先生」


「あらリョータくん。

 君がワイバーンと顔見知りで助かったわ。

 じゃなければ、建物被害が少なく済まなかったもの」


「そーなんだ。

 じゃあ学校開始は明日?」


「いいえ。来週からに決定したから連絡いれようとしてた所よ」


「来週ね!僕、自分の部屋を片付けてないから片付けるね!」


「あっ?!ちょ、ちょっと・・・」


 先生の言葉を聞く事なく、リョータは自室へ向かってしまうのだが、聞いていれば対処も出来ただろうと後悔する事となる。


(あの子の部屋…

 他の生徒たちが何か秘密があるんじゃないかって、

 居座ってるのよねぇ…。

 何事も無ければ良いけど)


 そんな事とは露知らず、リョータは対峙する前の部屋を思い浮かべながら何を何処へ収納すべきかと思案しながら向かった。


 * * * *


 え・・・っとぉ・・・これ、何があったんだ?


 ってか此処、俺の部屋だよね?


 何で他の生徒が「家探し」してんのかね?


 整理整頓されていた筈のリョータの部屋は、見るも無残に家探しされまくられ、日本風に言うなれば「汚部屋」と化している。


「・・・僕の部屋で何してるの?」


 絶対零度の視線を5人の生徒へと向けると、全員が声にピクリと反応し、ギギギっと音がしそうなくらいに青ざめながら顔を廊下側へ向けた。


「そ、そのなっ…

 君がワイバーンたちと知り合ったキッカケとか、

 強い秘密が何かしら、

 あるのかなーと思ってさ…」


 たらり・・・と冷や汗が流れてるみたいだが知ったこっちゃねー。


「ワイバーンと知り合ったキッカケって、

 知ってる筈だよね?」


 知り合ったキッカケは全生徒が「目撃している」からこそ、知っている筈。


 なのに「それ」を「理由」に「家探し」する必要は無い。


「僕の魔法が強い理由を部屋に置いてると思ったんだ?」


 強さの秘密を探されるのは2度目で、秘密があるとしても「無防備な部屋に置いておく訳が無い」と言う事に気付いてない辺り、デジャヴ感は否めなかった。


「うっ・・・」


 何かアンソニーだっけ?


 俺を閉じ込めようとした野郎に似てるのは気の所為せい


 バツが悪そうになった他の4人は、散らかしてしまった品々を「適当」に戻そうとしてるのだが、リョータに睨まれ動けなくなってしまう。


「・・・戻さなくてイイんで僕の部屋から出て貰えます?」


「じゃ、じゃあ強さの秘密を教え「るわけないでしょ?」…くっ」


「魔法で強くなりたいなら努力すれば良いんじゃないの?

 たちが強くなる為に他人を頼った所で、

 強くなれたとしても自分が危機的状況になった時に、

 役立たないと思うけど?」


 リョータの指摘は最もで、強さを「盗んだ」としても「自分で努力した強さ」に比べたら雲泥の差となるのは判り切っている。


 だからこそ部屋を荒らしていた4名は閉口してリョータの部屋からトボトボと出て行くしかなくなったのだ。


 その後、この生徒たちは、リョータから被害届が出され、1週間の謹慎処分を受けた(らしい)

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