第156話:授業再開したが…解(げ)せぬ(2)
理解して貰えた筈なのに未だリョータの机は元に戻して貰えそうもない。
何故なら周囲を同級生が囲み、机の移動をさせまいとしているからだ。
「僕の机・・・戻していい?」
「「「駄目だ」」」
「えー。
見て強くなれないって理解できたんだよね?
だったら僕の机が前に行かなくて良い筈だけど・・・」
「強さの秘密は無いと証明できたが、
頭の良さの秘密は証明できてないからな」
・・・ナニソレ・・・。
「・・・10歳の僕が頭が良い理由を知りたいから机は前にって事?
どうして今なの?
試験結果が貼り出された時でさえ、
聞こうとしなかったのに…」
頭が良い秘密を知りたいって阿呆なの?
知りたいって言うんだったら、成績トップになった時に出来た筈。
なのに今?
「う・・・」
「そ、そう言えば一番になってましたわね」
「流石に聞くには遅すぎるが、
改めて知りたいと思ったのが今だった…
では納得して貰えないよな?」
「僕の立場に立って考えたら答え、
出ないの?」
「・・・納得・・・できないな」
「だったら元に戻して構わない?」
これで駄目だって言ったら諦めて、中の上くらいで抑えるくらいの成績にするしか方法ないか。
ガックリと肩を落としたリョータ。
彼が囲まれてる状態を見つけた教師が声を掛けた。
「何を囲んでいる?
リョータに何を聞こうとしてるのかは問わぬが、
自分より年下の子供を囲んでる様は
上級生として恥ずかしくないのか?」
上級生がギギギ…と音が鳴りそうな雰囲気で首だけ廊下側に向けると、仁王立ちした魔術の先生がいる。
俺に絡んで来た魔術の先生は謹慎処分を食らったそうで、別の先生が派遣されて来たらしい。
上級生たちは脱兎の如く逃げ出していた。
「僕たちは彼の頭の良さを知りたいと思っただけです」
「魔法の強さの秘密を知りたいと思っては駄目だとは言われてません」
正当性を力説してるとでも思っているのだろう同級生たち。
いやさ、さっき言った通り、見ただけで強くなれる訳ねーじゃんよ。
勉強だって俺、こっちに来てから頑張って魔法を覚えて、筆記は
魔法だって元から知ってる皆と違って俺は、イメージする「だけ」で「作れてしまう能力」があったからこそ対応できただけで、それすらなかったら恐らく馬鹿にされるレベルだったと断言できるんですけどー。
何としてもリョータの強さの秘密か頭の良さの秘密を引き出したいと望む同級生たち。
先生から指摘されようと、リョータから言い含められようとも「諦める」と言う事をしないから収拾がつかなくなって行く事となろうとは、この時、誰も思いもしていなかったのだ
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