第144話:最終決戦~ドラゴン王+ワイバーン到着

 切り付けられた背中が痛い…では無く熱いと感じた。


「ぎゃぁっ?!

 なっ!?おのれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!

 背中を何で斬りつけ・・・げはっ」


 ようやく猛毒ポーションが効き目を現したのか、ジャーチは吐血し、体をくの字に折り曲げた。


 約30分くらいで効き目が出るって事か。


 まあ2度と、作る事も無いだろうから参考資料として、残すだけにしておかなきゃな。


「・・・お前…とんでもないポーション作ったんだな」


 ようやく固まっていた団長が動き出し、毒で苦しむドラゴンを見て呆れた声を掛けたのだ。


「言わないで下さい。

 実験的に作ったポーションで、

 使う事ないって思ってたんだもん」


 弱々しくなったジャーチ。


 そこへ上空から到着したのがワイバーンとドラゴンの王。


『リョータ殿!

 無事で御座いますか?!』


「あ、隊長さん。

 何とか今、毒が利いて来たみたいです」


〖ジャーチよ。

 そなたは追放され反省する処か人々を殺害し、

 力こそ最強だと知らしめるつもりだったのか?〗


「当然だ!

 げほげほ。

 我こそが…

 我こそがドラゴンの国をべるに相応しい猛者だっ!」


 とうとう立っていられなくなったジャーチは、片膝を付きつつも反論を唱えているのだが、迫力は半減以下。


〖…馬鹿馬鹿しい。

 お主の実力では国を統べる事など出来ぬわ〗


「なっ?!」


 大量に吐血してしまったジャーチは、反論できない状態になっていた。


「良く喋れるね。

 僕がオリジナルで作った猛毒ポーション。

 一応、解毒ポーション作ってるけど必要なさそうだね」


 言葉を発せられない状態ではあるが、目を見開き「何時の間に猛毒ポーションを?!」と言う顔になっているのだ。


「何時の間に接種したのか判らないでしょ」


『ドラゴンの王よ。

 この逸れ者は断罪せねばならない存在であろう?

 多くの市民を犠牲にした罪は、

 毒を飲むだけで終わらせてはならぬ』


 空から見た光景が、犠牲者多数である事を知らしめていたからこそ、問えた言葉だ。


〖そうよな。

 改心する気持ちを持っているのであれば、

 解毒して貰おうと思っておったが、

 殺気が一向に失われておらぬ故、

 断罪するしかなかろう〗


「ドラゴンの王様、

 自ら断罪なさるのであればお任せ致します」


 リョータは対峙したのは自分と団長ではあるが、断罪を決めたのなら種族の王が下すのが良いと判断しての発言なのだが


〖いや、

 そなたの武器で首を切り落としてくれぬだろうか?〗


 と王様から斬首して欲しいと願われてしまった。


「僕ぅ?!

 無理むり無理ぃ~~~~~~っ!

 対峙するのは緊張感を持ってたけど、

 今の段階は完全に油断してるからぁ無理ですぅ」


〖そなたなら大丈夫であろう?

 全ての職種に適性があると言われておろうに〗


「うっ」


 バレてやがる。


「はっ?!全職種適正だと?」


「団長さん…僕ね…

 選定の儀で全ての職種に適性があるって出たんだ」


 もう隠す事など出来ぬ状態になったリョータは、正直に白状した。


「そ・・・うか。

 それなら剣士としてドラゴンを討伐する、

 と思い込み斬首するしかないだろうな」


「はあ~~~~~~~~~」


 盛大な溜息を吐き出すしかないリョータではあったが、ドラゴンを倒さなければ学校が再開されないのは判り切っているので、覚悟を決めて動けなくなったジャーチに近づいて行ったのだ

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