第155話:授業再開したが…解(げ)せぬ(1)
1週間後、授業が再開されるとの連絡が入り、俺は自分のクラスへ向かい、椅子に座ったのはいいが…席としては一番後ろの窓際の席なのだが、どうみても一番前に机が置かれ、周囲を同級生だけでなく上級生すら囲んでいる様子が見えるのだ。
何これ…何がどうして「こう」なった?
俺の席って一番後ろで、のんびり授業を受けられると思ってたのに、何で一番前に持って行かれてんの?!
まさかとは思うけど集まってる全員が俺の強さの秘密を知りたいと思ってるとか…?
いやいや俺、そこまで「俺サマ強えー」したいと思ってないぞ!
ただ単に
教室に入らなければ授業を受けられないリョータは、囲まれている自分の机に「しぶしぶ」近づいて行く。
彼が登校して来た事に気付いた同級生と、上級生が一斉に顔をリョータに向け尋問すべく囲い込んだのだ。
うげぇ。強さの秘訣きかれても答えらんねーのに「これ」はねーよ。
「リョータお前、
一体なにものなんだ?」
デジャブ感たっぷりだけど、同じように答えるしかねーな。
「僕が何者だって答えたら理解して貰えるの?」
「「「え・・・?」」」
「記憶をなくした孤児だって答えて納得してくれるの?
それとも転移者だから魔力が多いだけだって答えたら納得する?
ただの子供だって答えて納得しないんでしょ?」
「う…」「そ、それを言われたら…」
「第一、僕の席って一番後ろだったよね?
何で一番前に机があるの?」
「そ、それは…
お前の強さの秘密が見れる位置を考えれば…」
「見ただけで強さが判るんだったら多くの人が冒険者ランクSになってるよね?
なのに僕を見ただけでSになれると思ってるの?!」
「・・・それは…無いな。
お前を見ただけでSになれるんだったら、
とっくになってる筈だ。
だが誰1人としてSになった生徒はいないな」
「でしょ?
人を真似て強くなれるんだったら、
ランクも討伐依頼も要らないよね?
依頼があるからこそ倒せるように努力して、
強くなって行くんじゃないのかなぁ?
僕が強いって言ったって10歳だよ?
もし僕を見るだけで強くなるって言うなら、
Sランクのお兄さんたちを見てれば、
強くなってる筈だよね?」
「「「あ」」」
「努力しないで強くなれるんだったら、
学校に通う事も不要になるんじゃないの?」
詠唱で使った魔法を知ったとしても、使えるか否かは実際に発動させなければ判らない。
使えたとしても、Sランクの冒険者と同じ威力を出せるか?と言えば、出せないと言い切れるだろう。
それは冒険者になる前、基礎を学校で学び発動させる練習を怠らなかったからであって、討伐で実際に魔物を倒す事でレベルが上がり、強くなって行くのだ。
リョータが強いから同じ事をすれば今より強くなれると思ったら大間違い。と言う事に、ようやく彼らは気づいたのだ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます