第159話:学校始まって以来の珍事(らしい)

 自室で待機しているんだが…一体、何を言い渡されるのやら。


あるじ、何がありましたの?】


 同級生が強さの秘密を暴こうとしたんだよ。


 席を一番前に持って行って、一挙手一投足を見ようとしてたのは、何とか先生が阻止してくれたんだけど…はぁ…。


【…言わずとも何をされたか、

 判ってしまいますわね】


 小桜との連携授業では無く完全なる座学。


 それ故、小桜は影に控えて貰っていた為、騒動を「知らない」のだ。


 誰かしら来たら判るようにと考え「気配察知」を「覚える」事にし、待機していたのだが、ようやく2名の人物が自室へと近づいて来るのに気付けた。


 ん~…。2人の先生が近づいて来るけど何で2人なんだろ。


「待たせてすまんなリョータ」


「ううん。

 僕、勉強できなくなっちゃうの?」


「それは無い。

 が、流石に1、2年生の教室では勉強は難しいと考えてな、

 今から渡す問題集を解いて提出してくれないか?」


「・・・それだけでいいの?」


 いやさ、その持ってる紙類って、百科事典なみに厚みあるけど?


 それに隣の人が持つ紙類国語辞典なみに厚みあるんですけどぉ。


 その厚みを見て白目を剥きそうになってしまうのだが、正気を保っていなければ、先を知る事が出来ないと思い、頑張って気持ちを保ち続ける事にした。


「あぁ。

 事が事だけに今すぐ対応できないのでな、

 リョータの授業をどうするか決めるまでの時間、

 何もさせないのは出来ないと思ったんでな。

 多い問題を解いて貰おうと考えたって訳だ」


「判ったぁ」


 それにしちゃー結構な厚みの問題集だよなぁ。


 小桜も持っている紙に視線が向いている為、その「異常さ」が理解できるようだ。


【確かにそうですわね。

 何かしら判断する為の問題集では無いのでしょうか?】


 あ~~~。その可能性あるね。


 さっき1・2年の教室での授業は難しいって言ってたから、もしかしなくても上級生クラスに入る可能性があったりして…。


【いくら何でもは…

 無いとは言えないですわね】


 見てはいないが先生と呼ばれる大人の態度と、リョータの顔色から何が起きても不思議は無いと感じた小桜。


「こんな事になってしまって申し訳ないが、

 学校始まって以来の珍事としか言いようが無いんだ」


 わちゃ~…、そりゃそうだわな。


 今まで「いた」としてもDクラスの冒険者だろうからなぁ。


 そこに俺と言うイレギュラーが入学して、暴れた訳じゃ無いにせよ、他人から見れば暴れた上に「強い」ともなれば「何で強いんだ?!」ってな事になるのは判り切ってるよね~…口あんぐり状態だろうし。


 授業が「まとも」に行われたとしても「休み時間」に「突撃」ないし「質問攻め」しないとも限らない。


 だからこそ1・2年のクラスでは無く、3年生以上のクラスで勉強した方が良いと判断した可能性はあるよねー。


「そう…なんだ。

 じゃあ問題集の提出期限は無い?」


「あぁ。

 かなりの量があるからな。

 自宅で埋めても構わん。

 学校の寮だと…な」


 あ~…、押しかけて来る阿呆が出て来ないとも言えないってか。


「判ったぁ。

 例え僕が寮にいなくても欠席あつかいにはならない?」


 どうやら、その点も優遇して貰えるそうで、俺は家探しされても大丈夫な状態に部屋を維持し、森の自宅で問題を解く事にした

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る