第154話:部屋の片づけを魔法で?!

 辛うじて足の踏み場「だけ」はある様子が伺えるのだが、それ以外の場所には本や洋服、授業で使う筆記具までもが散乱しているのだ。


「・・・ここまで散らかさなくても・・・」


 大きなため息を吐き出したものの、元に戻さなければ勉強どころか、眠る事も不可能な状態になってる為、洋服を魔法でひとまとめに集める事から始めた。


 先ずは~…服だけを「回収」と言葉に出してしまい、魔法を「覚えて」しまう。


「あ・・・やってもーた」


 ま、いっか。これから先、使う事ありそうだしな。


 集めた服…と言っても着替える為に置いてた少ない枚数だった為、比較的置き場が確保できてるベットの上に置く事にした。


 筆記具は拾えば何とかなると踏み、次に取り掛かったのは本棚から出されてしまった教科書や図書類。


「うーん…これって教科書だけを回収すれば後が楽かな?」


 教科書と購入した図書の見分けが出来ない状態と化しているからではあったが、どちらかを先に集めてしまえば判りやすいだろうな、と言う感覚で「教科書回収」でまとめられた状態で教科書が数冊、積み上がった。


 結構、読む為に購入した本って多かったんだな。


 表題だけで買った品だから秘密が隠されてるなら「そこだ」とでも思ったのかねぇ。


 歴史小説やら冒険小説やらを何十冊と購入してた事に自分でも驚き、山積み状態で置く。


 残されたのは授業でメモした紙と描いた魔法陣と筆記具。


 これくらいなら魔法では無く、自分の手で拾い集める事が出来る。



 * * * *


 汚部屋と化してたリョータの部屋は逸れドラゴンと対峙する前の状態に戻っていた。


 クローゼットには服を掛け、清潔魔法クリーンで汚れを落とし、教科書として使う本は机から手を伸ばして取れる位置に並べ、小説類は下の方に並べて行った。


「はぁ~…それにしても度目?

 僕の魔法が強い秘密を知ろうとされたのって…」


 心の中で呟くより聞いているであろう人物に対して、安易に探りを掛けるなと言う思いで呟いたのだ。


「・・・気付いてたのか…」


 その声は生徒では無く魔法の先生。


「先生だとは気づいてなかったよ?

 でも誰かが僕の部屋に近づいて来るのには気づいてたよ」


 でもさ?魔法を教える先生が秘密を知ろうと近づいてる、何て思わないじゃん?!


 だって教えて貰う立場の俺に強さの秘密、聞きに来る訳ないって前提だしぃ。


「そうか。

 だが一体お前、何者だ?

 ゴブリンキングを瞬殺し、

 ワイバーンやドラゴンの王とも面識があるなど、

 普通は考えられん」


「何者って言えば納得してくれるの?」


「え・・・」


「だってワイバーンと知り合いになったのは、

 ワイバーンが僕に棘を抜いて欲しいと願いに来た事がキッカケでしょ?

 ドラゴンの王様と知り合った訳じゃないもん。

 ワイバーンさんが言葉を話せるからって連れて来てくれたからこそ今回、

 対応できたと思うし…」


「じゃ、じゃあランクEって言うのは間違ってなかった?」


「あ~…今回、

 先生対峙してたのを見てたと思うけど、

 ランク上がっちゃったからSだよ?」


 完全にフリーズ…倒しででも強さを知れたらと思ってたらしい教師。


 リョータと対峙したとして傷を負うのは自分だと一瞬の内に判断し、その場から立ち去るしか方法は無かったのだ

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