第158話:閑話~やり直しとなる生徒たち

 一部は理解してくれたのか、絡んで来る事は無くなって安心できると言って良かったが、同級生のお馬鹿たちは先生が説明しようが、リョータが説明しようが上級生から指摘されようが「強さの秘密を盗み見る」体制を何度も取ってしまった為、リョータは先生から自室で待って欲しいと通達され、その後の教室で起きた事柄は知らない。


~教師side~

「さて、君たちは学校で学ぶ本分を自覚してるのかね?」


 リョータが教室から自室に戻る前あたりから、魔法で強制的に前に向くよう仕向けられている同級生お馬鹿たちは、顔面蒼白になっているにも関わらず強気に先生へと抗議して行く。


「どうしてアイツだけ特別扱いするんですか?」


「同じ授業を受ける者として同じ空間で学ぶのは当然でしょ?!」


「強さの秘密が授業で知る事が出来る知れないのに、

 全く見る事すら出来なくなるのは変です!」


 自分勝手な言い分ばかりが飛び交い、教える立場で派遣された教師は、溜息しか出ない状態となってしまった。


「説明した筈だが・・・理解できないのか?」


「え?」「あの、一体なにを」


「君たちは何をする為に学校へ通う事を望んだのだ?」


「勿論、なりたい職業を極める為です」


「魔法を学ぶ為でもあります」


「では他人の真似をして、

 魔法を身に付ける事は出来るのかね?」


「「そ、それは・・・」」


「見たっていいじゃねーか!

 減る訳でもないんだし、

 強くなれるんだったら見る事は許可されるべきだろ?!」


「・・・では私を見れば良いだろう?」


「それじゃあ強くなれねー!」


「・・・ほう・・・」


 瞬時に殺気を纏い、リョータを見て強くなるつもりでいた生徒が固まってしまう。


「これしきの殺気で固まってるのなら、

 リョータの真似など、

 到底できないぞ」


「ど、どうして言い切れるのですか?」


「見る限り、僕たちと同じ子供じゃないですか!」


「君はリョータの立場に立った事があるかね?」


「え…?」「何で奴の立場なんかに…」


「・・・何かに…か。

 だったら君が強かったとしよう。

 それを知りたいが為に、

 クラス全員から見られて何とも思わないかね?」


「そ、そりゃー気持ち悪・・・あ…」


「全員の目線を受けた状態で授業を受けたとして、

 彼の強さを測り知る事が出来る訳が無いだろう?

 見ただけで強くなれるなら、

 ブラット氏と何人かは逢っているのに、

 強くなってるかね?」


「ブラッドさん…?」「あの洋服屋の?」


「かなり有名だと思ったのだが…。

 彼は冒険者ランクSだぞ?」


「逢っただけで強くなってません。

 見ただけで強くなれるとは思ってません。

 それなのに皆リョータ君を見ようとしてました」


 1人だけリョータを見る事なく努力で強くなろうと考えている生徒が、先生の援護射撃を行った。


 それにより、1人を除く全員が項垂れ反省する事となり、リョータに対して強さを見ようとしてた者たちは、やり直す羽目となった

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