第143話:格闘(4)~+団長vs厄災のドラゴン~

 体躯を人化に戻すのに一瞬のスキが出来、団長さんが俺の傍に来て小声で会話を交わし始めた。


(何か策はあるのか?

 最高と言う事はS以上の冒険者が、

 束にならないと倒せない。

 君のランクが何かは知らないが、

 対峙できそうか?)


(一応、策はあります。

 団長さんたちが来る前に、

 毒を気づかれないよう流し込んでいます。

 効き目が出るまでの時間は把握してませんが、

 そろそろ利いて来る頃かと…。

 それと内緒にして欲しいんですが僕、

 隠してるけどS3つなんだ)


 一瞬、驚きを声に出そうとしたのだが、何とか声を出さずに済んだ団長。


 SSSなど伝説級では無いか…と思ってしまった。


『何と…何と…

 世界が作られた時に降り立ったと

 伝説が残ってる勇者と同じレベルだと言うのか?!』


 エーテルディアには勇者伝説があるのだが、外見など詳細はなくSSSだった、と言う事だけが残されているだけだ。


「たった2人で何が出来る」


「そうだね~…

 逸れドラゴンの息の根を止める事は出来るかも?」


「何ぃ!?

 出来るものならやってみせよ!」


 ジャーチの殺気が一気に跳ね上がり、Sになりたての団長はゾクリと悪寒が走ってしまった。


(くっ?!これがドラゴン本気の殺気なのか!?

 こ、この殺気を感じてないのか?子供はすまし顔だな)


「・・・ふ~ん…。

 それしきで良く最強だと言い切れるね」


 1割しか開放してなかった魔力を5割に引き上げると流石のドラゴンも1歩、後ずさりしてしまう。


「な…ん…だと?

 小僧の癖に魔力を隠しておったと言うのか!?」


「隠さないと被害でちゃうからね。

 どうする?

 本当に僕を倒しに来るつもりなら止めた方がいいよ」


 武器屋で購入した剣とは別に、しまい込んでいた「刀」をボックスから取り出し、鯉口を切る。


 すらりと抜いた刀剣は美しくに輝き、何でも切れそうに見える。


 その刀剣に火魔法を付与する。


「くっ…ガキの癖に生意気な!!」


 人化したジャーチvsリョータの構図となり、互いの武器がせめぎ合う。


 刀と剣が交わる様に音など皆無ではあるが、リョータの脳内では鍔迫り合いの効果音が付いて聞こえていた。


 うわぁ…実際に戦って判るけど、人化したドラゴンってSS級なのは間違いないね。


 団長さんは固まって動けない状態っぽいし、有名俳優さんの真似でもすっかね。


 勿論、本気で殺陣たてなど経験した事はない。


 振るう剣術は所謂いわゆる見様見真似みようみまね」。


 それでもさまになっているのだから「チート」と言えるかも知れないが…本人は至って普通に対峙してるのだ。


 そろそろ猛毒の効き目が出て良い頃なんだけど…。


 剣を振り下ろされたと同時に左半身になって交わし、刀を背中に向け振り下ろした。


 ドラゴンの剣はリョータに当たらず逆に、リョータの刀が人化したジャーチの背中に刀傷を負わせる事に成功した

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