第157話:授業再開したが…解(げ)せぬ(3)

 机は元通り一番後ろの窓側に戻して貰い、ようやく学べる・・・と思ったのも束の間、日本と同じように黒板(言い方は違うらしいが正しくは知らん)の方に普通は視線が向くのだが…


 何これ…。


 何で皆こっち向いているように見えるんだ?!


 他者から見たら異様な光景だろう。


 黒板の方に体を向けるのではなくリョータの方に体を向け、彼の勉強風景を見ると言う体制になっているのだ。


「・・・さっき言った言葉を理解してないのかな?」


 魔術の先生は強制的に、前に向くよう魔法を構築しようとしてる雰囲気がダダ漏れだ。


 その事に気付いている筈の同級生たちは、机ごと体を後ろに向けたまま、顔色を青くさせているが戻そうとする様子が無い。


 はぁ…どんだけ他人の強さを盗み見ようとするんだ。


 見ても変わらんと聞いて納得した筈なのにじゃ…元も子もねぇだろーが。


「返事が無い…と言う事は戻す意思無いのだな?」


 先生は俺を除いた全員の位置を範囲指定すると、強制的に前に向く魔法を行使した。


「「「なっ?!い、一瞬で?」」」


「教師たるもの、

 これくらいの魔法を使えなければ教える事すら出来ない。

 それすら気付けないとは何とも情けない。

 リョータ、君は学校に来る度、

 このように注目されても学びたいと望むかい?」


「・・・ううん。

 望みたくないよ。

 勉強する為に来たのにさ、

 注目された状態で勉強するなんて、

 有り得ないもん」


「では君は自室に待機していなさい。

 魔法の強さを他人から得ようとする同級生と共に学ばせるのは、

 教師としても許しがたい。

 君なら書物として勉強する内容を渡したとしても、

 吸収してくれると思っているからな」


 ちょっと待て、まさか飛び級とか言うんじゃないだろうな?


 こっちに飛び級なる制度があるとは思えないが…。


「・・・もしかして僕・・・たいが

 「違うからな」え?」


「退学を懸念してるのなら違う。

 みんなの耳が大きくなってるから教えられないが、

 退学や謹慎などの処分が下される事ないから、

 安心していぞ?」


 退学じゃなく処分される事も無く、同級生お馬鹿たちに知られては困る事柄…。


 こっちにも飛び級があるって事?!


 まあ今は教えて貰えないだろうから


「判ったぁ。

 僕、自室に戻ってれば良いの?」


 としか答えを返せぬとか、せぬ!


「あぁ、

 ちゃんと説明するから安心して戻ってくれ」


「先生そんな!横暴です!!」


「強さの秘密を見る事をしてはならないとは言われてません!」


「見たって減らねぇだろ?!

 強さの一部でも見たいと望んで何が悪い!」


 あ~…典型的な「お馬鹿」さんたちだね。


 見て強くなれるのなら、とっくにSになってるって説明したのにねぇ…。


 某アニメのカラスが「阿呆、阿呆」と鳴く絵柄が思い浮かんでしまったのは仕方ないよね?

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